じじぃの「カオス・地球_264_すばらしい医学・便の硬さ・大腸の扇動運動」

過敏性腸症候群】ストレスでおなかが痛くなり下痢や便秘になる病気です。とても悩んでいる人が多いこの病気の原因や対処法をやさしく解説します。

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=_QO0jBWAc18

便の硬さと「ブリストルスケール」

https://www.kango-roo.com/ki/image_1747/ より)

排泄ケア 基本編

●排泄ケアの考え方
自立した日常生活を送るうえで、排泄のコントロールは不可欠なもの。
排泄の支援は、生活全般の支援にもつながります。
食事や入浴と違って排泄は待ったがきかない生理現象です。
排泄ケアは生活の基本、介護の基本とも言える重要なケアです。
https://www.carenavi.jp/ja/jissen/ben_care/shouka/shouka_03.html

すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険

【目次】
はじめに

第1章 あなたの体のひみつ

第2章 画期的な薬、精巧な人体
第3章 驚くべき外科医たち
第4章 すごい手術
第5章 人体を脅かすもの
おわりに

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『すばらしい医学―あなたの体の謎に迫る知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2023年発行

第1章 あなたの体のひみつ

便の硬さはどのように決まるのか より

便の硬さと「ブリストルスケール」
あなたの大便は、硬くなったり柔らかくなったりと日によってさまざまに形状を変えるだろう。
実は、この便の形状を数値で表現する「ブリストルスケール」というツールがある。イギリスのブリストル大学で1997年に提唱されたものだ。

この基準では、便の形状は「硬くてコロコロの便」から「固形物を含まない液状の便」まで全部で7段階に分けられる(図、画像参照)。

3~5が正常だが、1~2のような硬い便なら、排便時に肛門が傷ついたり、排便しづらくなったりする恐れがある。一方、おむつを着用する人にとって6~7のような水分の多い便は、肛門周囲の皮膚炎などのリスクがある。医療、介護の現場では、必要に応じて便を柔らかくする薬を使ったり、整腸剤を使ったりして、このスケールを適切なレベルに保つことが重視されるのだ。

さて、ではこの便の硬さは一体どのようにして決まるのだろうか?

便の滞在時間と大腸の機能
ふつうに飲食をすると、1日あたり約9リットルの水分が小腸~大腸に入る。このうち、約2リットルは口から摂取したもので、残りの7リットルは消化液である。消化液の分泌量は非常に多く、例えば膵液だけでも1日あたり1.5リットルも分泌されている。

もしこれだけの量の水分がそのまま肛門から出てきたら、毎日恐ろしい量の下痢をすることになってしまう。だが、もちろんそのようなことは起こらない。9リットルもの水分のうち、ほとんどが小腸と大腸で吸収され、便として排出される水分は2パーセント以下になるからだ。消化液として一旦多量の水分を失っても、役目を終えたのち、その大部分を回収することで水分不足を防ぐのである。

水分は、80~85パーセントが小腸で吸収され、10~20パーセントが大腸で吸収される。便に含まれる水分量が少ないと便は硬くなり、水分量が多くなるにつれて便は柔らかくなる。

では、どんなときに便意含まれる水分量が多くなるのだろうか? ここでは、どんなときに下痢しやすいかを想像してみよう。

例えば、暴飲暴食をすると消化液の分泌が多くなり、大腸の吸収能力を超える量の水分が大腸に流れ込み、下痢が起こる。また、食べたものが小腸や大腸に滞在する時間が短いと、水分を吸収できる量が減るため、やはり下痢が起こる。例えば、腸炎になるとお腹がグルグルと音を立て、蠕動(ぜんどう)運動が激しくなり、食べたものの通過速度が上がる。これが下痢の原因になるのだ。

一方、便が硬くなるのはどのようなときだろうか? これも水分の過程を考えれば理解できる。たとえば、大腸の蠕動運動が低下していると、内容物の通過速度が遅くなる。大腸内での便の滞在時間が長くなり、より多くの水分が吸収されるため、便が硬くなるのである。

加齢によって蠕動運動が落ち、慢性的な便秘になることはしばしばある。この場合、緩下剤(かんげざい)などを上手に使う必要があるのだ。