じじぃの「カオス・地球_413_大絶滅時代とパンゲア・第3章・シベリア・トラップ(1)」

Siberian Traps likely triggered end-Permian mass extinction

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PNs9U4qVOII


Modern-day Asia with the vicinity of the Siberian Traps.


2024 SkS Weekly Climate Change & Global Warming News Roundup #30

19 March 2015 Skeptical Science
With more than 90% of all marine species and 75% of land species wiped out, the end Permian mass extinction was the worst biosphere crisis in the last 600 million years. The extinction was global in reach: almost all animals and plants in almost all environmental settings were affected. An idea of the severity can be visualised by considering that the time afterwards was marked by the beginning of a coal gap lasting for ten million years: coal-forming ecosystems - i.e. forests - simply did not exist for that time.

The onset of the mass extinction coincided with the main part of the eruption of the late Permian Siberian Traps Large Igneous Province (LIP), 251.9 million years ago (Ma). It contains what may be the largest known volume of terrestrial flood basalt in the world. Estimates vary but they start at volumes of at least 3 million cubic kilometres of igneous rocks that were erupted onto and intruded beneath the surface during the event. There are some much larger volume estimates that take into account "missing" erupted rocks since eroded away and the likely ratio of intruded to erupted rocks. Either way, as eruptive cycles go this was one of the biggest ever.
https://skepticalscience.com/pollution-part-2.html

ほとんどすべての生命が死に絶えた…“ペルム紀の大量絶滅”の衝撃

2022.9.2 ダイヤモンド・オンライン
マグマの大釜
約2億5200万年前、ペルム紀の終わり近く、何百万年もかけて地球の奥深くから上昇してきた(流動化したマグマの流れである)マントル・プルームが、上にある地殻と接触し、それを融かしてしまった。
https://diamond.jp/articles/-/308863

パンゲア大陸

ウィキペディアWikipedia) より
パンゲア大陸とは、ペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸である。
1912年にアルフレート・ヴェーゲナーは、自身の提唱する大陸移動説の中で、現在の諸大陸は分裂する前に一つであったとの仮説を考え、この大陸を「パンゲア大陸」と命名した。

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『大絶滅時代とパンゲア超大陸――絶滅と進化の8000万年』

ポール・B・ウィグナル/著、柴田譲治/訳 原書房 2016年発行

パンゲア超大陸の存在と生物多様性の関係が最大の原因とする、古生物史と地球環境史をかけあわせたサイエンス・ノンフィクション!

第3章 死の海 ペルム紀――三畳紀大絶滅 より

キャピタニアン期は生命にとって安寧の時代ではなかったが、2億5200万年前ペルム紀末を襲った大破局にくらべれば小さなしゃっくりのようなものだった。この次なる災害では無事にいられる生物はいなかったし、パンサラッサ海の深海部からパンゲアの内陸部まですべての環境で、膨大な種が失われた。地質学者はこの原因を解明しようと、20年以上かけて重要な研究領域としてこの空前の危機にとりくみ、その努力のかいあっていったい何が起こっていたのかがようやくわかってきた。ひとつの側面ははっきりしている。その原因はずっと私たちの目の前にあった。あのシベリア・トラップである。峨眉山(エイメシャン)トラップと同じように、やはり玄武岩洪水溶岩流が積み重なっているのだが、その規模はシベリア・トラップがずば抜けて巨大だった。
侵食されたこのトラップの名残はいまだにシベリア北西部の広大な面積にわたってみることができ。さらにずっと巨大な溶岩流がいまでは西シベリア堆積盆の新しい岩石の下に埋まっている。ちょっとわかりにくいがもっと重要なのは、シベリア噴火もやはり膨大なガスを放出し、他に類を見ない最悪の気候状況をもたらしていたということだ。

シベリア・トラップ

シベリア・トラップはシベリア北西部を広く覆い、何百もの洪水玄武岩流が次々に重なって広大な高原を形成し、針葉樹林帯に襞のように広がっている。峨眉山(エイメシャン)トラップの場合と同じように、2億5000万年の間に浸蝕された溶岩もあれば埋もれてしまった溶岩もあるため、もともとの噴出量を決めるのは難しい。とくに推定に重要になるのはおそらく埋もれた溶岩の分だろう。このトラップの西側には西シベリア堆積盆があり、堆積岩のほとんどはジュラ紀の岩石で重要な産油地帯となっている。一帯に掘られた深い試掘孔から、新しい堆積岩の下には三畳紀玄武岩があることがわかっていて、おそらくはシベリア・トラップが延々と西側へ張り出しているのだろう。この埋もれた溶岩まで考慮すれば、このトラップのもともとの規模は500立方平方キロ以上あっただろう。決定的なのは、この膨大な量の溶岩はペルム紀末頃、極めて短い間に噴出したらしい点だ(100万年以下)。ガスが豊富で極めて激しい爆発的噴火によって発生する凝灰岩(ぎょうかいがん)がこの噴火の初期段階でよく見られることから、この事象が最初の絶滅パルスと強い相関があるようだ。第2の絶滅パルスつまり三畳紀の初頭には大規模な洪水玄武岩噴出がみられた。このようにシベリア・トラップはふたつの絶滅とまさにジャストタイムで噴煙を上げていた、極めて巨大な文字通りの決定的証拠(スモーキング・ガン)なのである。

噴火によって地球環境の壊滅がどのように生じたかを理解するために、ガス放出の影響、とくに二酸化炭素と二酸化硫黄の放出に焦点が当てられてきた。しかし、ここでまた、以前に峨眉山の噴火で議論したのと同じ問題がでてくる。巨大な洪水玄武岩流によってどれくらいガスが放出されたかが重要なのだが、それが現在わたしたちが化石燃料の燃焼によって毎年放出している量と大して変わらないのだ。それなのになぜわたしたちは現在ペルム紀末のような大惨事に苦しまずにすんでいるのだろうか? いくつか理由は考えられる。今日の世界が2億5000万年前の世界よりガス放出の影響を受けにくくなっているのか、あるいは刺激に対する地球の反応系に位相のずれがあるということだ(つまりペルム紀のような大惨事に見舞わられるまでにもう少し時間がかかるというだけのこと)。また第3の可能性として、噴出したシベリアのガスの量について重大な過小評価をしていることが考えられる。近年の地質学者は最後の説を支持するものが多く、付加的なガスの出所を探し始めているところだ。

そんななかある研究で再び引き合いに出されたのが、スヴェンセンの仮説だ。
マグマの上昇により地殻の岩石を熱し(熱分解法)ガスが放出されるという説である。この「加熱調理で発生するガス」がもっともらしい説と考えられているのには、いくつかの理由がある。シベリアでの最初の噴火は凝灰岩が広範に広がっていることから、確かに非常に爆発的なものだったようだ。このガス噴火に関する直接的証拠は、ガス爆発パイプというかたちで存在する。これは激しく上方へ放出されるガスによって生じる破砕岩石でできた垂直方向のパイプだが、これが形成されるときにそばにはいたくないものだ。マグマも地殻岩石を貫通するときに大量のガス、とくに炭層ガス(主成分はメタン)を発生しやすい。