じじぃの「ジム・ロジャーズ・2030年世界地図・第1章・一帯一路構想!お金の雑学」

投資激減!イタリアも離脱 中国「一帯一路」構想の落日【日経プラス9】(2023年10月17日)

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世界秩序の変化映し出す一帯一路 米国の覇権支配終焉と新興国の台頭

2017年11月28日 長周新聞
中国の習近平国家主席が2013年に提唱した巨大経済圏構想である「一帯一路」が進展している。今年5月には「一帯一路」をテーマとする国際協力会議が北京で開催され、約130ヵ国から1500人が参加した。日本やアメリカも無視することができず、代表団を派遣した。
●海外のインフラに投資
港湾整備では、スリランカを重視している。インド洋の要衝であり、海のシルクロードの交通拠点としての役割とともに、香港からポートスーダンを結ぶ軍事的な海洋進出の拠点ともなる。また、ギリシャ最大の港であるピレウス港を買収した。中国はギリシャを「ヨーロッパへの入り口」として重視しており、同港を世界規模の海運の要衝にする計画を持っている。
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/5792

『2030年 お金の世界地図』

ジム・ロジャーズ/著、花輪陽子、アレックス・南レッドヘッド/訳 SBクリエーティブ 2024年発行

ガザ・イスラエル紛争、ウクライナ戦争、台湾有事……。私たちは、人類史上類を見ないほどの混迷の時代を迎えている。世界的混乱はこれからの世界の「お金の流れ」を大転換させつつある。これからの日本と世界は、一体どこへ向かうのか。10年後のお金の世界地図!

第1章 未曽有の大潮流に乗り遅れるな――戦争、世界インフレ、一体一路構想……

一帯一路構想 より

アジアとアフリカへの投資の活発化
各国が混乱している中で、中国は着実に一帯一路構想を推し進め、世界に存在感を発揮しようとしている。

一帯一路は、2014年に習近平国家主席が提唱した巨大経済圏構想である。かつて中国産の絹を地中海各地に運んだ一大交易ルートになぞらえ、海と陸に「現代シルクロード」を築こうとする試みだ。

中国から中央アジア、ヨーロッパをつなぐ陸路を「シルクロード経済ベルト」、中国から南シナ海、インド洋などをつなぐ航路を「21世紀海上シルクロード」と称し、沿線各国のインフラ整備と貿易を促進させることを目指している。2023年には150ヵ国以上の代表団が参加する3回目の国際フォーラムが開催された。

この一帯一路構想を実現するための金融支援の役割を担うのが、2015年に設立されたAIIB(アジアインフラ投資銀行)だ。設立時に57ヵ国でスタートした加盟国は23年時点で109ヵ国となり、手がけたプロジェクトは243件、投融資総額は471億ドルに達したと報じられている。

AIIBの資金援助により、スリランカラオス、モンゴル、パキスタンといった発展途上国はインフラ開発などで中国に依存する状況が生まれている。

よく知られている例がスリランカである。スリランカはAIIBの融資を受けてハンバントタ港という港を建設したが、投資資金を十分に改宗できず、2017年には「借金のカタ」として99年間にわたって港の運営権を中国に引き離すことに合意している。

さらに、中国はアフリカとの経済的な結びつきも強めている。毎年アフリカの首脳を北京に集めて会談を行い、アフリカ諸国に巨額な経済援助を行っているのだ。

一帯一路が世界経済に与える衝撃
中国が各国を借金漬けにした揚げ句、支配しようとしているとの批判は根強いが、アフリカの人たちはそうは考えていない。

かつて欧米の強国は世界各地に軍隊を派遣し、強大な軍事力を背景に植民地化を推し進めた。一方的な収奪であり、とうてい擁護できるものではなかった。

それと比較すれば、現在の中国が行っている一帯一路はかなりソフトな計画である。当然ながら、経済力を通じて各国を影響下に置き、中国の安全保障上の戦略を実現する意図はあるだろうが、そのような意図を持って行動している国は中国だけではないだろう。

私はロンドンやパリ、東京など世界各国で中国人が闊歩(かっぽ)する様子を目にしている。彼らも武力で他国を占領しなくても、中国人がたくさん存在し、自由に街を歩き、好きなように買い物や食事を楽しむ状況を手にしている。これは覇権国に向かう国に見られる兆候といえるのかもしれない。

すでに一帯一路は世界経済にプラスの影響をもたらしつつある。世界銀行によると、一帯一路の共同建設に関連する投資を通じて、2030年までに760万人が極端な貧困から、3200万人が中度の貧困から脱局できると予測している。

一帯一路の共同建設は、インフラ建設だけでも世界の貿易コストを1.8%下げており、参加国の貿易を2.8~9.7%押し上げている。

一帯一路をきっかけに、ほかの国が中央アジアやアフリカの国に投資を行う状況も生まれている。

一帯一路で中国が投資している国に、他国からも投資が集まってくるというのは、容易に想像できる展開である。

イギリスやアメリカが覇権を握っていた時代には、イギリスやアメリカが投資対象としている地域に、さまざまな国が投資を行っていた。

他人が活発に投資しているところに自分も投資したいと考えるのが人間の心理だ。誰かが高速道路を建設しているのを知った人が、その経由地にホテルやレストランを建てて一儲(ひともう)けしようとするのと同じ原理である。

一帯一路に投資のチャンスを見つけた者は、すぐにでも投資を行うはずだ。

これから中国が投資する国を見て、そこに投資をすれば、大金持ちになることができる。一帯一路が通過する都市は大きな成功を収め、逆に一帯一路が回避する地域の人たちは富を得られずに転落することになるだろう。

かつてのアメリカでは、鉄道が開通したことによって何もないただの空き地だった中西部の地域に産業が生まれ、多くの人たちが集まり、アメリカを代表する大都市・シカゴへと成長した。サンフランシスコも同じような経緯で発展した歴史がある。

アメリカ政府が資金を投じて、移民や移住を促進したからこそ、シカゴやサンフランシスコは発展したのであり、これはアメリカにおける「一帯一路」であった。今、中国は、かつてのアメリカと同じような成功を手に入れようとしているのだ。

私は一帯一路が中国から韓国、日本を通じて、サンフランシスコにまで到達すべきだと考えている。もちろん長い道のりであるが、それが実現すれば世界を大きく変え、富をもたらすと期待している。中国、韓国、日本、アメリカが手を携えるのは、現実的には難しいだろうが。

いずれにせよ、世界的に見て一帯一路は21世紀で最も成功した経済プロジェクトになるだろう。

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じじぃの日記。

ジム・ロジャーズ著『2030年 お金の世界地図』という本に、「一帯一路構想」というのがあった。

ジム・ロジャーズ、

アメリカ政府が資金を投じて、移民や移住を促進したからこそ、シカゴやサンフランシスコは発展したのであり、これはアメリカにおける「一帯一路」であった。今、中国は、かつてのアメリカと同じような成功を手に入れようとしているのだ」

アフリカのケニアの場合はどうだろうか。

中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、インド洋に面するケニア港湾都市モンバサと首都ナイロビなどを結ぶ鉄道が2017年に建設された。

2023年1月14日朝、始発のモンバサ駅に急行列車が入線すると、十数両の客車は家族連れなどでほぼ満席になった。午前8時3分、定刻より3分遅れで出発した。モンバサ―ナイロビ(約450キロ)は鉄道なら5~6時間で、2等車は1人1000シリング(約1000円)。8時間以上かかるバスと料金は同水準で、遅延や事故ともほぼ無縁だ。特急と急行を合わせて1日3往復し、年末年始は連日、席が売り切れる大人気だった。
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モンバサは東アフリカ有数の港で、荷揚げされた貨物の多くはナイロビなど内陸部に向かう。かつては英植民地時代に造られた別の鉄道が活躍したが、老朽化で次第に輸送力が落ち、トラックが輸送の大半を担ってきた。ただ道路も混雑が深刻で、輸送力はいずれ限界に達する。

そこに目を付けたのが中国だ。人、モノ、カネを大量に投入し、日本の新幹線と同じ標準軌で旧鉄道とほぼ並行で走る路線を一から整備した。モンバサから内陸に向かう貨物を鉄道輸送に、通関業務もナイロビの貨物ターミナルで行なう。
             2023/2/1 毎日新聞 より

債務の罠

ケニアにとって最大の頭痛の種となったのが、2019年から本格的に始まった中国輸銀への返済である。

スリランカの場合は中国への債務を返済できなくなり、中国国営企業スリランカのハンバントタ港の運営権を取得したことが、いわゆる「債務の罠」の典型例とみなされている。

ジム・ロジャーズ、

「いずれにせよ、世界的に見て一帯一路は21世紀で最も成功した経済プロジェクトになるだろう」

2023年12月6日、イタリア政府は中国に対し、巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を正式に通知した。

イタリアは2019年、西側主要国として唯一同構想に参画。
しかしメローニ首相は昨年の就任時に、イタリアに大きな経済的恩恵をもたらしていないとして、離脱する考えを示していた。