じじぃの「カオス・地球_210_免疫超入門・第4章・制御性T細胞(Treg)」

『免疫劇場 MEN-EKI BLACK』/東大医学部自主制作映画

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rraUPjJfXpc

ブレーキ専門の細胞「制御性T細胞」(Treg)


ヒューマニエンス “免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ

2023年8月29日 NHK BSプレミアム
【司会】織田裕二藤井彩子 【出演】太刀川英輔 【解説】濱崎洋子、堀昌平、森本亮、藤井千夏
わたしたちを24時間守り続ける「免疫」。
その心強い味方を邪魔する「制御性T細胞」(Tレグ、Treg)という細胞が今回の主役だ。

なぜ免疫なのに免疫の攻撃を邪魔するのか。実は“わたし”という存在をあえて曖昧にとらえるため、5億年前わざわざ発明されたことがわかってきた。さらに免疫システムに自ら攻撃を停止する“疲弊”スイッチも明らかに。ヒト誕生から老化まで、免疫システムの働きを今回は学園ドラマ化して再現。その奥深い世界を妄想する。

相手が自己かどうか判断するのがTレグで、自己と判断した場合には免疫の攻撃を阻止する。

このTレグであるが、生命の誕生においても重要な働きをするという。胎児とは母体から見れば異物であるのだが、受精の際に精液から父親の情報を樹状細胞が集め、そしてTレグを優先的に呼び寄せることで受精卵が免疫から守られて着床出来るようになるのだという。Tレグは胎盤に集まって胎児への免疫の攻撃を防ぐのだという。

Tレグを作る遺伝子はFoxp3であることは解明されている。また獲得免疫が確立したのは、脊椎動物が顎を持って様々な餌を補食するようになった頃からだと推測されている。
https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/NGL9WZPZ8V/

慶應大学 吉村研究室 - 免疫楽ー基礎の基礎

2014/05/22 慶應大学 吉村研究室

「非常ベル・目撃者・警察沙汰・潔白証明・指名手配・特殊部隊...」が分かるなら、「ケモカイン・樹状細胞・獲得免疫・MHC1・免疫記憶・Bリンパ球...」など簡単です。
耳を塞げば、短編ドラマ。目を閉じると、教科書の朗読(笑)。新感覚免疫映画。5月17日、公開。
●免疫応答における正と負の制御
ここでは話を簡単にするためにヘルパーT細胞に限ることにする。まず細胞レベルで言えば,免疫応答を推進する正の細胞(アクセル)がエフェクターT細胞で,負に抑える(ブレーキ)細胞が制御性T細胞(Treg)である(図3-1)。
http://new2.immunoreg.jp/modules/pico_kennai/index.php?content_id=12

免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム

【目次】
第1章 人類の宿命・病原体と免疫の戦い
第2章 ヒトに備わった、5つの感染防御機構
第3章 病原体との攻防

第4章 自己を攻撃する免疫――アレルギーはなぜ起こるのか

第5章 炎症とサイトカイン――さまざまな病気と免疫
第6章 免疫とがん
第7章 老化を免疫で止められるか
第8章 脳と免疫の深い関係

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免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム

吉村昭彦/著 ブルーバックス 2023年発行

パンデミックによって感染症や免疫に関する情報を目にすることが多くなり、私たちの知識も増えたように見える。ただ、そこで出てきた情報は、曖昧なものや誤った情報、感情的なものなどもあり、玉石混淆ともいえる。
本書ではあらためて、ウイルスなどの病原体がどのように感染を起こし、免疫がどのように働くのか、その複雑なしくみを、基本から正しくわかりやすく解説する。

第4章 自己を攻撃する免疫――アレルギーはなぜ起こるのか より

ブレーキ専門の細胞「制御性T細胞」
免疫応答のブレーキシステムは、いくつかのメカニズムによって成り立っています。ここでは話を簡単にするために、T細胞とマクロファージ、樹状細胞に限って解説します。

まず細胞レベルでいえば、ブレーキ専門の細胞がいます。制御性T細胞(regulatory T cells:Treg)です。現大阪大学教授の坂口志文博士によって1995年に発見されたもので、坂口博士はノーベル賞候補とも言われています。
Treg細胞は、自己分子に対する免疫反応のみならず、食物や花粉といった非自己抗原に対する免疫応答も抑制していると考えられています。遺伝的にTreg細胞がない人は、重度のアレルギー疾患や自己免疫疾患を発症して、生後数年以内に死亡しています。

では、Treg細胞はどのようにして免疫を抑えるのでしょうか。少し、専門的になりますが、免疫寛容の分子レベルの理解に必要ですので解説します。

Treg細胞の性質を決定する最も重要な遺伝子が、Foxp3です。ある種の致死的な自己免疫疾患の原因遺伝子として発見され、現在ではTreg細胞を生み出し、その機能を担う中心的な遺伝子(そのような遺伝子をマスター遺伝子と呼びます)として知られています。Foxp3は、Treg細胞にCD25、CTLA4、IL-10、TGF-βといった免疫の抑制に重要な分子の発現や分泌を誘導ないし増強します。
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CTLA4には、CD80/86を樹状細胞やマクロファージの表面から引き抜いてしまう作用もあります。つまりTreg細胞が近くにいると、エフェクターT細胞やキラーT細胞はCD28を刺激してももらえまえん。免疫応答のアクセルであるエフェクターT細胞やキラーT細胞が活性化されないため、免疫応答が抑制されるのです。

IL-10とTGF-βは、免疫抑制性のサイトカインとして知られています。IL-10は、主に樹状細胞やマクロファージに作用して、サイトカイン産生やCD80/86の発現を抑制します。

TGF-βは、主にT細胞のサイトカイン産生、増殖、活性化を抑制することがわかっています。
TGF-βは、構造的にもシグナルの面でもほかのサイトカインとは大きく異なり、細胞増殖を抑制したりさまざまな組織の線維化を促進したりするなど、多様な作用も持つサイトカインです。ただしここでは、TGF-βは免疫を抑制するサイトカインの代表と考えて下さい。