じじぃの「科学夜話・長寿・あなたが100歳まで生きる確率は?人体大全」

田中カ子さん118歳を長寿祝う…「老人の日」前に

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0Vb3ExO5V5k

100歳以上が8万人突破、総人口の何%?


100歳以上が8万人突破 急激な伸び、総人口の何%?

2020年9月15日 朝日新聞デジタル
国内の100歳以上の高齢者の数は、「老人の日」の15日時点で8万450人と、初めて8万人を超えた。このうち女性は7万975人と、全体の約88%を占めた。厚生労働省が発表した。

田中カ子

ウィキペディアWikipedia) より
田中 カ子(たなか かね、1903年明治36年〉1月2日 - 2022年〈令和4年〉4月19日) 119歳没は、日本のスーパーセンテナリアン。
福岡県福岡市東区出身の長寿の女性。2018年7月22日以降、死去するまで存命中の世界最高齢女性となっていた。確実な記録の残る中では日本及びアジア史上最長寿者であり、世界全体でもジャンヌ・カルマンに次ぐ歴代2位の長寿者である。
【関連人物】
泉重千代 - かつて日本及び世界の歴代最高齢者(120歳185日没)とされていた人物。
木村次郎右衛門 - 男性における日本及び世界の歴代最高齢記録を持つ人物(116歳54日没)。

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『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』

ビル・ブライソン/著、桐谷知未/訳 新潮社 2021年発行

第23章 命が終わるとはどういうことか より

「人を死なせるのはライフスタイル」という時代

2011年、人類の歴史の中で、興味深い節目となる出来事があった。心不全脳卒中、糖尿病などの非感染性疾患による世界の死亡者数が、あらゆる感染症による合計の死亡者数を初めて上回ったのだ。わたしたちは、たいていの場合、ライフスタイルのせいで死ぬ時代に生きている。つまり、あまり深い考えや見通しを持っていないとしても、事実上、どう死ぬかを自分自身で選んでいる。
あらゆる死の5分の1は、心臓発作や自動車事故で突然訪れ、さらに5分の1は短時間の病気に続いてすばやく訪れる。しかし大多数の約60パーセントは、長引く消耗性の病気によるものだ。わたしたちは長く生き、長い時間をかけて死ぬ。「65歳以降に死亡するアメリカ人の3分の1近くは、人生の最後の3ヵ月を集中治療室で過ごす」。2017年に《エコノミスト》は淡々と指摘した。
人々がかつてないほど長生きしていることは疑いようがない。現在アメリカに暮らす70歳の男性なら、来年死ぬ確率はたったの2パーセントだ。1940年には、その確率が望めるのは56歳だった。全体として先進諸国では、90パーセントの人は65歳の誕生日を迎えることができ、その大部分は健康を維持している。

人が110歳まで生きる確率は700万分の1

ニューヨークのアルベルト・アインシュタイン医学校による2016年の研究では、どれほど医療が進歩したとしても、115歳を超えて長生きする人は少ないだろうという結論が出た。一方で、ワシントン大学の生物老年学者マット・ケバラインは、現代の若者が、、ごくふつうに今の寿命より最大50パーセント長生きするかもしれないと考え、さらにカリフォルニア州マウンテンヴューのSENS研究財団の主任研究員オーブリー・デグレイ博士は、今生きている人の中には1000歳まで生きられる人がいると信じている。ユタ大学の遺伝学者リチャード・コーソンは、少なくとも理論的には、そのくらい寿命を延ばすことが可能だと示唆した。

成り行きを見守るしかないだろう。ひとつ言えるのは、今のところ、100歳まで生きる人も約1万人にひとりしかいないということだ。

それ以上生きる人については、あまり人数がいないせいもあって、よくわかっていない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の老年学研究グループは、世界のあらゆるスーパーセンテナリアン――つまり110歳の誕生日を迎えた人――をできるかぎり追跡調査している。しかし、世界の大半の記録がずらんなのと、多くの人がさまざまな理由な理由で実際より年寄りだと思ってもらいたがるので、UCLAの研究者たちは、この最高級会員制クラブへの入会希望者を承認することには慎重になりがちだ。通常は約70人の確証のあるスーパーセンテナリアンがグループの名簿に記録されているが、おそらくその数は、世界じゅうにいる実際の数の半分ほどにすぎないだろう。
あなたが110歳の誕生日を迎えられる確率は、約700万分の1だ。女性であることは、かなり有利になる。男性より110歳に達する可能性が10倍高い。興味深いことに、女性は昔から男性より長生きしている。男性はお産では死なないことを考えると、少し不思議な感じがする。しかも、歴史の大半を通じて、男性は病人の看護で接触感染する機会も少なかった。それでも歴史のあらゆる時代、調査されたあらゆる社会で、女性は常に、男性より平均で数年長生きしてきた。そして現在、ほぼ同一の医療を受けていても、やはりそれは変わらない。
最も長生きした人として知られているのは、フランスのアルル出身のジャンヌ・ルィーズ・カルマンで、1997年に間違いなく高齢といえる122歳と164日で亡くなった。122歳に達した初の人物というだけでなく、116歳、117歳、118歳、119歳、120歳、121歳に達した人もほかにいなかった。カルマンはのんびりした人生を送った。父親は裕福な造船技師で、夫は成功した実業家だった。一度も働いたことはない。夫より半世紀以上、ひとり娘より63年長生きした。カルマンは生涯を通じて喫煙し――117歳でついにやめる直前まで、1日2本吸っていた――週に1キロのチョコレートを食べたが、最後の最後まで活動的で、健康に恵まれていた。年老いてから、微笑ましい自慢話としてよく口にしていたのが、「しわなんてできたことがないわ。今椅子のうえにある部分の、1本以外はね」。
またカルマンは、この上なく愉快だが判断を誤ったある取引で、利益を受けた人物になった。1965年に資金難に陥ったとき、カルマンはある弁護士に、毎月2500フランを払ってくれれば、死後にアパートメントを譲り渡すと約束した。当時カルマンは90歳だったので、弁護士にとってはかなりよい取引に思えた。ところが、その契約を結んだ30年後に弁護士はカルマンより先に死亡し、結局、手に入れられなかったアパートメントのために、90万フラン[訳注 18万4000ドル相当]以上もカルマンに払い続けることになってしまった。
しばらくのあいだ、世界最高齢の人物は木村次郎右衛門だったが、2013年に116歳と54日で死亡した。木村は郵便局員として穏やかな人生を送り、京都近郊の村でとても長い隠居生活を過ごした。健康的な生活を送っていたが、それは何百万人もの日本人も同じだ。木村がほかの人たちよりこれほど長生きできたのはなぜなのかという疑問には答えようがないが、家族の遺伝子が重要な役割を果たしているようだ。ダニエル・リーバーマンが話してくれたところによると、80歳まで生きるのはおもに健康的なライフスタイルに従った結果だが、そこから先はほとんど完全に遺伝子に関わる問題だという。あるいは、ニューヨーク市立大学名誉教授バーナード・スターによれば、「確実に長生きする最善の方法は、両親を選ぶことだ」。
執筆の時点では、確証のある115歳の人が世界には3人(日本人がふたり、イタリア人がひとり)と、114歳の人が3人いた(フランス人がふたり、日本人がひとり)。