約400歳のニシオンデンザメ
約400歳のサメが見つかる、脊椎動物で最も長寿
2016.08.12 ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
北大西洋に生息する大型のサメ、ニシオンデンザメが400年近く生きることがわかり、デンマーク、コペンハーゲン大学の博士研究員であるユリウス・ニールセン氏らが科学誌「サイエンス」に発表した。
これまでに脊椎動物では最も長寿とされたホッキョククジラの211歳を上回り、無脊椎動物を含めてもアイスランドガイ(貝)の507歳に次ぐ記録だ。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/081000304/
『匂いが命を決める ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』
ビル・S・ハンソン/著、大沢章子/訳 亜紀書房 2023年発行
・なぜわたしたちの鼻は顔の中央、先端についているのか?
・なぜ動植物は、ここぞというとき「匂い」に頼るのか?
・「Eノーズ」は将来、匂いの正確な転写・伝達を可能にするか?
ヒト、昆虫、動物、魚、草木、花など多様な生物の「生命維持」と「種族繁栄」に大きな役割を果たしている嗅覚。
そこに秘められた謎と、解き明かされた驚異の事実とは──。
第5章 魚と嗅覚 より
コワモテの帰巣の達人
餌動物は嗅覚を使って捕食者から逃れている。では捕食者は嗅覚をどのように使って餌動物に迫るのか? 食物連鎖の頂点に君臨する悪評高い水中の生物、サメの場合はどうだろう?
サメの種は全部で500種を超える。そのほとんどがじつに海洋性である。多くの種は、ある種のサケ同様、毎年何千キロメートルも回遊して生まれた場所に戻ってくる。海を渡ってはるか遠くまで移動する種も多く、メキシコ湾流などの海流などの海流を利用して、大西洋を時計回りに横断する。
大西洋横断旅行の途中、サメのそれぞれの種は視覚的情報や、体表にある電気受容器(電場や電流、パルスを検知する働きをする)、そして嗅覚を、状況に応じてさまざまな程度に利用する。彼らサメは、深く暗い海を、そして河系さえも生き延びてきた生物なのだ。
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はっきり言えるのは、サメが生まれもつこのすぐれた感覚器官が、彼らを深海にうってつけの捕食者にしているということだ。そして深海はサメがしばしば好む生息場所なのだ──これもまた種によって異なるが。多くの場合、彼らの感覚器官は、低照度レベルの場所で獲物を見つけるのに驚くほど適している。
サメの鼻先にあるゼリー状の物質が詰まった筒、ロレンチーニ器官は、電気受容体と呼ばれる特殊な器官の重要な部分である。この器官は、逃げようとする餌動物の筋肉が収縮する一瞬の動きさえも感知する。この器官のおかげで、サメは視界がまったく利かない場所でも獲物をみつけることができる。この器官はまた、消耗した、あるいは怪我を負った生物の身体の震えも感知する。
超音波は水中をうまく伝播してサメの側線系に伝わる。側線系とは、サメの鼻先を起点として体の両側面に沿って伸びる、皮膚の真下にある液体が詰まったチューブ状の感覚器官である。体の側面にある孔から流れ込んだ水は、このチューブ内に並ぶ。水の動きを敏感に捉える毛状の組織にさらされる。この感覚系のおかげで、サメはもっとも暗い海の深みでも獲物のそばまで行けるのだ。
澄んだ水の中を泳ぐことが多いホホジロザメは、すぐれた視力をもっている。おそらく彼らは、あなたが気づくより先に、あなたを見つけてしまうだろう(ただし、10メートル以上離れた場所にいる場合は、かならずしもそうではない)。そのとき彼らは、あなたの匂いにも気づいているのだろうか。
ホホジロザメの嗅覚は、水が濁れば濁るほど働くようになる。読者は今、ごく少量の血の匂いがはるか彼方にいる恐ろしい捕食者、サメの鼻孔に届き、今しも襲撃がはじまる様子を思い描いたはずだ。しかしそれはただの伝説だ。サメが匂いに誘われて人を襲う確たる証拠はどこにもない。サメが人を襲った事件は、たいていの場合相手を間違えただけなのだ。
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サメはプランクトンや魚、カニ、アザラシ、クジラなど、さまざまなものを餌にするが、じつは偏食なのだ。彼らは脂肪分が多い食べ物を好み、アザラシがしばしばメニューにのぼるのはそのせいだ。何かをひと齧(かじ)りして、いつもと違う、馴染みのない味がしたなら──たとえば人間を齧ったときがそうだ──彼らはたいてい食事を途中で中断する。とはいえ、それを聞いても安心はできないだろう。ひと齧りされただけで、致命傷となることが多いのだから。ほとんどの人間は丸呑みはされないものの、おそらく出血多量で死んでしまうだろう。
では、サメは自分が食べたいと思う獲物をどんなふうに追跡するのだろう? たしかに、サメは驚くほど敏感な嗅覚をもっている。サメが泳いでいるあいだじゅう、鼻の入り口、つまり鼻孔から水が流れ込み、周囲の匂いが途切れることなく自動的に鼻洞や鼻嚢に届くしくみとなっている。この匂いを含む水は、鼻嚢にある嗅板の上を流れていく。サメの場合、薄い層が折り重なったこの感覚器が匂いの分子を鼻嚢内に長く留める働きをしており、それが匂いを検知する確率を高めている。匂い分子がは嗅板上を通り過ぎる際に感覚細胞を刺激し、その情報は脳へと伝えられる。
サメの、なかでもホホジロザメの嗅覚がどれほど鋭いのかについて、これまでさまざまな研究が行われてきたが、彼らの嗅覚がほかの水中生物よりも鋭いという確証は今も得られていない。ただ、サメの脳のおよそ3分の2を嗅覚器官が占めている、という事実から、サメはよりすぐれた嗅覚をもっているにちがいないと考えられている。
サメは、ある種の匂いを2500万分の1の濃度で検知できると推定されている。これはおそらく、彼らが外海の500メートル離れた場所でも匂いを検知する能力をもっていることを意味している。
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じじぃの日記。
ビル・S・ハンソン著『匂いが命を決める ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』という本に「コワモテの帰巣の達人」というのがあった。
コワモテの帰巣の達人とは、サメのことだ。