じじぃの「宇宙船地球号・本当は恐いリベット仮説!生態の雑学」

Crashing Inverted Into the Ocean Just After Takeoff - Flying Blind (With Real Audio)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=apV3FmNWjvw

Airplane Rivet


What is "rivet popper" hypothesis?

Quora
If the plane loses one rivet among the million, it may not significantly affect the aircraft as a whole. But if it starts losing rivets successively, it may weaken the aircraft and affect flight.

Similar is the case of an ecosystem. Consider
https://www.quora.com/What-is-rivet-popper-hypothesis

『<絶望>の生態学――軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか』

山田 俊弘/著 講談社 2023年発行

人間は、意図せず大量絶滅を引き起こそうとしている。その絶望的状況が明らかになってきた。生物多様性の喪失と大量絶滅の先に、希望はあるか? 絶望的な未来を回避する術はあるか?――その答えは生態学が教えてくれる。

第6章 ラッコが消えれば海も死ぬ より

本当は恐いリベット仮説

リベット仮説は、アメリカの生物学者であるポールとアンのエーリック夫妻により提唱されました。2人の著作には、”リベット抜き”という特殊な架空の職業に就く男が登場します。ここでは、少し私流にアレンジを加えながら、彼らの考えを紹介しましょう。

リベットとは、飛行機の翼を本体に固定するための金属製の部材です。カシメといわれる特別な工法で翼を固定する際に、リベットを打ち込みます。カシメは、半永久的で高い強度の締結ができる手軽な工法で、古くから航空機の翼の固定に用いられてきました。

さて、”リベット抜き”の職場は飛行機整備場ですが、彼は飛行機を整備しているわけではありません。彼の仕事は、飛行機からリベットを外すことです。といっても、新しいリベットに付け替えているわけではありません。単純にリベットを飛行機から引き抜くだけの仕事です。

飛行機からリベットを抜いてはいけません! そんなことをすれば翼の強度が下がり、最悪の場合、飛行中に翼が外れてしまいます。重大航空事故を引き起こしかねない愚行を、この男はなぜおこなっているのでしょうか? 勇気を出して聞いてみると男は、さばさばと、
「これは業務命令なんだよ。これが私の仕事なんだから、放っておいてくれ」
と答えます。理由はまったく不明ですが、リベットを抜くことで賃金が発生するようです。

リベットを飛行機から抜き取ることなど、法に背く行為でしょうか、エーリックらのつくり話ですから、違法性についてはスルーしましょう。わかったことは、この男は身銭を稼ぐためにリベットを抜いているということです。

リベット抜きの動機はわかりましたが、男は自分のやっていることをどう思っているのでしょうか? 訊いてみると、大惨事に発展しかねない醜行に対して、やはり悪びれることなく、
「心配にはおよばないよ。飛行機っていうのは必要以上に頑丈につくってあるのだから。リベットを抜いたって飛行に支障はないさ」
と答えます。正気の沙汰ではありません。

この男は昨日も一昨日もリベットを引き抜いていました。きっとこれからもリベットを抜き続けるでしょう。飛行機がやがて墜落することは目に見えています。

以上がリベット仮説です。ただ、これだけでは何のことかわからないと思うので、もう少しだけ説明します。

リベット仮説は、飛行機を生態系に、リベットは種に見立てています。わずかなお金のためにリベットを抜く男は、ほかならぬ人間です。経済を優先して種を絶滅に追いやっているのですから、ピッタリな比喩でしょう。
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しかし安心してはいけません。リベットを抜かれ続けた飛行機がいつか必ず墜落するのと同じで、生態系から種が失われ続ければ、いつか突然に生態系の終わりが訪れるのですから。

「なるほど。いずれは生態系が崩壊するのか……」と、他人事のように感心している場合ではありません。生態系の崩壊は、私たちにとっても由々しき事態です。飛行機に見えていた乗り物をよく見てください。それは飛行機ではありません。――宇宙船地球号です。宇宙船地球号が空中分解すれば、乗組員であるヒトも破滅してしまいます。