じじぃの「カオス・地球_211_免疫超入門・第5章・関節リウマチ」

【免疫学入門】 関節リウマチとインターロイキン6

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=TRmXDro-Z08

図 抗サイトカイン療法による自己免疫疾患の治療


慶應大学 吉村研究室 - 抗体療法

●現代免疫学の金字塔:抗体療法
(1) 抗サイトカイン療法による自己免疫疾患の治療
繰り返しになるが,免疫系におけるサイトカインとは免疫担当細胞同士,あるいは免疫担当細胞と周辺細胞とのコミュニケーションを司る可溶性分子である.サイトカインが次々と発見されるとサイトカインそのものが治療に使えるのではないかと期待された。
実際に赤血球をつくるエリスロポエチンや白血球をつくるG-CSF、抗ウイルス作用をもつインターフェロンは治療薬として臨床で使われている。しかしその他のサイトカインは炎症作用が強い等の理由で薬にはならなかった。だが炎症が長引くことで起こる疾患には逆に炎症性サイトカインを抑えれば治療効果が得られるのではないかと考えられた。

関節リウマチは間接に対する自己反応性T細胞が慢性的に活性化されか結果、マクロファージなどの炎症細胞が間接内に浸潤し、炎症性サイトカインを介して骨を包む滑膜細胞を刺激する。その結果、滑膜細胞は過増殖を起こしたり、RANKLというサイトカインを産生する。RANKLは破骨細胞の過剰な活性化を介して骨破壊を誘導する(図4)。
http://new2.immunoreg.jp/modules/pico_kennai/index.php?content_id=13

IL-6と関連疾患

おしえてリウマチ 中外製薬株式会社

●IL-6はサイトカインと呼ばれる物質の一種です
IL-6(インターロイキン-6)は多彩な生理作用を有するサイトカインと呼ばれる物質の一種で、免疫応答や炎症反応の調節において重要な役割を果たしています。
サイトカインとは、さまざまな刺激によって免疫細胞などから産生されるタンパク質で、主に身体に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除するための役割を担っています。サイトカインには大きく分けてインターロイキン(IL)、インターフェロン(IFN),腫瘍壊死因子(TNF)などがありますが、IL-6のようにさらに細かく分類すると種類は数百にのぼり、その作用も多岐にわたります。
https://chugai-ra.jp/movie/il-6.html

免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム

【目次】
第1章 人類の宿命・病原体と免疫の戦い
第2章 ヒトに備わった、5つの感染防御機構
第3章 病原体との攻防
第4章 自己を攻撃する免疫――アレルギーはなぜ起こるのか

第5章 炎症とサイトカイン――さまざまな病気と免疫

第6章 免疫とがん
第7章 老化を免疫で止められるか
第8章 脳と免疫の深い関係

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免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム

吉村昭彦/著 ブルーバックス 2023年発行

パンデミックによって感染症や免疫に関する情報を目にすることが多くなり、私たちの知識も増えたように見える。ただ、そこで出てきた情報は、曖昧なものや誤った情報、感情的なものなどもあり、玉石混淆ともいえる。
本書ではあらためて、ウイルスなどの病原体がどのように感染を起こし、免疫がどのように働くのか、その複雑なしくみを、基本から正しくわかりやすく解説する。

第5章 炎症とサイトカイン――さまざまな病気と免疫 より

骨が破壊される自己免疫疾患・関節リウマチ
免疫疾患は、免疫寛容が破綻して、自分自身の分子や無害な分子に反応するT細胞が活性化されたり、自己抗体ができたりして起きます。ただし、それは第1ステップで、病気として見えてくる過程には炎症が関係します。

例えば、関節リウマチは炎症によって関節などの骨が破壊される自己免疫疾患で、日本では100万人程度の患者がいると考えられています。その発症過程を図(画像参照)にまとめました。

炎症の本体は、患部に集まった数種類の免疫細胞とそれらが出すサイトカインです。まず自己反応性のナイーブT細胞が1型ヘルパーT細胞(Th1細胞)や17型ヘルパーT細胞(Th17細胞)に分化し、インターフェロンγ(IFNγ)やインターロイキン17(IL-17)を産生します。これらのサイトカインとともに、自己抗体や組織細胞の死骸によってマクロファージが活性化され、IL-1βや腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカインを産出します。T細胞からのIL-17やマクロファージからの炎症性サイトカインは、関節を含む滑膜の細胞(滑膜細胞)を刺激します。この刺激によって滑膜細胞はIL-6を大量に産生します。

マクロファージからのIL-6は滑膜細胞にさまざまな反応を誘導します。滑膜細胞自身の増殖、RANKLと呼ばれるサイトカインの産生、炎症、痛み、軟骨は貝の促進などです。IL-6はヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれるチロシンキナーゼ(細胞内のタンパク質のチロシンをリン酸化する酵素)を活性化してこれらの作用を現すのですが、詳しくは後ほど述べます。特にRANKLは、破骨細胞と呼ばれる骨を溶かす特殊なマクロファージを生み出します。破骨細胞が骨を破壊し、進行すると関節の機能に障害が起きたり関節が変形したりします。

このように関節リウマチではIL-6を中心に、滑膜細胞の過剰な増殖と骨を破壊する反応が起きているのです。図には関節リウマチの発症過程で作用するサイトカインと、その一連の反応を止める治療薬を示しています。