じじぃの「カオス・地球_361_林宏文・TSMC・第4章・マイクロン(Micron)」

記憶をつかさどる!!メモリ半導体!!【ゆっくり解説】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Lec8bpCMuxA

補助金が投入される可能性がある3工場比較


TSMC熊本工場よりマイクロン広島工場への補助金投入のほうが、よほど日本の国益

2022.02.03 ビジネスジャーナル
補助金が投入される可能性がある3工場比較
先端半導体工場の新増設を支援する改正法が2021年12月20日参議院本会議で与党などの賛成多数で可決し、成立した。
そして、補助金を投入する対象として、第1に日本政府が誘致したTSMC熊本工場が挙げられている。加えてマイクロン広島工場とキオクシア四日市工場も候補に挙がっている。以下では、この3工場について比較し、補助金によってどのような効果が見込めるかを分析してみよう(図5)。
https://biz-journal.jp/company/post_277742.html

TSMC 世界を動かすヒミツ

【目次】
はじめに――TSMCと台湾半導体産業のリアル
序章 きらめくチップアイランド
第1章 TSMCのはじまりと戦略
第2章 TSMCの経営とマネジメント
第3章 TSMCの文化とDNA

第4章 TSMCの研究開発

第5章 半導体戦争、そして台湾と日本

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TSMC 世界を動かすヒミツ』

林宏文/著、牧髙光里/訳、野嶋剛/監修 CCCメディアハウス 2024年発行

2024年の熊本工場(JASM)始動と第2工場の建設決定で、注目が高まるTSMC。創業時からTSMCの取材を続け、創業者モリス・チャンのインタビュー実績もある台湾人ジャーナリストが、超秘密主義の企業のベールを剥がす。
(以下文中の、強調印字は筆者による)

第4章 TSMCの研究開発 より

マイクロンとの連携のヒミツ――ロジックICとメモリーの統合

2021年末にTSMC、メデイアテック(聯発科技)、日月光(にちげつこう)半導体製造(ASE)、マイクロ二クス・インターナショナル(旺宏電子、以下マイクロニクス)の会長やCEOなど、台湾半導体大手の代表が李國鼎(りこくてい)記念フォーラムに参加した。このときにTSMC会長のマーク・リュウ(劉徳音)が「マイクロン・テクノロジーズ(以下、マイクロン)はメモリー技術ですでにサムスンを追い越した」とさらりと口にした。

マーク・リュウのこの発言に注目した人は市場にはあまりいなかったが、私には衝撃的ない一言だった。メモリー産業のリーディングカンパニーであり、技術の先行者でもあり続けてきたサムスンがマイクロンに抜かれたというのか。一体何があったのか調べてみなければならないと思った。

マーク・リュウはそれ以上話さなかったので、私は複数の業界関係者に尋ねてみた。しかしこの件について知っていう人がほとんどいなかぅたため、資料をよく調べて、半導体関係のキーパーソン数人にもう一度聞いてみた。すると本当にマイクロンがサムスンを抜いていたことが分かった。

先に結論を言うと、NANDフラッシュ分野では現在、マイクロンがサムスンを追い抜いたのは確実だ。マイクロンの176層3D NANDフラッシュはすでに量産に入っているが、サムスンはまだ128層だ。

DRAM技術については、マイクロンは当初はやはり遅れていたが、その後猛追して2021年の第1四半期にはサムスンとSKハイニックスに先駆けて1αプロセスの量産に入り、2022年には1βプロセスも量産を開始した[マイクロンメモリジャパンの広島工場で製造開始]。
マイクロンとサムソンの今回のメモリ覇権争いは、さぞ見応えのあるものになるだろう。
この米韓メモリ―戦争を分析するのは、まず産業競争のマクロ環境から考察する必要がある。

各社の発展を左右するメモリーの3つの重要な流れ

モリー業界については、マイクロンがサムソンの技術を先行したこと以外に、3つ目の重要トレンドがあることにも併せて注意したい。

フォーラムの当日にマイクロニクス会長の呉敏求(ごびんきゅう)がAI時代の到来に伴い、NANDフラッシュがDRAMをサポートするだけでなく、CPU(プロセッサ)を直接的に支援することで、効率的なコンピューティングとストレージが行われるようになると述べた。NANDフラッシュが将来的にはDRAMに変わって主流になることが予想されているが、これがマイクロニクスも確信している大きなトレンドの1つ目である。

また、ロジックICとファウンドリーの生産能力が深刻に不足するなか、日月光半導体CEOと鈺創科技(イートン・テクノロジー)会長のいずれも、2021年と2022年に世界全体で新たに建設された工場は32ヵ所で、この数は2021年6月に国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が予測した29ヵ所より3ヵ所多かったため、産業界が生産能力不足を深く懸念していることが示されたと述べた。

さらに注目に値する点は、この32ヵ所のうちメモリー工場は2ヵ所だけで、他はすべてロジックIC工場だったこと、そしてその後に建設されることになった53ヵ所のなかにもメモリー工場がほとんど見当たらないことだ。この数から、業界はロジックICの将来性については楽観視しているが、メモリーの成長については慎重な見方をしていることが分かる。これが、メモリー業界に関する2つ目の大きなトレンドである。

最後の1つは、メモリーとロジックICの統合(たとえばTSMCやUMC(聯華電子、台湾にある半導体受託製造会社)がマイクロン等と提携することなど)に関心を寄せているのは製造業界だけではないという点だ。IC設計業界が今後、メモリー技術をいかに統合させていくかという点は、メディアテック(台湾の半導体メーカー、ファブレスIC設計企業)会長の蔡明介(さいめいかい)も非常に関心をもっているテーマである。この2つの技術分野をいかにして統合するか、そしてメーカー間でどのような合従連衡が行われるかが、注目に値する3つ目のトレンドである。