じじぃの「科学・地球_550_なぜ宇宙は存在するのか・宇宙膨張と光速の間の関係」

【ゆっくり解説】光速を超える!宇宙の最速ランキング!

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hrMICWIYaiM

宇宙膨張


宇宙は光よりも速く膨張してる証拠とやらを分かりやすく説明する

2015年10月13日 ア・ゲイン・シエラ
「宇宙は光速以上のスピードで膨張している」
ってのが天文学における、とりあえずの定説。
近年では、この定説に反証する学説も、もろもろに出てきたが、それは後述するとして、宇宙膨張の定説が、どのようにして生まれたのかってのを簡単に説明する。
https://again.lunaclear.com/knowledge/science/t2131/

なぜ宇宙は存在するのか――はじめての現代宇宙論

【目次】
第1章 現在の宇宙
第2章 ビッグバン宇宙1――宇宙開闢約0.1秒後「以降」
第3章 ビッグバン宇宙2――宇宙開闢約0.1秒後「以前」
第4章 インフレーション理論

第5章 私たちの住むこの宇宙が、よくできすぎているのはなぜか

第6章 無数の異なる宇宙たち――「マルチバース

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『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論

野村泰紀/著 ブルーバックス 2022年発行

第5章 私たちの住むこの宇宙が、よくできすぎているのはなぜか より

5-2 光速とはなにか

これまでのところで、光の速さというのは、時空における物事の因果関係を決定する極めて重要な役割を果たすということを、お話ししてきました。この事実に関して、よく聞かれる質問が主に2つあります。以下にそれを紹介し、その答えも示していきたいと思います。

なぜ光なのか

まずは、なぜ光なのかという問いです。標準模型には光の粒子である光子の他にも、クォークレプトン等のたくさんの種類の粒子が存在することは、第1章で述べた通りです。これらの中で、なぜ光だけが特別な役割を果たすのでしょうか?

実は、私たちが因果関係を語る上で「光速」と言ったときには、光の速さというよりも自然かで実現可能な最大の速さを意味しているのです。

クォークレプトン等の粒子は、それぞれ固有の質量を持っています(念のため、特殊相対性理論を学んだ人向けに言っておくと、ここで述べているのは静止質量のことです)。そして、光子の固有の質量はゼロです。

相対性理論によれば、質量ゼロの粒子というのは、自然界で許される最大の速さで、常に動いています。一方で、質量がゼロでない粒子はいくら加速しても、この速さに近づくことはできても到達することはできません。したがって光速は、あらゆるシグナルが伝搬できる最大の速さを表しているということになるわけです。

ここで注意していただきたいのは、粒子が光である(電磁波である)こと自体には何も特別な意味はないということです。重要なのは、質量なのは、質量がゼロであるということなのです。

ちなみに、重力を伝えると考えられる粒子を重力子と呼びますが、その固有質量もゼロです。そのため、重力波の伝搬の速さも自然界における最大の速さ、つまり光速と同じです。

宇宙膨張と光速の間の関係

よく受ける質問の2つ目は、宇宙膨張と光速の間の関係についてです。宇宙膨張の証拠として、遠くの銀河ほど速く遠ざかっていることについては、第1章で述べました。もしそうならば、ある地点から遠くの銀河の遠ざかる速さは光速を超えてしまうことになります。実際、そのような遠方の銀河から地球に向けて発せられた光は、その後退速度が光速を超えてしまうために、地球に届くことはありません(もし将来宇宙の膨張が減速するならば、いつか到達することは可能です)。これは相対性理論の原理と矛盾しないのでしょうか。

この2つ目の問いに正確に答えるためには、重力を含む理論である一般相対性理論においての速度という概念を説明しなければなりません、しかし、これは多くの人が考えるであろう以上に、微妙で厄介な概念なのです。そこでここでは、以下のような大まかな説明だけをしておこうと思います。

光速が自然界の絶対的な最大速度であるということは、正確には何を意味するのでしょうか?

それは、たとえばあるシグナルを点Aから点Bに向けて発したときに、Aから見たシグナルの速さは光の速さを超えることはないということです。しかし、このことはAからBに向けた光が必ずBに到着するということを意味しません。

具体的には、たとえば現在の宇宙のように空間が膨脹、しかも加速的に膨脹していれば、その空間の膨脹の効果が光の伝搬する効果に打ち勝って、AからのシグナルがBに到達できないという状況があり得るのです。そしてこの場合、このようなことが起こるのは、シグナルを発した時点のAB間の距離がある程度以上の場合となります。

この事実を直感的に「遠くの銀河は地球から光速より速く遠ざかっている」と表現することがあるのです。これは、今の説明でもわかっていただけたかと思いますが、あらゆるシグナルの速さは光速を超えないという相対性理論の原理を破っているわけではありません。ここでは大雑把な理解として「空間自体の膨脹の速さは(物理的なシグナルの伝搬と違って)光速に縛られることはない」としておいてもらえればよいのではないかと思います。