じじぃの「カオス・地球_298_日本がウクライナになる日・第6章・日米同盟とNATO」

U.S. bolsters military ties with Japan and Philippines amid Chinese provocations

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https://www.youtube.com/watch?v=rbQTJOhSS4U

U.S. bolsters military ties with Japan and Philippines amid Chinese provocations


Biden says U.S. support for Philippines, Japan defense ‘ironclad’ amid growing China provocations

Apr 11, 2024 PBS NEWS HOUR

WASHINGTON (AP) - President Joe Biden said Thursday that U.S. defense commitment to Pacific allies was “ironclad” as he gathered Philippine President Ferdinand Marcos Jr. and Japanese Prime Minister Fumio Kishida at the White House on Thursday in the midst of growing concern about provocative Chinese military action in the Indo-Pacific.
https://www.pbs.org/newshour/politics/biden-says-u-s-support-for-philippines-japan-defense-ironclad-amid-growing-china-provocations

『日本がウクライナになる日』

河東哲夫/著 CCCメディアハウス 2022年発行

プロパガンダにだまされるな。「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という単純な見方でウクライナ危機の深層は分かりません。外交官・作家としてソ連・ロシア観察50年の実感から書いた、歴史・軍事・地政学に基づくロシア・ウクライナ関係の多角的分析。

第6章 日本をウクライナにしないために――これからの日本の安全保障体制 より

日米同盟とNATO、その他の緩い連結

この1、2年、イギリスを筆頭に、フランスやドイツの軍艦が太平洋にやってきて、日本に寄港する例が増えている。

イギリスは2021年9月、できたての新鋭空母「クィーン・エリザベス」号とその艦隊を神奈川県の横須賀に寄港させた。これは何と言っても世界におけるイギリスの地位(国連安保理P5[Permanent members(常任理事国)]の一員であること)を誇示するため、そして太平洋に残るイギリスの領土、利権を守るために派遣されたものだ。新鋭の戦闘機F35Bを積載、空母を守るための付随艦もついているから、有事には大変な戦力となる。フランス、ドイツの軍艦も同じような考えでアジアにやってきて、日本に寄港している。

加えてオーストラリアが最近めっきり防衛づいて、日本にも軍艦を派遣している。これはオーストラリアの資源の大口顧客になったからと言って、上から目線で接してくる中国にキレての対応だ。

オーストラリアは、アメリカ、イギリスから原子力潜水艦製造の技術も手に入れようとしている。オーストラリアは人口わずか2600万人弱だが、GDPではブラジルと同等の世界第13位ほどで、今回の制裁後のロシアより経済力がある。この国が対中国を念頭に、日本との連携を強めているのは、日本にとっても心強いことだ。
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こうした取り込みがあると、日本とこれらの国の間の関係は、日米同盟とNATOその他が一体化したような効果を生じる。つまりこれらの国の軍艦が、日本や台湾の安全のためにも動いてくれることになって、日本の防衛にも役立つだろう。

「自由」「民主主義」――その美しい言葉に惑わされない

宇露戦争のようなことが起きると、すぐ、「ウクライナの自由を守れ」とか「民主主義ウクライナを守れ」といった言葉が、欧米のマスコミでは出てくる。まあ、みんなを盛り上げるにはこれでいいのだけれど、ウクライナにそれほど自由があったか。民主主義があったかというと、「?」と思ってしまう。ウクライナでは反政府のジャーナリストが殺されることも珍しくなかったし、多数の国会議員には財閥の息(カネと読む)がかかっていたからだ。

だからと言って、これでロシアが武力攻撃する権利があるかと言ったら、まったく逆。ロシアの帝国主義と腐敗は、ウクライナの腐敗よりもっとひどい。ウクライナは武力で他国を侵略することまではしていない。

で、話を続けると、ヨーロッパやアメリカの政府には「自由」とか「民主主義」を標榜する資格があるのかと言うと、これにも「?」がつく。これらの概念は近世以降のヨーロッパ、そしてアメリカで、時には流血の闘争を伴いながら、納豆のように醸成されてきたものだ。でもヨーロッパの多くの国は今、民主主義がガン化したポピュリズムに染まっている。良識が通らない。

トランプ時代のアメリカに至っては、開いた口がふさがらない。既に述べたように、彼が「自由」とか「民主主義」の言葉を口にしたのがない。最後は暴徒を扇動して議会を襲撃させ、大統領選挙の結果を覆そうとした。トランプ以前、ネオコンたちが民主主義を中東に広めてやるのだ」と叫んで戦争をしかけた時に、アメリカの言う「自由」とか「民主主義」には既に大きな疑問符「?」がついていたのだは、トランプはこれらの美しい言葉を泥の中で踏みにじった。

でも、僕は自由が好きだ。自分の自由を確保するのは、他の人たちの自由も確保できる社会、つまり民主主義の社会を作らないといけない。

日本人の大多数もそう思っているだろう。

日本は次に言うように、中世の欠点をまだたくさん引きずってはいるけれど、見まわしてみると世界の中でも稀なほど、自由で民主的、以前からの集団主義は残ってはいるが、若者はもう少し個人主義(いい意味での)になっている。オリンピックで溌剌(はつらつ)として、「楽しんできたいと思います」という青年アスリートたちを見ると、ああ良かった、この点ではずいぶん前進したのだと思う。1964年の東京オリンピックの頃は、「国のため、日本のため、全力を尽くします」が定番だったのだから。

だから僕は、今回のように「ウクライナの自由を守るために、ロシアを制裁しろ」と言われれば、まず日本自身にとっての都合を考える。ウクライナに自由があったかどうかは、わからないからだ。制裁することが日本の外交・経済にどういう影響を与えるのか、受ける損失に見合った利益を日本は得ることができるのか、制裁した場合、あるいはしなかった場合、日本の対米・対中・対欧関係はどうなるのか、様々のことを天秤にかけて決めないといけない。それも素早く、日本だけ決定が遅れると目立ってしまい、欧米からは「足りない」と言われ、ロシアからは狙い撃ちの報復措置を取られてしまう。