NVIDIA GPUを搭載したスーパーコンピューター
NVIDIA GPU を搭載した 136 のスーパーコンピューターが、TOP500 ランキングに入る新記録を樹立
NOVEMBER 26, 2019 NVIDIA
スーパーコンピューターの新しい波のほとんどが GPU アクセラレーションということが、世界最速システムについての最新の TOP500 リストで明らかになりました。
先日発表された注目のランキングに新たに加わった 102 のスーパーコンピューターのうち、もっともパワフルな AiMOS を含む、42 システムが NVIDIA GPU アクセラレーターを採用しています。24 位にランク入りした AiMOS は、スーパーコンピューティングの評価基準である High-Performance Linpack ベンチマークにおいて、8 PFLOPS の演算能力を達成しました。
https://blogs.nvidia.co.jp/2019/11/26/record-gpu-accelerated-supercomputers-top500/
『2035年に生き残る企業、消える企業――世界最先端のテクノロジーを味方にする思考法』
山本康正/著 PHP研究所 2024年発行
世界のテクノロジーは、かつてない速度で進化しています。
2022年11月に登場したChatGPTのユーザー数は、公開からわずか5日で100万人を超え、瞬く間に世界中に広がりました。これはIT史上最速のスピードです。このブームに乗って、生成AIに必要な半導体を製造するエヌビディアの時価総額は、2024年6月、マイクロソフトやグーグル、アップルを抜き、約500兆円で、上場企業の時価総額において世界一となりました。
これまでIT業界を牽引してきたのはビッグテックのGAFAMが中心でした。
第1章 いま押さえておくべき最新テクノロジーの潮流 より
PCに焦点を当てるマイクロソフトの戦略
2024年5月に開催されたオープンAIの発表会とGoogle I/Oのわずか1週間後には、マイクロソフトも生成AI向けの新たなPCを開発したことを発表しています。
「Copilot(コパイロット)+PC」と名付けられたこの新製品の特長は、生成AIを、クラウド経由だけでなく、PC端末上でも利用できる点です。つまり、インターネットにつながっていなくても、回線が遅い状態であっても、生成AIを利用できるということです。
スマホのOSとして高いシェアを占めているアンドロイド(Androld)を持つグーグルに対して、マイクロソフトはPCのOSにおいて、ウインドウズ(Windows)で高いシェアを占めています。だから、マイクロソフトは主戦場をPCにしているのでしょう。
マイクロソフトにとって、PCは仕事のためのツールです。インターネット回線が頼りない状況でも、ストレスなく、生成AIを使えるようにして、仕事の生産性を上げる。そんな道具としてのPCを考えた結果、Copilot+PCという形に到達したのだと考えられます。
エヌビディアのGPUだけでなく、クアルコムのNPUも重要性を増す
Copilot+PCの要(かなめ)となっているのは、生成AIの深層学習(ディープラーニング)に使われるニューラルネットワークの処理に特化した、NPU(Neural network Processing Unit)と呼ばれる半導体です。Copilot+PCに搭載されるNPUは、アメリカのシリコンバレーではなく、その南にあるサンディエゴを本拠地にするクアルコム(Qualcomm)が開発したものが採用されています。
クアルコムはスマポ向け半導体の世界最大手です。過去にはアップルと特許の使用料をめぐって法廷闘争を繰り広げたこともありますが、両社は2019年に和解に至りました。
2023年末、アップルは、クアルコムからの半導体調達の契約を3年間延長しています。アップルとしては、おそらく忸怩(じくじ)たる思いがありながらも、背に腹は代えられない状況なのではないでしょうか。
生成AIの開発競争が過熱していく中で、クアルコムのような大手半導体メーカーが自分たちの技術力と存在感を訴求(そきゅう)していくのは必然の流れでしょう。
生成AIでは、GPU(Graphics Processing Unit)という、高速での並列計算を特異とする半導体を製造するエヌビディアに注目が集まり、時価総額も急成長して上場企業で世界トップになりましたが、今後はエヌビディア一強状態の半導体業界に変化が生じるかもしれません。