10 Early Signs of Autism (UPDATED) 動画 YouTube
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自閉症児と腸内疾患とは関係がある?
関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」が潰瘍性大腸炎に適応拡大へ―新薬情報 2018-05-07 日本医事新報社
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は4月27日、関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」(一般名:トファシチニブクエン酸塩、ファイザー)について、潰瘍性大腸炎への適応拡大を了承した。近く正式に承認される見込み。
追加が了承された効能・効果は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法」で、ステロイド製剤や抗TNF製剤などの既存治療で効果不十分な場合に限られる。同薬は炎症性サイトカインの発現を抑制するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の経口剤。承認されれば潰瘍性大腸炎に適応を有する初のJAK阻害薬となる。臨床上では、抗TNF製剤の「レミケード」(インフリキシマブ)、「ヒュミラ」(アダリムマブ)、「シンポニー」(ゴリムマブ)と同様に、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療選択肢の1つに位置づけられる。
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=9855
『人類の進化が病を生んだ』 ジェレミー テイラー/著、小谷野昭子/訳 河出書房 2018年発行
自己免疫疾患とアレルギー より
旧友(腸内細菌)は自分たちとヒトの免疫系に「自己」だと思わせている。どうしたらそんなことが可能かを説明する前に、免疫の働きについての基本をおさらいしておこう。ヒトには2種類の免疫系がある。まずは自然免疫系で、これは無脊椎動物も脊椎動物も含めた動物界の生物全般に備わっている。もう1つは獲得免疫系で、こちらは脊椎動物にしかない。自然免疫系は病原体に型どおりに反応するが、過去の経験を記憶することがないため長期的な防御はできない。自然免疫系は病原体を感知するやいなや、損傷を受けた場所または感染した場所で炎症反応を起こす。感染地帯に非常線を張り、周囲の血管を拡張し、病原体と戦う免疫細胞を招集するためだ。炎症を引き起こすのは、ヒスタミンとプロスタグランジン、そして免疫細胞間で信号をやりとりする分子であるサイトカインだ。なかでも重要な「炎症促進型サイトカイン」は、腫瘍壊死因子アルファ、インターフェロンガンマ、インターロイキン1、6、7、17である。自然免疫系には血漿蛋白質からなる補助免疫系(補体)というものであり、病原体を攻撃・攪乱する、他の細胞に知られるよう目印をつける、より多くの炎症因子を招集して戦場に送り込むといった補佐的な仕事をしている。
自然免疫系の主要な細胞はまとめて白血球と呼ばれているが、細かく見ればいくつかのタイプに分かれている。
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自閉症児は、過剰活動型の免疫系を遺伝的な面からも受け継いでいて、そのため自己免疫疾患を併発しやすいようだ。自閉症スペクトラム障害の子どもの約70%は重症の腸過敏症だ。彼らは下痢と痛みをともなう腹部膨満を抱えており、そのせいで怒りっぽく攻撃的になり自傷行為をくり返すと考えられている。内視鏡検査をすると、クローン病や潰瘍性大腸炎とよく似た炎症病変が見つかることが多い。ウェイクフォレスト研究所のスティーヴン・ウォーカーは、腸過敏症の自閉症児と炎症性腸疾患の成人の、腸から集めた生検材料で遺伝子発現パターンを比較した。遺伝子発現パターンそのものは両群で違っていたが、一方で、両群で発現する・しないを同じくする遺伝子も多数見つかった。そこから、腸過敏症の自閉症児も、腸疾患の非自閉症成人も、自己免疫障害を抱えていることが推察された。自閉症のマウスモデルの実験からは、妊娠中の母体が感染症になるとヘルパーT細胞が永続的に過敏反応性になること、制御系T細胞の数が減ることが示されている。
うつ病はどうだろう。うつ病それ自体は炎症性疾患ではないと思われがちだが、どうやらそうとも言い切れないようだ。うつ症状を呈する患者にかならずしも炎症があるとはかぎらず、血中の炎症マーカーが高くても通常はうつ病にならないのは事実だが、それでもやはり、うつ病になると元々あった弱い炎症状態が強まることはありそうだ。炎症とうつ病が相互作用している例は、C型肝炎の治療薬や抗癌剤として使われる強力な炎症促進型サイトカイン、インターフェロンアルファの効果によく見られる。この薬剤を高用量投与すると、50%の患者が3ヵ月以内に大うつ病を発症するからだ。この薬剤は経路の下流でインターロイキン6や腫瘍壊死因子アルファのような別の炎症促進型サイトカインを誘導する(これらもうつ病と関連がある)。しかし、逆も真なのだろうか。炎症促進型サイトカインを取り除いたらうつ病も治るのだろうか。インフリキシマブというモノクローナル抗体でクローン病を治療中の患者を観察した研究がある。患者の一定割合は治療開始時にうつ病と診断されていた。インフリキシマブによる治療はたしかにうつの症状を緩和させたが、それは元々血中CRPが高かった(炎症状態が重症だった)患者にかぎられていた。インフリキシマブは腫瘍壊死因子アルファに強力に作用する薬なので、クローン病を治療しながら同時に炎症を促進していたサイトカインを中和して、うつ病をも治していたと考えられる。
うつ病は、それになりやすい個人にとって、軽度の慢性炎症がもとで生じる病気の1つにすぎない。心血管疾患、脳卒中、糖尿病、癌、認知症もその仲間だ。症状が出ていない人でも、慢性炎症のレベルが少し上がっただけでこれらの現代病が発症する可能性は大いにある。イギリスも公務員を対象にした研究では、血中CRPとインターロイキン6が職階級と逆相関していることが見出された。職場の上下関係において低い地位にある人ほど、表面に出ない炎症状態を抱えているということだ。心理学者のアンドルー・ステプトーはこの逆相関を用いて、その後の20年にうつ病を発症する確率をかなり正確に予測した。さらなる研究で、幼少期にトラウマやネグレクトを体験したうつ病患者は、ストレス検査でインターロイキン6をより多く放出することが示された。ということは、炎症の原因はかならずしも現代の欧米化したライフスタイルや職場のストレスというわけではなく、欧米社会では免疫制御が相対的に欠如していて、それが炎症性サイトカインの暴走を許しているのかもしれない。