じじぃの「ジム・ロジャーズ・2030年世界地図・第1章・お金が流れ込む国の条件!お金の雑学」

【日本史】 近代71 昭和戦前11 軍部の台頭と第二次世界大戦5 (13分)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hElNQsgdVOI&t=154s

pearl harbor attack


『2030年 お金の世界地図』

ジム・ロジャーズ/著、花輪陽子、アレックス・南レッドヘッド/訳 SBクリエーティブ 2024年発行

ガザ・イスラエル紛争、ウクライナ戦争、台湾有事……。私たちは、人類史上類を見ないほどの混迷の時代を迎えている。世界的混乱はこれからの世界の「お金の流れ」を大転換させつつある。これからの日本と世界は、一体どこへ向かうのか。10年後のお金の世界地図!

第1章 未曽有の大潮流に乗り遅れるな――戦争、世界インフレ、一体一路構想……

お金は「安心」「リターン」「開放性」がある場所に集まる より

お金が流れ込む国の条件
お金の流れは地政学と不可分に結びついている。地政学的な混乱が大きくなれば、当然お金の流れにも変化がもたらされる。

ここからは、地政学とお金の流れの関わりについて語っていくことにしよう。

まず、大前提として確認しておきたいのは、お金は常に、安全で最高のリターンを得られるところに向かうということである。

お金は安全な場所を非常に重視すると同時に、高いリターンを求める。それゆえ、川が水源から河口へと流れていくように、常に安全で高いリターンがある地域へと流れていく。

も;つとも、現在のところ「安全」と「リターン」両方の条件がそろっている国は見当たらない。たとえば、日本は安全性が高い国かもしれないが、今後数十年にわたって高いリターンが得られる国とは言いがたい。なぜなら人口は減少しており、債務も急増しているからである。
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私は、「どこにお金を置けば、安全で高いリターンが得られるか」という視点から世界各国の情勢を毎日チェックしている。世界中を隅々まで見渡して、答えを探してはいるが、それほど多くの候補があるわけではない。

たとえば、中国はどうだろうか。人民元には完全な兌換(だかん)性がないという問題が残っており、ユーロや日本円のように、中国元をインターネット上で売買することはできない。その点が、中国へのお金の流れを阻害する要因となっている。

ただ、中国が有力候補の1つであることは間違いない。

戦後から現在に至るまではアメリカドルが世界の基軸通貨として機能し、アメリカにお金が流れる構造が確立していたが、今やアメリカは世界史上最大の債務国である。将来の安全とリターンのために多くの資金を投入できる国とはいえない。

現状では、アメリカに代替する安全で高いリターンが得られる国は存在しないが、中国通貨解放を継続すれば、アメリカに取って代わる可能性は高い。

中国は数十年前から、アメリカに取って代わり覇権国家になることを目指している。そう遠からぬうちにそのようになるだろう。

ちなみに、シンガポールはスイスのように金融センターとして存在感を発揮する力を十分に持っている。シンガポールは世界金融センターの総合競争力ランキングで、ニューヨークとロンドンに次ぐ世界第3位につけている。

ただ、シンガポールの人口は約564万人(2022年)。圧倒的にお金が流れ込むとは考えにくい。前述したように、お金には安全が必要であるが、人口500万人では安全性を担保にするのが困難だからだ。

なお、お金は安全とリターンを求めるが、両者を比較すると、より安全を求める傾向がある。

国によって自国にお金をとどめることが最も安全なところもあれば、自国が安全でない場合もある。たとえば、シンガポールドルシンガポールにあることが最も安全かもしれないが、アルゼンチンではペソへの信頼が崩壊しており、アルゼンチンでペソをもっていることは安全とはいえない。

条件①:国が開かれていること
多くの国でトップが交代したとき、真っ先に「国境を閉ざせ」と言い出すことがある。国境を閉ざすことで、国内で自分の権力と支配力を維持しやすくなるからだろう。
たしかに、力を維持するには効果的かもしれないが、国の成長という観点からすれば賢い方策とは思えない。なぜならトップにとって都合が良いだけで、その国にはお金がほとんど流れ込まなくなるし、国民にとってはメリットがないからだ。
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国境をオープンにすることの重要性を理解している国は少ない。しかし歴史上、オープンにした国のほとんどが繁栄と成功を収めていることを忘れてはならない。

条件②:有能な指導者がいること
投資は地政学的リスクを抜きにして語ることはできない。地政学的リスクが高まれば、特定の商品の価格は変動し、経済の先行きは不透明になる。

地政学的リスクを可能な限り回避するためには、「人」に注目することが重要だ、その国の要人を見て、その人物が問題を抱えていることがわかったら、その国への投資を再検討しなければならない。

話をわかりやすくするために、ナポレオンを例に挙げよう。
ナポレオンはフランスの皇帝に就いた頃、偉大な将軍、政治家であると考えられていた。

しかし。その後行ったロシア遠征は大失敗に終わり、彼の権力基盤弱体化。各国はナポレオンを追い落とすための戦いへと向かうことになった。この例が教えてくれるのは、国を指導する立場にある人間が、健全なビジョンを持っているか、国を成功に導くために何が必要かを理解しているかを見極めることの重要性である。

たとえば日本では、真珠湾攻撃を誰が主導したのかという歴史を、学校ではほとんど教えていない。それもあってか、日本人は指導者を見極める重要性をあまり理解していないようにも見える。本来は、国を指導する立場の人間が間違った行動を取らないように、常に監視を心掛けるべきなのだが。

もっとも、アメリカも状況は似たようなものである。アメリカは有史以来最大の債務国であり、国の借金は毎日膨らみ続けている。ならば、その問題を解決しようとする人間が国内に存在し、主要なポストに就いていなければならないはずである。

だが、アメリカは傲慢な意識を持っており、常にさまざまな国を徴発している。アメリカは1776年に建国して以来、ほとんどすべての期間において戦争を続けているという恐ろしい記録がある。

戦争の代償は、必ず誰かが払わなければならない。それをアメリカの要人たちは本当に理解しているのか疑問である。

投資をするなら、健全な頭脳を持つ指導者層がいる国を探すべきだ。国の指導者が「負債を減らして資産を築くことが重要である」という基本を理解していないとすれば、それはその国の投資リスクを高めることになる。私自身も地政学的リスクが低く、健全なリーダーシップを持つ指導者がいる国を探し求めている。

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じじぃの日記。

ジム・ロジャーズ著『2030年 お金の世界地図』という本に、「お金が流れ込む国の条件」というのがあった。

有能な指導者とは?

ジム・ロジャーズ、

「たとえば日本では、真珠湾攻撃を誰が主導したのかという歴史を、学校ではほとんど教えていない。それもあってか、日本人は指導者を見極める重要性をあまり理解していないようにも見える。本来は、国を指導する立場の人間が間違った行動を取らないように、常に監視を心掛けるべきなのだが」

1941年11月、戦争回避のための直接交渉を行っていたアメリ国務長官のハルから、ハル・ノートが提示された。

そこで出された戦争回避の条件は、日本軍の中国からの撤兵・三国同盟の廃棄・そして領土関係について満州事変以前の状態に戻すことだった。

ハル・ブランズ、マイケル・ベックリー著『デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突』という本にこんなことが書かれていた。

  1941年の秋、日本政府は英米開戦を覚悟の上で、シンガポールから太平洋中央部にかけてのオランダ領東インド、フィリピンなどの領有権の奪取を決定した。政府高官の中には全面戦争に勝てると思っている人はほとんどいなかった。
  山本は「それは是非やれと云われれば、初め半年か1年の間は随分暴れてご覧に入れる。然しながら、2年3年となれば、全く確信は持てぬ」と予測していた。しかし彼らは開戦の代わりに、日本が敵の前に無力となってしまう急激な衰退を恐れていたのである。

また彼らは、一連の電撃的な攻撃によってアメリカが戦意を喪失し、戦闘を継続するより、和平を求めるようになることを望んでいた。戦争は、うまく行っても非常な危険をもたらすし、最悪の場合には国家の破滅をもたらすかもしれない。ところが日本を最終的戦争に導く将軍となった東條英機は「人間たまには清水の舞台から目をつぶって飛び降りることも必要だ」と述べたのである。

  これが真珠湾への奇襲攻撃の発端であった。もし戦争が避けられないのであれば、アメリカ太平洋艦隊を壊滅させることで、一時的な軍事優位と日本の新しい征服を確立する時間を稼げばよいではないか。
   
私は昭和21(1946)年の戦後生まれだ。
太平洋戦争のことは、映画などで知った程度だ。

しかし、太平洋戦争を決断したきっかけは、
東條英機「人間たまには清水の舞台から目をつぶって飛び降りることも必要だ」の一言だったとは驚いた。

確かに1人の愚かな指導者が、国の存亡を決めていたのだ。