じじぃの「科学夜話・第5講・奇跡的な宇宙・地球・重力!宇宙の雑学」

Newton's Principia Explained Part I

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=abwoL-g8SWc

Newton's cannonball


万有引力

ウィキペディアWikipedia) より
万有引力(universal gravitation)とは、「この宇宙においては全ての質点(物体)は互いに gravitation(重力)・attraction (引力、引き寄せる作用)を及ぼしあっている」とする考え方、概念、法則のことである。

一般相対性理論と重力】
アインシュタインは、光速度に近い場合の力学として、1905年に特殊相対性理論を発表した後、加速度運動を含めた相対性理論の構築に取り掛かかった。そして重力場を時空の幾何学として取り扱う方法を模索し、1916年に一般相対性理論を発表した。
アインシュタイン重力場の方程式(アインシュタイン方程式)では、万有引力はもはやニュートン力学的な力ではなく、重力場という時空の歪みである、と説明されるようになった。また、重力の作用は、瞬時ではなく光速度で伝えられる、とされるようになった。
ニュートン万有引力の法則では、質量を持った物体間の力であるとされるので、質量を持たない物質には万有引力は存在しないこととなる。 一般相対性理論では、重力が時空の歪みであるとするため、光の軌道もまた重力によって曲がることを意味する。これはアーサー・エディントン による観測で実証されることになった。

一般相対性理論は、非常に強い重力が働く場を記述する。 太陽系であれば、ニュートン力学に若干の補正項が加わる程度なので、ニュートン力学はその意味で近似的に正しいと考えて差し障りない。例えば前述の光の軌道の歪みについても、太陽の近傍においてようやく観測され得るものである。 アインシュタイン方程式は、通常の物理の方程式と同様、時間反転に対して対称なので、宇宙全体に適用すると、重力の影響で収縮宇宙の解と共に、膨張宇宙の解が得られる、という。

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『宇宙とは何か』

松原隆彦/著 SB新書 2024年発行

第5講 微調整問題と人間原理 より

奇跡的な宇宙

我々の宇宙だけでなく、たくさんの宇宙がある、それも無数にあるという「マルチバース論」が出てくるのには、必然性があると言える背景があります。

単純に言うと、この宇宙があまりにも奇跡的な存在だということです。生命や人間が存在する宇宙は、ものすごく大変な条件を重ねなければできません。

それなのに、現実にこの宇宙が存在するのはなぜかと考えたとき、マルチバースは1つの解決策になります。無数に宇宙があれば、その中に1つくらい奇跡の宇宙があってもおかしくありません。ある意味では、この奇跡的な宇宙への疑問を、安易に解決する方法がマルチバースなのです。

ではどのくらい奇跡的なんでしょうか。今回はその話をします。

測定してはじめて決まる「パラメータ」

自然界には、測定によってはじめて決まる定数がいくつもあります。物理の法則には、こうした物理定数が必ず含まれています。

たとえば、電気力は電子の電荷がどのくらいかによって決まります。電荷とは粒子や物体が帯びている電気の量のことです。電気量を測ると、最小単位の整数倍になっており、その最小単位を電気素量と言います。電気素量はどこで測っても同じです。一定の値が見つかるわけですが、なぜその値なのかという理由は見つかりません。理論上は、その値である必然性がなく、どんな値であってもいいはずです。

重力定数もそうです。
ニュートンが見つけた「万有引力の法則」は、万有引力は2つの物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するというものです。この関係における比例定数は重力定数と呼ばれます。重力定数は、測定によって決まったものであって、この値でなければならない理由がありません。

このように、理論的に決めることができない数値のことを「パラメータ」と呼びます。パラメータはどんな値であってもよいはずなのに、なぜかこの宇宙では1つの値に決まっています。

パラメータのいくつかは、値を少しでも変えるとこの世界が大きく変わってしまうことが知られています。宇宙に生命が誕生できなくなってしまいます。

重力はものすごく弱い一方で電気力が強いことに必然性はないのですが、そうでなければ生命は生きていくことができません。

重力って弱いんですか? なんか強そうな響きですけど。

重力とは、物体間に働く引力です。確かに地球程度の大きさにもなれば強く引っ張られますが、たとえばリンゴを2個離して置いても、その間に引力はまったく感じられませんよね。一方、電気の力は感じられます。静電気がわかりやすいのではないでしょうか。下敷きを頭にこすってみると、静電気で髪の毛が重力に逆らって逆立ちます。電気力に比べて、重力は桁違いに弱いんです。

これは実は生命にとって重油な条件です。
重力が今より大きい場合を考えてみましょう。人間は立って歩けなります。そもそも物体が形を保っていられるのは、物体を形づくっている原子の間に働く電気力のおかげです。人間は重力を電気力で支えているのです。

もし、重力が大きいか、電気力が小さいかして、重力と電気力の差が小さくなれば、人間は今の姿ではいられません。支えるために太い足が必要になります。さらに重力と電気力の比が小さくなると、人間のような動物は這(は)いまわることさえできなくなります。

これは1つの例です。重力と電気力の比を変えると、人間だけでなく、宇宙全体に大きな影響があり、生命の誕生自体の見込みが薄くなるでしょう。

どうも自然界のパラメータは、この宇宙に生命が誕生するように微調整されているふうに感じます。なぜか我々にとって都合のいい値になっているんです。まるで神様がパラメータを自由に変えることのできる機械を持っていて、生命を誕生させようと細かく調整しているかのようです。パラメータの値には必然性が見つからないため、いまの物理学では説明ができないのです。

これを「宇宙の微調整問題」と呼びます。
宇宙には、測定してはじめてわあるパラメータが、現状見つかっているもので40個あります。そのすべてが、この宇宙を成り立たせるのに微妙な値をなっています。
いくつかのパラメータを見ていきましょう。

弱い重力

まず、重力定数Gです。先ほど重力が弱いと説明したように、これはとても小さな値を取ります。あまりに小さく、現在に至るまであまり正確には測定できないくらいです。

アインシュタインの理論における重力定数とは、物体がまわりの時空間を曲げる大きさに対する比例定数です。つまり、重力定数が大きいほど、物体のまわりの時空間のゆがみが大きくなります。

重力はとても弱いので、地球という大きな物体によって時空間が曲げられているものの、その曲がり方はとても小さく、我々には実感できません。これは人間にとって都合のいいことです。

しかし、現実より10億倍ほど重力定数が大きかったら、地球上で時空間の曲がりを実感できるでしょう。光がまっすぐ進めなくなり、地球から光を発射しても戻ってきてしまいます。ブラックホールのようになるのです。また、地球は自らの重みを支えることができなくなり、地面すら存在しなくなります。そんなところに人間は住めませんよね。

逆に重力がもっと弱かったらどうでしょうか。
宇宙で物質が集まって天体になったり、天体同士が集まって銀河になったりするのは重力が働いているからです。重力が弱ければ、それだけ物質が集まるのに時間を要することになります。それだけなら、時間さえかければいいように思いますが、宇宙が膨脹していることと合わせて考えると、結局天体ができないまま終わるでしょう。

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じじぃの日記。

松原隆彦著『宇宙とは何か』という本に、「奇跡的な宇宙」というのがあった。

ニュートンが見つけた『万有引力の法則』は、万有引力は2つの物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するというものです。この関係における比例定数は重力定数と呼ばれます。重力定数は、測定によって決まったものであって、この値でなければならない理由がありません」

ニュートン万有引力の法則では、質量を持った物体間の力であるとされるので、質量を持たない物質には万有引力は存在しないこととなる。

アインシュタイン一般相対性理論では、重力が時空の歪みであるとするため、光の軌道もまた重力によって曲がることを意味する。

ニュートンは、この宇宙の時空は絶対的なもの(「絶対時間と絶対空間」)であるとした。

アインシュタイン相対性理論では、「時間や空間は絶対的なものではなく、伸び縮みするもの」であるとした。
   
数学ミステリー白熱教室 第4回「数学と物理学 驚異のつながり」 より
2015年12月4日 NHK Eテレ
【講師】エドワード・フレンケル(カリフォルニア大学バークレー校教授)
抽象的な数学を突き詰めれば、やがてこの宇宙の法則を次々と解明することに繋がるとも考えられるのだ。
それにしてもなぜ、抽象世界を描くはずの純粋数学が、現実を記述する物理学と深いつながりを持つのか。
今回、特に話をしたいのは、量子物理学とのつながりだ。
数学とは全く異なる、物理学の世界ともつながりがありうる。
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最後に伝えたい言葉がある。
アイザック・ニュートンの言葉だ。

 私は浜辺で遊ぶ子どものようだった。
 浜辺ですべすべした小石や美しい貝殻を拾って喜んでいた。
 しかし、私の目の前には真理の大海原が発見されることなく広がっていたのだ。