Quantum Computers, Explained With Quantum Physics
『宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話』
松浦壮/著 新潮新書 2015年発行
第5話 石ころが語る宇宙の理 より
ケプラーの勝因
ニュートンの時代、ティコ・ブラーエの精密な観測のおかげもあって、惑星の運動には一定の法則があることが分かっていました。第2話に名前だけ登場したケプラーの法則です。少し込み入っていますが、せっかくの機会です。歴史的に大切な法則でもありますので、その内容をここで述べておきましょう。
ケプラー第1法則 惑星は太陽を焦点の1つとする楕円運動をする
ケプラー第2法則 惑星の面積速度は常に一定である
ケプラー第3法則 惑星の公転周期の2乗は同じ惑星の楕円軌道の半長径の3乗に比例し、その比例係数は惑星の種類によらない
第1法則は革命的でした。ケプラーの時代、星の世界はまだ神の座でした。惑星に神様の名前がつけられていることからも推察できるように、天動説にしても地動説にしても、神の座にある星々の運動には美しい真円こそがふさわしい、という前提がありました。神の世界の運動が真円ではなくひしゃげた楕円であるというのは極めて衝撃的だったようです。
楕円の定義は、特定の2点からの距離の和が一定であるような曲線です。ですから、楕円を描きたければ、2本の釘に紐を結び、その紐がたるまないように鉛筆を1周させれば良いことになります。この時に固定する2つの点を「焦点」と呼びます。
第1法則は、惑星は楕円軌道を描いていて、太陽の場所はその楕円の焦点の1つになっていることです。ちなみに円というのは1点からの距離が1定であるような曲線ですから、2つの焦点がたまたま同じ点であるような特別な楕円と言えます。楕円はひしゃげていますから、円で言えば半径に相当する長さが2つあります。その長い方が第3法則に出てくる半長径です。ちなみに短い方は半短径と呼ばれます。
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強調しておきたいのは、ケプラーの時代にはこれらの法則がなぜ成り立つのかまでは、分かっていなかった、ということです。理由はわからないけど成り立つ法則というのは大切です。なぜなら、その背後により深い原理が隠されていることを強烈に示唆するからです。ニュートンの時代には、これだけの背景が既に整っていたのです。
しかもニュートンには、自らが見出した運動の3法則があります。重力が、質量を持つ全ての物体の間に働く万有引力であり、惑星の運動は太陽と惑星の間の重力が生み出しているだろうという見立ても出来ている。お膳立ては全て整っています。あとはこの状況から、「重力」という力の詳細を推論するだけです。ニュートンはこの計算を実際に実行し、重力の強さが物体の距離の2乗に反比例すれば、ケプラーの法則は全て運動の法則から導かれることを示しました。つまり、距離が2倍になると、重力の強さは4分の1になるのです。
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いかがでしょう? 「ニュートンには、重力を発見するだけの下準備が整っていた」と言った理由がわかっていただけたでしょうか。
ニュートンの時代は、ガレリオが残した自然へのアプローチと相対性原理をはじめとする地上の運動にまつわる法則が出揃っていました。しかも、惑星の運行に関してはティコの詳細なデータとケプラーの法則が見つかっていたのです。まさに「機が熟す」という言葉がピッタリです。
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どうでもいい、じじぃの日記。
万有引力の法則。
「2つの物体には、その2つの物体の質量に比例し、その物体間の距離の2乗に反比例する強さの引力が働く」
似たようなことを先に、ケプラーが発見していたらしい。
まさにニュートンの万有引力は、「機が熟す」という言葉がピッタリです。
この間、サイエンスZEROで「量子コンピューター」をやっていました。
どうも、理論は成立しているみたいですが、なかなか実用化できないようです。
まだ「機が熟していない」のでしょうか。
もう10年経てば、一斉にパッと花が咲くのでしょうか。