黒体放射スペクトル
プランクの法則
ウィキペディア(Wikipedia) より
プランクの法則(Planck's law)は、黒体放射のスペクトルに関する法則であり、量子力学の基本法則のひとつである。プランクの公式とも呼ばれる。この公式から導かれるスペクトルと温度特性は、全波長領域において、熱放射の実験結果から予想される黒体放射のスペクトルと一致する。
1900年、ドイツの物理学者マックス・プランクによって導かれた。プランクはこの法則の導出を考える中で、物体が光を吸収または放射する時、そのエネルギーは、エネルギー素量(現在ではエネルギー量子と呼ばれている)ε = hν の整数倍でなければならないと仮定した。この量子仮説(量子化)は、その後の量子力学の幕開けに大きな影響を与えた。
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『宇宙とは何か』
松原隆彦/著 SB新書 2024年発行
第5講 微調整問題と人間原理 より
奇跡的な宇宙
我々の宇宙だけでなく、たくさんの宇宙がある、それも無数にあるという「マルチバース論」が出てくるのには、必然性があると言える背景があります。
単純に言うと、この宇宙があまりにも奇跡的な存在だということです。生命や人間が存在する宇宙は、ものすごく大変な条件を重ねなければできません。
それなのに、現実にこの宇宙が存在するのはなぜかと考えたとき、マルチバースは1つの解決策になります。無数に宇宙があれば、その中に1つくらい奇跡の宇宙があってもおかしくありません。ある意味では、この奇跡的な宇宙への疑問を、安易に解決する方法がマルチバースなのです。
ではどのくらい奇跡的なんでしょうか。今回はその話をします。
測定してはじめて決まる「パラメータ」
自然界には、測定によってはじめて決まる定数がいくつもあります。物理の法則には、こうした物理定数が必ず含まれています。
たとえば、電気力は電子の電荷がどのくらいかによって決まります。電荷とは粒子や物体が帯びている電気の量のことです。電気量を測ると、最小単位の整数倍になっており、その最小単位を電気素量と言います。電気素量はどこで測っても同じです。一定の値が見つかるわけですが、なぜその値なのかという理由は見つかりません。理論上は、その値である必然性がなく、どんな値であってもいいはずです。
重力定数もそうです。
ニュートンが見つけた「万有引力の法則」は、万有引力は2つの物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するというものです。この関係における比例定数は重力定数と呼ばれます。重力定数は、測定によって決まったものであって、この値でなければならない理由がありません。
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どうも自然界のパラメータは、この宇宙に生命が誕生するように微調整されているふうに感じます。なぜか我々にとって都合のいい値になっているんです。まるで神様がパラメータを自由に変えることのできる機械を持っていて、生命を誕生させようと細かく調整しているかのようです。パラメータの値には必然性が見つからないため、いまの物理学では説明ができないのです。
これを「宇宙の微調整問題」と呼びます。
宇宙には、測定してはじめてわあるパラメータが、現状見つかっているもので40個あります。そのすべてが、この宇宙を成り立たせるのに微妙な値をなっています。
いくつかのパラメータを見ていきましょう。
弱い重力
まず、重力定数Gです。先ほど重力が弱いと説明したように、これはとても小さな値を取ります。あまりに小さく、現在に至るまであまり正確には測定できないくらいです。
アインシュタインの理論における重力定数とは、物体がまわりの時空間を曲げる大きさに対する比例定数です。つまり、重力定数が大きいほど、物体のまわりの時空間のゆがみが大きくなります。
もしも光速度が遅かったら
次に光速度です。1秒間に約30万kmという速さです。
仮にこの光速度が遅かったらどうなるか考えてみましょう。日常生活で時間や空間のズレを意識しないのは、光速度があまりに速く、それに比べて我々が遅いからです。移動している人と止まっている人とでは時間がズレますが、あまりにもわずかなので感じません。
光速度を遅くすると、時間や空間のズレが大きくなります。光速度を遅くするほど、相対的な効果が大きくなり、たとえば少し動くだけで、止まっている人との時間が何十秒もズレたりします。
ミクロの世界にあらわれる「プランク定数」
プランク定数hもパラメータです。
第3講で出てきましたが、覚えていますか?
そうです。古典力学で説明できる身のまわりの世界と、古典力学が通用しないミクロの世界、その境目を決めているのがプランク定数です。その値は6.62607015 × 10-34m2 kgs-1です。10-34という小さな因子が含まれていますから、とても小さな値であることは直感的に理解できるかと思います。プランク定数はごく小さい値のため、原子ほどのミクロの世界に踏み込まない限り古典力学で説明できてしまうんです。
さて、ミクロの世界では、不確定性原理によって、粒子の位置と速さが同時に決まらないんでしたね。位置を決めると速さがわからなくなり、速さを決めると位置がわからなくなります。両方を同時に正確に決めることが原理的にできません。プランク定数は、その原理的な決まらなさ具合がどの程度なのかをあらわしています。
プランク定数はとても小さな値ですが、0では困ります。0でない小さな値であるからこそ、原子の中では電子が原子核に吸い込まれることなく安定していられます。
それでは、プランク定数が実際より大きかったらどうなるでしょうか。量子力学で記述すべき範囲が広がるということで、簡単にいえば、原子の中で起きていることと同じことが大きな世界でも起こるということです。
かりに、人間は現状のまま、プランク定数だけ大きくしてみます。すると、たとえば2人で向かい合って話をしようと思っても、お互いに場所と速さがぼやけていて、コミュニケーションができたものではありません。相手の場所をいったん絞り込んでも、またすぐにどこかへ行ってしまいます。
また、量子トンネル効果が働いて、部屋の中にいても外にあったものが突然中に入り込んできたり、あるいはその逆のことが起こったりしかねません。プライバシーもへったくりもありませんね。
プランク定数の大きな世界は、あまりにも混沌とした世界です。プランク定数が小さくてよかったです。
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じじぃの日記。
松原隆彦著『宇宙とは何か』という本に、「ミクロの世界にあらわれる『プランク定数』」というのがあった。
プランク定数hは光が波であることを表わす式に、必ず出てくる。
シュレーディンガー方程式
シュレーディンガー方程式は、運動量と波長を結びつけるド・ブロイの式を一般化したもの。
ド・ブロイの式
ド・ブロイの式は下記のように書かれる。
λ = h/p
左辺のラムダλの記号は、波長をあらわす。これは明らかに波の特性である。右辺の分母のpは、運動量をあらわす。これは明らかに粒子の特性だ。その2つを結びつけているのがプランク定数のhで、これは量子物理学のあらゆる方程式に出てくる数字だ。
ド・ブロイの式は一見シンプルで美しい。
しかし、シュレーディンガー方程式(複雑な式)には、まったくついていけません。
でも、何か重要な方程式のようです。
最後にひとつ、プランク定数に関する追記。
20世紀初期に量子物理学が発達すると、物理学者は自分の記述する方程式にたびたびhが2πで割られるかたちで出てくることに気づくこととなった。
たとえば、原子内の電子の軌道運動の強さ(すなわち電子の「軌道角運動量」)はh/2π、または2(h/2π)、3(h/2π)、……などと等しい値になっていたのである。そこで物理学者は略記として、h/2πをħ(hの縦線に短いバーをクロスさせたもの)と表記して、「エイチ・バー」と呼ぶようになった。
だそうです。