『数字は武器になる 数の「超」活用法』
野口悠紀雄/著 新潮社 2014年発行
第6章 時間は伸び縮みするか? より
15年で100年分変わる世界
時間の速さが違う世界
平成と西暦の換算は、時間の平行移動である。現在から過去や未来への時間旅行もそうだ。平成年次や現実の世界の時間にある特定の数字を足したり、そこから引いたりすれば、目的の数字(西暦年数やタイムスリップした先の世界の時間)になる。時間が進行する速さは同じなので、時点間の感覚は、どのような表記法を採用しようが、あるいは現在だろうが過去だろうが、変わらない。
ところが、小説の世界には、「時間の進む速度が違う」というストーリーがある。例えば、ロバート・ネイサンの『ジェニーの肖像』(創元推理文庫)だ。これは、高校のときの英語のサブテキストだった。主人公の女性(最初は少女)は、現実より時間が早く進む世界に生きている。とてもロマンチックな物語で、映画化もされた。主演はジェニファー・ジョーンズ。
時間の進む速さが違うと、いろいろと厄介なことがある。しかし、いいこともある。現役の物理学者ロバート・L・フォワードが書いた『竜の卵』(ハヤカワ文庫)は、地球の670億倍の電力を持つ中性子星に住む生物の話だ。この作品は、「私の好きなSFリスト」の上位にある。
重力が強いため、時間は地球の100万倍の速さで進む(人類の15分が彼らの60年)。人類は彼らとの意思疎通らとの意思疎通に成功する(そこに至るまでの過程が綿密に記述されている)。あっという間に科学技術を進歩させた彼らは、主人公の女性(人間)のガンを検知し、レーザーで一瞬のうちに消滅させる。
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「時間の進む速さが違いのは小説」と言ったが、実は、現実の世界にもある現象だ。本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書)によれば、時間の進み方は体重の4分の1乗に比例する(体重が2倍になれば、時間の進みかたが1.2倍ゆっくりになる)。ゾウの体重3tはハツカネズミの10万倍なので、ゾウはネズミに比べて時間が18倍ゆっくり進む。
犬の寿命が10年程度(長生きで15年位)ということは、誰でも知っている。だから、犬にとっての1年「ドッグイヤー」は、人間の7年に相当する(人間には、4分の1法則には当てはまらないようだ)。
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じじぃの日記。
野口悠紀雄著『数字は武器になる 数の「超」活用法』という本に、「時間の速さが違う世界」というのがあった。
運動する系では、時間が遅く進む
双子のパラドックス・・・アインシュタインの「特殊相対性理論」の論文で述べられている「時計のパラドックス」を双子の問題に置き換えたもので、同い年の双子の年齢に違いが出るという問題。
特殊相対性理論では、光速不変の原理が組み込まれている。
1919年の日蝕観測で、光が直進すれば見えないはずの位置にある星が、太陽の端に輝いているのが確認された。
太陽の重力で空間が歪んでおり、星からの光が曲っていた。
このことで、重力の効果を時空の歪みで捉える「一般相対性理論」は実証された。
宇宙で体重を量ることはできるか?
実際に無重量である国際宇宙スターション(ISS)のなかで、宇宙飛行士の「質量」を量るのはどんな方法でしょうか。
ISSでは、宇宙飛行士の身体の「動かしにくさの度合い」を量るためにバネつきの板のついた質量計が使われている。
バネに質量を取りつけ、伸ばすか縮めるかして放すと、バネは伸び縮みを繰り返して振動する。
この振動周期は質量とバネ定数によって決まるので、その周期から質量を計算できるのだとか。
1994年、日本人宇宙飛行士の向井千秋さんが搭乗したスペースシャトル「コロンビア号」には金魚やアカハライモリと共に4匹のメダカが持ち込まれ、15日間の宇宙飛行を行った。
宇宙飛行中にメダカは産卵を行い、産卵された卵は順調に育ち、やがて幼魚としてふ化することに成功した。
我々人類はずっと重力のある地球で生きてきた。
もし、重力のない宇宙で人間が生まれ育ったら、彼らは今までの人類とは違った意識を持つのではないだろうか。