じじぃの「カオス・地球_272_すばらしい医学・一酸化炭素中毒の症状」

排気ガスによる一酸化炭素中毒の危険 「車の立ち往生」に注意…日頃から車に毛布や防寒着の準備を

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2OI78AvqMM8


新型コロナと思ったら、まさかの一酸化炭素中毒 冬のいろいろな発生条件

2022/12/11 Yahoo!ニュース
一酸化炭素中毒は風邪と似ている
一酸化炭素を吸うと、ものすごいスピードで肺から血液中に移行します。酸素を一緒に運搬するはずだったヘモグロビンが一酸化炭素に乗っ取られてしまうことから、体中に酸素が行き渡らなくなります。

一酸化炭素は、無色・無臭の気体です。いつの間にか、頭痛や吐き気などの中毒症状が出現して、重症になると死亡するリスクもあります。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5bffaacb11a696288bbd32ffa52d23627ff62725

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】
はじめに
第1章 あなたの体のひみつ
第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術

第5章 人体を脅かすもの

おわりに

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『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

第5章 人体を脅かすもの

目に見えない脅威 より

一酸化炭素は怖い
経済産業省が発行する「CO(一酸化炭素)中毒事故防止技術」というテキストには、一酸化炭素中毒に関して「専門家でも誤診する場合がある」との注意書きがある。

実際、医師は一酸化炭素中毒について「見逃されやすい救急疾患」として再三教育され、救急医療の教科書には必ず詳細な解説が掲載されている。

なぜ見逃しやすいのだろうか? それには理由がある。
まず、一酸化炭素中毒の患者は、体に酸素が足りていないのに「血色が良い」という点だ。私たちは、顔が青白い状態を「顔色が悪い」と表現する一方で、適度に赤らんだ状態なら「顔色がいい」「色つやがいい」とポジティブな印象を持つ傾向がある。そのため、一酸化炭素中毒患者の顔色の良さは、一見すると病的に思われにくいのだ。

では、なぜ一酸化炭素中毒の患者は「血色が良い」のだろうか。これを理解するには、体内での酸素運搬のしくみを知る必要がある。

私たちは、呼吸によって大気から酸素を取り込まなければ生きられない。全身の臓器が正常に機能するには、酸素を使ってエネルギーを産生する必要があるからだ。
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さて、実は酸素が結合したヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン)と、結合していないヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン)は色合いが異なる。酸素化ヘモグロビンは明るい赤、脱酸素化ヘモグロビンは青みがかった暗い赤を呈するのだ。酸素を多く含む動脈血は明るい赤色に、酸素の少ない静脈値は暗い赤色になるのは、それが理由である。

酸素が足りないときに、皮膚が青白くなることを「チアノーゼ」という。これは、脱酸素化ヘモグロビンが増え、透けて見える毛細血管の中の血液が青みがかっているために起こる現象だ。

一酸化炭素が恐ろしいのは、酸素の200倍以上もヘモグロビンに結合しやすいことだ。一酸化炭素を少量でも吸入すると、ヘモグロビンは一酸化炭素と次々に結合し、血液中にあっという間に浸透してしまう。「荷台」を一酸化炭素で占められた赤血球は、酸素に運搬できなくなる。

厄介なのは、一酸化炭素ヘモグロビンが明るい赤色を呈することだ。これが、一酸化炭素中毒患者の血色が良い理由である。臓器は著しい酸素不足に陥り、顔色が良いまま「窒息」するのである。

さらに厄介なのは、血中酸素飽和度を示す「SpO2」という指標を持ってしても、一酸化炭素中毒は見抜けないことだ。

SpO2は、指に装着するだけで血液中の酸素飽和度を簡易的に測定できる検査機器「パルスオキシメータ」を用いて得られる数値だ。血圧計や体温計とともに、医療現場では毎日のように使用されるモニタリング機器である。

この機器は、指先の血管内に流れる血液中の酸素化ヘモグロビンの割合を検出し、これを「パーセント」で表示する。正常値は約98~99パーセント、つまり、「ほとんどのヘモグロビンが酸素と結合している状態」が正常だ。

パルスオキシメータは血液の「赤みの差(吸光特性の差)」を感知して、酸素飽和度を簡易的に知られるしくみだ。だが、一酸化炭素ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンを区別できないパルスオキシメータは、一酸化炭素中毒でも正常値を表示してしまうのである。

一酸化炭素中毒を診断するのは、血液を採取し、血液中の一酸化炭素濃度を測定しなければならない。疑わなければ見抜けない――。それが「見逃されやすい」といわれる所以(ゆえん)だ。

一酸化炭素中毒の症状
空気中の一酸化炭素は、たとえ低い濃度であっても人体にさまざまな症状を引き起こす。わずか0.16パーセントでも20分で吐き気やまいが起こり、2時間で死亡する。1.28パーセントに達すると、わずか1~3分で死に至る。

一酸化炭素は、自宅や車内などの身近な空間でも発生し得る気体で、一酸化炭素中毒は毎年絶えず発生している。例えば、暖房器具の不完全燃焼は、その最たる例だ。また、屋外で使用すべきコンロや七輪、火鉢などの火気器具を屋内で使用したことが原因で、一酸化炭素中毒になる例もある。

2022年12月には、自家用車内で女性が亡くなった事例が報道された。積雪で車のフラーが埋まり、換気が不十分なまま車内に一酸化炭素が蓄積したためだ。その地域では前夜から停電が起きていて、自宅前の車内で暖をとっていた最中に事故が起きたと考えられている。

東京消防庁の管轄内では、2017年からの5年間に、住宅で33件の一酸化炭素中毒事故が発生し、45人が救急搬送されている。もっとも発生件数が多いのは1月と12月、その次に多いのは2月だ。火気器具の使用が多くなる時期だからである。

一酸化炭素が人間にとってなにより脅威なのは、それが全くの無色無臭であることだ。異臭がしたり、怪しげな色の煙が上がったりするのであれば、私たちはその危険性に気づくことができる。ところが一酸化炭素は、不快な臭いもなければ肉眼で観察することもできない。

もちろん、生きていくのに不可欠な酸素ですら無色無臭であり、私たちはその存在を感知する術(すべ)を持たない。ある意味で人間の生とは、これほど危ういのである。