【ベストセラー】「令和版 100歳まで元気に生きる食事術 (最新の医学データでわかった自然治癒力の高め方)」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】
動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=_kcShBw3rdA
図録▽百歳以上高齢者数(推移と都道府県別)
100歳以上の人を英語ではcentenarianと呼ぶが、世界で100歳以上の人数が最も多いのは、日本でなく米国である。もちろん、人口当たりの比率では日本が最も多い。
https://honkawa2.sakura.ne.jp/1163.html
第3部 人は食べたものによって決まる(ヘンゼルとグレーテル;『壊血病に関する一考察』 ほか)
第4部 死にいたる遺伝(ウディ・ガスリーとベネズエラの金髪の天使;国王の娘たち ほか)
第5部 不品行な死(「汝殺すなかれ」;アルコールと薬物依存 ほか)
結び 明るい未来は待っているのか?
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『死因の人類史』
アンドリュー・ドイグ/著、秋山勝/訳 草思社 2024年発行
疫病、飢餓、暴力、そして心臓、脳血管、癌…人はどのように死んできたのか?
有史以来のさまざまな死因とその変化の実相を、科学的・歴史的・社会的視点から検証した初の試み、壮大な“死”の人類史。
第3部 人は食べたものによって決まる 第13章 ヴィーナスの肢体 より
肥満が引き起こす病気
体重が増えると関節、とくに膝や股関節にも負担がかかるようになり、その結果、変形性関節症になってしまう場合もある。骨の末端を保護している軟骨が体重の負荷ですり減ってしまい、痛みや腫れ、こわばりを引き起こしてしまうのだ。関節部分の骨に問題が生じて炎症が起き、最終的には人工関節に置き換える手術が必要になる場合もある。
さらに言うなら、太りすぎの男性は前立腺ガンや大腸ガンにもなりやすく、女性の場合はとくに乳ガンや大腸ガン、胆嚢(たんのう)ガン、子宮ガンなどになりやすいと言われる。脂肪細胞は体内のほかの細胞に影響を与えるある種の化学的なシグナルを発しており、そのシグナルが高まるとインスリンのレベルも高まり、エストロゲンが分泌されて、閉経後の女性の乳房と子宮の細胞分裂と炎症を誘発するのだ。
これらの一連のプロセスはすべて、細胞の成長と分裂をうながし、細胞をガン化させる決め手のプロセスにほかならない。
沖縄の百寿者と「腹八分目」
平均寿命を延ばし、このような現代社会の落とし穴を避ける方法のひとつは、長寿者のなかでももっとも長命な人たちに目を向け、ロールモデルとして彼らがどのような生活をしているのか知ることだ。
極端な場合、平均寿命を全体的に押し上げることで、これ以上ないほど劇的な結果が表れる。イギリスでは100歳まで生きる人の数は1983年の3041人から、2013年には1万3781人に急増、そのうち0.1%は110歳以上が占めていた。このような長寿者の特徴について、ボストン大学の「ニューイングランド百寿者研究」(NECS)など、多くの研究が行われてきた。NECSは1995年に始まった。マサチューセッツ州ボストン近郊の8つの町を対象にした調査で、対象者の総計は46万人、そのなかには約500名の百寿者(センテナリアン)が含まれていた。現在、百寿者を対象にした調査では世界最大規模の研究で、約1600名の百寿者とその子供500名(子供といっても年齢は70代か80代)、さらに若い世代300名が対照群として登録されている。また、百寿者のうち100名以上が110歳以上のスーパーセンテナリアンだ。
もうひとつの百寿者研究は日本の沖縄の住民に関するものだ。
沖縄は九州から約500マイル(800キロ)南に位置し、日本の最西端の県であり、今の住民たちの遺伝的背景は本土出身者とは異なる。共通語を話す本土の者には口頭では理解できない言葉で話している。2017年に発表された学術誌によると、沖縄の平均寿命と百寿者の数は世界一で、百寿者の数では日本の半分を占め、アメリカに比べればその数は3倍以上にもなる。さらに驚くのは、沖縄の百寿者は島の平均寿命が40歳そこそこのころに生まれた人たちという点だ。感染症や自然災害、そして1945年の太平洋戦争でもっとも苛酷な戦いを生き抜いてきた人たちである。死因も大きく異なり、アメリカと比較すると、心臓病による死亡率は3分の1、アルツハイマー病による死亡率は10分の1という驚くほどの低さだ。遺伝的要因や生活習慣を考慮した「沖縄百寿者研究」の目的は、その理由を解明することにある。
沖縄の最高齢者たちの研究から次のような事実が判明している。百寿者の数は女性が男性の約5倍で、年齢があがるにつれてさらに女性のほうが多くなる。2020年1月の時点で、世界の最高齢者20名はすべて女性、その多くは日本人だった。肥満の人はほとんどおらず、喫煙経験もなかった。アルツハイマー病は加齢と深く関係しているが、超高齢者の多くは認知症を免れ、脳にも問題はなかった。心血管疾患や糖尿病の発症も遅い。女性の場合、高齢になっても子供を産める人が多く、この事実は傷害を通じて老化が遅い点とも一致している。血中のビタミンAとEが豊富で、赤血球もさかんに活動して免疫力が高い。これらはDNAに絶えず生じている突然変異を修復する能力にも優れている。そして、このような突然変異こそ老化による決定的な特徴なのだ。スーパーセンテナリアンは老化によるおもな病気(脳卒中、パーキンソン病、心血管疾患、ガン、糖尿病)とも不思議なほど無縁で、多くの場合、加齢にともなう臓器不全で最期を迎える。
沖縄の人たちがどれほど健康的な食生活を送っているかを知れば納得がいく。サツマイモや大豆、青野菜、根菜、ゴーヤ、果物、そして少量の魚介類と赤身の肉を昔から食べ、またジャスミンティーが好んで飲まれてきた。全体的に複雑な炭水化物を多く含んでいるが、カロリーは低い食事である。タンパク質は適度に含まれているが、一方で肉や精製された穀物、砂糖、乳製品とは無縁だ。
タンパク質と炭水化物の比率が最適であることに加え、沖縄県民も日本人がよく言う、「腹八分目」を実行している。この言い伝えの意味は、食事の量は満腹の80%に控えるということで、欧米ではほとんど見られな習慣だ。1960年代以前は米が食事の中心を占めていたため、当時の沖縄の人たちの消費カロリーは通常推奨されるカロリーより10~15%少なかった。長期的な消費カロリーの制限が長寿につながるという説は、多くの動物実験ですでに検証されてきた。簡単ではあるが、それだけに難しい長生きをする方法とは、毎日食べる量を少し減らすことなのだ。
食欲を抑えたり、脂肪の吸収を抑えたりする抗肥満薬も、減量を試みる人の助けになる場合があるかもしれない。だが、不快な副作用も珍しくない。肥満に有効な薬をめぐる有望な研究は続けられているが、摂取するカロリーを減らし、運動によって消費カロリーを増やすという単純な対策こそ、私たちにとって最良の戦略である事実に変わりはないのだ。