じじぃの「カオス・地球_359_林宏文・TSMC・第4章・ASML・AMD」

Semiconductor companies need ASML. Do you? #asml #nvidia #amd

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=-7FKZPj2OkM

ASMLショック→TSMC好決算


ASMLショック→TSMC好決算 揺れる半導体株 市場の先行きは?

2024.04.18 テレ東BIZ
17日の「ASMLショック」とも言える、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの振るわない決算を受けて、18日の東京株式市場の半導体関連銘柄は下げが目立った。
18日は、半導体受託生産大手のTSMC(台湾積体電路製造)の決算にマーケットは注目。決算の結果をどう分析すべきか?この先の半導体市場はどうなるのか?「生成AI祭り」はまだ続くのか?半導体業界に詳しい専門家に聞く。
https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/nkplus/market/post_294835

TSMC 世界を動かすヒミツ

【目次】
はじめに――TSMCと台湾半導体産業のリアル
序章 きらめくチップアイランド
第1章 TSMCのはじまりと戦略
第2章 TSMCの経営とマネジメント
第3章 TSMCの文化とDNA

第4章 TSMCの研究開発

第5章 半導体戦争、そして台湾と日本

                    • -

TSMC 世界を動かすヒミツ』

林宏文/著、牧髙光里/訳、野嶋剛/監修 CCCメディアハウス 2024年発行

2024年の熊本工場(JASM)始動と第2工場の建設決定で、注目が高まるTSMC。創業時からTSMCの取材を続け、創業者モリス・チャンのインタビュー実績もある台湾人ジャーナリストが、超秘密主義の企業のベールを剥がす。
(以下文中の、強調印字は筆者による)

第4章 TSMCの研究開発 より

先端プロセスで圧勝できたヒミツ――インテルサムスンに差をつけた世界シェア9割の壁

先端プロセス技術への参入障壁は巨額の開発費

投資額については、半導体メーカーは一般的に営業収入の5%から8%を研究開発費に充てているが、7ナノメートル以降の先端プロセスになると少なくとも20億ドルの研究開発費が必要になる。仮に5%として計算した場合、企業の営業収入は最低でも400億ドルなければ、20億ドルの研究開発費を捻出できない。現在、営業収入400億ドル以上の半導体メーカーはTSMCサムスンインテルのほかに存在しないため、この「7ナノメートルクラブ」への参加資格が手に入るのは、この3社に限られてしまう。

勝利のカギとなったASMLと先端パッケージ技術

では、TSMCはどうやって7ナノメートルで先行して、インテルサムスンとの距離を広がたのだろうか。そこには主に次の2つの理由があったと私は考えている。

1つ目は、TSMCASML[微細加工に必要な露光装置で圧倒的シェアを誇るオランダの製造装置会社]が長年にわたり緊密な協力関係にあり、7ナノメートルのハイエンドプロセスに使用されるEUV(極端紫外線)露光装置にTSMCが多大な貢献をしてきたことだ。
2つ目は、3D先端パッケージングでTSMCが行っている研究開発の進捗も、7ナノメートルが飛躍的に発展するカギを握っていることである。

TSMCが3Dパッケージング分野で行っている研究開発は、元研究開発担当バイス・プレジデントの蒋尚義(しょうしょうぎ)が2009年にモリス・チャン(張忠謀、ちょう ちゅうぼう)からTSMCに呼び戻されたときに、その必要性を主張したことで始まった。蒋はムーアの法則が限界に近付いているのだから、先端パッケージング技術を活用して、高性能化、低電力消費化、小型化そして伝送速度の高速化をさらに進めた製品を実現すべきだと説いた。こうして、TSMCは2012年から第1世代のパッケージング技術CoWoS[主に高性能コンピューティング向けの先端パッケージング技術]を導入し、次にInFO先端パッケージング技術[主にモバイル向けの先端パッケージング技術]にまで発展させて生産コストを迅速に削減した。このことが、ポストムーア時代の制限を減らす一助となっただけでなく、7ナノメートル技術のボトルネックを解消する会心の一撃にもなった。

TSMCの財務データを見ると、7ナノメートル以降の先端プロセスがすでにTSMCの右肩上がりの業績のカギになっていることが分かる。TSMCの2022年第4半期の財務報告によると、5ナノメートル先端プロセスが営業収入に占める割合は32%で、7ナノメートルが22%、16ナノメートルと28ナノメートルがそれぞれ12%と11%、残りのプロセスはすべて足しても2割強にしかならない。

別な言い方をすると、7ナノメートル以降のプロセス技術が現在のTSMCの営業収入の半分以上を占めるようになったことで、傑出したハイエンドなプロセス技術が会社の絶え間ない成長の原動力となり、TSMCと競合他社との差を広げる競争優位をも形成するようになった。

グローバルファウンドリーとAMDに見る「設計」と「製造」の分離

2018年のグローバルファウンドリーズAMDAdvanced Micro Devicesというアメリカの半導体製造会社の略称)の話に戻す。この年、グローバルファウンドリーズはハイエンドプロセスの開発から手を引き、AMDは7ナノメートルの製造をすべてTSMCに委託するようになった。この2つのできごとが、今後の半導体業界の動向を考えるうえで重要な考察点になると私は考えている。というのも、グローバルファウンドリーズAMDから分離独立したことが、半導体発展史なかで起きた「設計と製造の分離」という大きな潮流を象徴する重要な1ページになったからだ。このメルクマール的なできごとは、半導体産業の研究には格好の教材だ。目下「製造地獄」に陥っているインテルも大いに学ぶところがあるだろう。

1969年に設立されたAMDは当初からインテルと激しく競争し、設計から製造まですべて自社で手掛けていた(IDMモデル)。AMDを設立したジェリー・サンダースは当時「ファブ(半導体製造工場)を持ってこそ、真の男」という有名な言葉を言ったことで知られている。
    ・
AMDで設計と製造の分離を推進したのが、台湾系米国人でAMDのCEOのリサ・スー(蘇姿su、そしほう)だった。スーはAMDを率いてインテルを再び脅かすようになった女傑で、幾度となく半導体業界の風雲児となり、時代の変遷の目撃者にもなった。「ファブを持ってこそ、真の男」という言葉は今なら「ファブがなくても女性の力でこのように出世できる」と言えるだろうか。リサ・スーの存在はAMDは自力で業界から注目されるようになった象徴である。

AMDが世界最強のTSMCに製造委託するという現実的な選択をしたことで、マイクロプロセッサとグラフィックス用チップの世界的版図が塗り替えられた。この影響は今も拡大しつづけている。TSMCファウンドリー事業で成功を収めたことで、AMDにとって提携したいファウンドリーのナンバー1になっただけでなく、エヌビディア、クアルコムブロードコム、メディアテック(聯発科技)といった多くのファブレスIC設計会社からも真っ先に選ばれるファウンドリーとなった。そして工場を持っていた多くの半導体IDMが自社工場の建設計画をさっぱりと諦めて、すべての生産をTSMCに委託するようになった。AMDIDMからIC設計会社へと転じたことは、この大きな趨勢のなかで起きた、最も具体的な例である。

CPU分野で起きているAMDインテルの競争も、今やはっきりと明暗が分かれている。AMDTSMCのプロセス技術が加わったことは、間違いなくAMDに勝利をもたらすカギになった。