じじぃの「ジム・ロジャーズ・2030年世界地図・はじめに!お金の雑学」

【ジム・ロジャーズ 2023年投資戦略】冒険せず退屈な投資に耐えろ/株はどう買えばいいのか?/日本は農業と観光業に可能性あり/インフレの時はこう生きろ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=Y8ugN2AwyUo


『2030年 お金の世界地図』

ジム・ロジャーズ/著、花輪陽子、アレックス・南レッドヘッド/訳 SBクリエーティブ 2024年発行

ガザ・イスラエル紛争、ウクライナ戦争、台湾有事……。私たちは、人類史上類を見ないほどの混迷の時代を迎えている。世界的混乱はこれからの世界の「お金の流れ」を大転換させつつある。これからの日本と世界は、一体どこへ向かうのか。10年後のお金の世界地図!

はじめに より

今、私たちは、人類史上類を見ないほどの混迷の時代を迎えている。

世界秩序を根底から覆し、人々を震撼させたロシアによるウクライナ侵攻は、すでに2年が経過しようとしている現在も戦いの出口が見えていない。

中東では、パレスチナガザ地区を支配するハマスによるイスラエル攻撃をきっかけに、イスラエルハマス戦争が勃発。イスラエル軍によるガザ地区への地上侵攻が続けられ、犠牲者は日を追うごとに増すばかりだ。

そして、台湾をめぐってはアメリカと中国の間に一触即発の危機が迫っている。両国が軍事衝突するようなことがあれば、世界にもたらすインパクトははかりしれないものになるだろう。

今私たちが生きているこの時代は、世界の「潮目」の大転換期にほかならないのである。

このような混乱は、当然ながらこれからの世界の「お金(資本)の流れ」を大きく変えようとしている。これは、今までの歴史で何度となく繰り返されてきたことだ。

私はイギリスのオックスフォード大学でイギリス史を学んだ経験がある。当時、歴史を学びながら気づいたのは、世界中で現在起きているほとんどの出来事は、過去にも起きていて、それが繰り返されているということだった。

典型的なのがバブル経済だ。17世紀のオランダではチューリップの球根が異常に高騰するチューリップ・バブルが起こり、突然の暴落を迎えた。

1920年代のアメリカでは空前の繁栄と投資ブームが起こり、大量生産・大量消費時代が到来した。しかし、29年10月24日の「暗黒の木曜日」から事態は一変。株価は大暴落し、世界恐慌となったのである。

日本でも1980年代後半から90年代はじめにかけて株式や不動産が高騰するバブル契機が起きた。バブル崩壊後の日本の長期低迷は、本書を手にしている日本の読者に改めて説明するまでもないだろう。

その後も、ITバブルや仮想通貨バブルなど、形を変えながらもバブルは繰り返されている。
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戦争もバブル経済も、そして近年でいえば新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックにいたるまで、似たような問題は歴史の中で何度となく繰り替えされている。

だからこそ、歴史から学び、歴史の流れを踏まえた上で未来を予測することが重要である。

私は歴史を学んだだけでなく、世界各地を実際に訪問した経験をもとに「お金の流れ」の傾向をつかむことができた。投資において成功したいなら、未来を見通す力を付けなければならない。特に「お金がどう動くか」をイメージする力が不可欠である。

たとえば私は、リーマンショックが起こる前年から「もうすぐ崩壊が訪れる」と予想し、さまざまなメディアで警鐘を鳴らした。当時、その忠告はまともに聞き入れられなかったが、結果は私が言った通りとなった。

ほかにも中国の台頭やトランプ大統領の誕生ばど、あらゆる出来事を予想し、的中させてきた。

別に預言者としての能力を誇示したいわけではない。単純に歴史から、これからの動きを導き出しただけのことだ。今、目にしているのと同じような状況が、かつての歴史の中でいつ・どのように起きたのかは知れば、現状も把握できるし、今後起きることも見通せるのである。

本書では、世界情勢を概観しつつ、これからの「お金の世界地図」を読み解くという視点から、私なりに、この先10年間で「沈む国」と「伸びる国」の予測を試みた。

本書の刊行後も世界情勢は刻一刻と変化し、私たちは新たな混乱に直面することになるだろう。

しかし、うろたえる必要はない。歴史に学び、先を見通す力を養っておけば、冷静に物事を把握し、必要な行動を取ることができる。混迷の時代を乗り越えていくこともできるに違いない。

本書を読み、先を見通す力を備えてほしい。読者の幸運を祈っている。