じじぃの「カオス・地球_295_日本がウクライナになる日・第4章・プーチノミクス」

国産化を推進するチャンス」アピールも…ロシア国産車「モスクビッチ」は中国製か?(2023年1月16日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=g-g6swr3bRo

旧ソ連時代の自動車ブランド「モスクビッチ」


アングル:ロシアで中国自動車メーカー急拡大、西側撤退の穴埋める

2023年7月24日 ロイター
ロシアの首都モスクワで昨年11月、旧ソ連時代の自動車ブランド「モスクビッチ」の復活生産を祝う式典が開催された。フランスのルノーがロシア事業撤退を決めて、モスクワ市に1ルーブル(約1.6円)で売却した工場で生産されたのがモスクビッチだ。

しかし、モスクビッチ復活は、中国がロシア自動車産業で影響力を急速に高めていることも表れでもある。
生まれ変わったモスクビッチのモデル「3」は、かつての姿とは似ても似つかない流線型の4ドアSUV(スポーツタイプ多目的車)。中国の安徽江淮汽車集団(JAC)製のエンジン部品や内装を模しているのは明白だ。
https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2Z108J/

『日本がウクライナになる日』

河東哲夫/著 CCCメディアハウス 2022年発行

プロパガンダにだまされるな。「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という単純な見方でウクライナ危機の深層は分かりません。外交官・作家としてソ連・ロシア観察50年の実感から書いた、歴史・軍事・地政学に基づくロシア・ウクライナ関係の多角的分析。

第4章 ロシアは頭じゃわからない――改革不能の経済と社会 より

経済立て直し作戦「プーチノミクス」

「なんちゃって民営化」とオリガークの台頭
プーチンにはユーモア感覚があった。ロシアを斜めに見ていて、その欠点をちくっとやるのである。

2011年4月、プーチン首相(当時)は実業家プロホロフに呼ばれ、彼の工場で作ったハイブリッド車に一緒に試乗した。プーチンはテレビカメラに聞こえるような声で冗談を言う。

「君、大丈夫だろうね。乗ったらばらばらになってしまうようなこと、ないよね」

プーチンの冗談は可笑しくてそのまま哀しい、ロシア製造業の後進性を象徴している。ジェームズ・ポンドの映画『007』にも、ソ連製の人工衛星が登場するが、飛行士はもう長時間地球に戻れず飲んだくれ、衛星は旧式、ガタピシして分解寸前。

それがロシア製造業のイメージ。加工技術がなっていなかった。これは先進的な工作機械を入手できなかったことが主な原因である。冷戦のため、欧米、日本が、兵器製造に転用できる先進工作機械の輸出を止めていたのである。

だからソ連の潜水艦のスクリューは雑音を出し続けたし、ジェット機のエンジンはタービンのブレードの精度に問題があって出力が弱く、寿命も短かったのである。

当時のIL62という、姿は非常に優美なジェット旅客機があり、僕も何度も乗ったが、これは離陸するまで時間がかかり、ひょっとすると羽田からモスクワまで陸上を走り続けるつもりなのかと思わせたものだ。
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ロシアの企業はソ連崩壊後、民営化されたことになぅている。しかしそれも全部ではなく、民営化されても看板の掛け替え程度「なんちゃって民営化」が多かった。

ロシア国内には国営企業の株式を大量に購入するための資本はなく、市場経済の下で働いた経験を持つ起業家や中堅幹部も皆無だった。ろくな資産価値算定も行われず、企業は政権のお友達や山師の類に二束三文で売却される。

これが、今「オリガーク」(寡占資本家)と呼ばれる者たちの由来、そのうちほとんどはプーチンによって征伐されて、彼の友人が新しいオリガークとなって陣取っている。西側専門家は「しゃにむに民営化すれば、後はすべてうまくいく」ようなことを言っていたが、それは学者の空論だったのである。
   
ロシアでは経済は政治
計画経済の経済は経済ではない。それは指令であり、官僚主義であり、政治なのだ。

資源や権限が独占されている計画経済では、ものごとを変えるのは政治力である。ソ連時代は、ものが計画遂行に必要な分しかなく、よく鉄道の貨車が不足した。シベリアの奥地で何かを作っても、それを搬出するための貨車が「今ございません」ということになるのだ。どこから強引に貨車をひっぱってくるには、モスクワの共産党中央委員会で、例えば自動車を管轄する部と鉄道を管轄する部が相談してやってもらうしかない。こうして小さな経済問題も政治の介入、つまり上からの命令がないと解決できないのである。
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ソ連時代は自動車公団とか化学工業公団とかが、分野ごとにあって商談をしたから良かったが、今ではこういう公団は弱体化している。だから、今のロシアは経済案件でも政府同士で決めようとするのである。西側の政府は民間企業を代表して商談を行う権限は持っていないので、困ってしまう。

ロシアの役人、特にプーチンの権力の基盤となっている公安機関の連中は、経済とは命令で動くものだと思い込んでいる。いくら市場経済のことを頭で知っていても、心に沁みついているのは「命令」、「指令」。「市場とか自由競争とかで、ものごとがうまくいくはずがない。誰かが糸を引いているに違いない」と思い込んでいるのである。

そういうことは西側でも起きるが、ロシア人の考えは度を越えている。こういう連中が、自分は経済のことも知っている、経済のこともまかせておけ、と思っているので、傍は迷惑するのだ。