じじぃの「未解決ファイル_324_エドガー・アラン・ポーの奇妙な死」

【第2回】「モルグ街の殺人」朗読&「ポーの死の謎に迫る」!

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1AJC2eYoJuE

真夜中の憂鬱:エドガー・アラン・ポーの謎の死


Midnight Dreary: The Mysterious Death of Edgar Allan Poe

●感想・レビュー
謎の死を遂げたエドガー・アラン・ポーの最期の数日を明らかにしようという試み。
旅の途中で数日行方をくらまし、発見された時にはなぜか他人の服を着て、泥酔して人事不省に陥った挙句、理性を回復しないまま死んでいったポーの最期は興味深いが、なにぶん150年も前のことなので結局推測の域を出ないだろう。でも、なんとなく「酒に溺れて貧困の末惨めに死んだ」と思わされていた自分の認識が改めさせられたのは発見だった。
https://bookmeter.com/books/7435405

『絶対に明かされない世界の未解決ファイル99』

ダニエル・スミス/著、小野智子+片山美佳子/訳 日経ナショナルジオグラフィック社 2022年発行

エドガー・アラン・ポーの奇妙な死 より

【未解決ファイル 米国の国民的小説家の原因不明の死】
「モルグ街の殺人事件」や「盗まれた手紙」などの作品で知られる小説家エドガー・アラン・ポー。ミステリー文学の父と呼ばれている。だが、彼が後世に残してくれた最高傑作といえば、自身の死をめぐるミステリーだろう。1840年10月、ポーはボルチモアの路上に惨めな姿で行き倒れているところを発見され、そのまま帰らぬ人となった。

1840年10月3日酒場の前で意識朦朧(もうろう)としたポーをジョセフ・ウォーカーという男が見つけた。ウォーカーに言わせればポーは、「息も絶え絶えで」「緊急に助けが必要」な様子だった。
ウォーカーはポーと顔見知りの医者ジョセフ・スノッドグラスに知らせ、すぐにワシントン・カレッジ病院の医師ジョン・ジョセフ・モランのもとに担ぎ込んだ。面会謝絶の個室に入れられたポーは、何があったのかまともに説明できるような状態ではなかった。10月7日午前5時、彼はそのまま息を引き取った。享年40だった。

ポーの最後の数日間について、私たちが知っていることのほとんどは2人の医師の回想によるものだ。スノッドグラスはポーの様子を「目を背けたくなるような」有り様だったと説明している。
髪はボサボサ、目は虚(うつ)ろ。その上、いつもこざっぱりと粋な出で立ちの男が、みすばらしい他人の服を着せられていた。モランは、泥酔常習者を収容するための病室にポーを寝かせた。

ポーがバージニア州リッチモンドを出発したのは、ウォーカーに発見される数日前のことだ。ニューヨークに向かうつもりだったらしい。その間に何が起こったのか知る者はいない。

ポーの最期に関わる医療記録は死亡証明書すら残されていない。そのことが、彼の死因について、さまざまな憶測を呼ぶことになった。慢性病に冒されていたという説もあれば、自殺を疑う者もあった。死の前年、当時は鎮痛剤として広く使われていたアヘンチンキを過剰摂取していたからだ(誤って摂取したらしい)。鉛や水銀といった重金属に冒されていたらしき形跡もあった。また、ジョン・エバンジェリスト・ウォルシュは著書『Midnight Dreary: The Mysterious Death of Edgar Allan Poe(真夜中の憂鬱:エドガー・アラン・ポーの謎の死)』の中で、ポーが個人的な恨みにより謀殺されたという説を展開している。

しかし、ポーの死はアルコール依存症が原因だとする見方が一般的だ。
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だがもう1つ、突飛なようでいて実は意外に的を射ているかもしれない説がある。ポーがやって来た時、ボルチモアでは激しい選挙戦が繰り広げられていた。ポーは「クーピング」の被害者だったのではないかというのだ。クーピングとは、何も知らない人々を連れ去って酒や薬物を飲ませ、投票所に連れて行き、服装を取り替えさせては何度も繰り返し特定の候補者に投票させることをいう。
だとすれば、ポーが発見された時に他人の服を着ていたこともうなずける。

生涯をかけて数多くの優れたミステリーを生み出し、読者をワクワクさせてきたきたポーが、せめて最後に、永遠に解けない謎の主人公となったことに喜びを見いだしたと思いたい。

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じじぃの日記。

ダニエル・スミス著『絶対に明かされない世界の未解決ファイル99』という本に、「エドガー・アラン・ポーの奇妙な死」というのがあった。

ポーは40歳で奇怪なる死を遂げ、ファンの間でそれは長年の謎とされてきた。

「死の前年、当時は鎮痛剤として広く使われていたアヘンチンキを過剰摂取していたからだ」

先日、NHK フランケンシュタインの誘惑 「科学史 闇の事件簿 鎮痛剤 オピオイド・クライシス」を見た。

  2016年に亡くなったプリンス。2017年に逮捕されたタイガー・ウッズ。いずれもオピオイド系と呼ばれるアヘンから生成・合成した鎮痛剤を常用していた。いま、アメリカでこの鎮痛剤の過剰摂取による死者が年間8万人を超えている。
  前大統領トランプはこの事態を「オピオイド・クライシス」と名付け、公共衛生上の非常事態宣言を発出した。オピオイド危機はなぜ始まったのか?アメリカで広がる恐るべき薬物汚染の闇を追う―。

アメリカでは麻薬や鎮痛剤使用による死者が年間8万人にもなるのだそうだ。

未解決ファイル 米国の国民的小説家の原因不明の死

しかし、ポーの死はアルコール依存症が原因だとする見方が一般的だ。

ポーは「クーピング(投票権のある人を捕まえて脅し、特定の候補に何度も投票させる政治不正行為)」の被害者だったのではないかとも言われている。

ポーの生涯も謎に満ちており、まさにミステリーを体現した作家といえる。