じじぃの「嗅覚・匂いが命を決める・第2章・人の接近と忌避!匂いの雑学」

鼻が利く


【慣用句】「鼻が利く」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

端的に言えば鼻が利くの意味は「嗅覚が敏感である」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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『匂いが命を決める ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』

ビル・S・ハンソン/著、大沢章子/訳 亜紀書房 2023年発行
 ・なぜわたしたちの鼻は顔の中央、先端についているのか?
 ・なぜ動植物は、ここぞというとき「匂い」に頼るのか?
 ・「Eノーズ」は将来、匂いの正確な転写・伝達を可能にするか?
ヒト、昆虫、動物、魚、草木、花など多様な生物の「生命維持」と「種族繁栄」に大きな役割を果たしている嗅覚。
そこに秘められた謎と、解き明かされた驚異の事実とは──。

第2章 人の嗅覚・人の匂い より

心で──接近と忌避
本章の冒頭で述べたように、嗅覚の主要な機能の1つは、周囲の化学的環境を四六時中監視し、検知した手がかりをもとに、危険が差し迫っていることを警告することだ。わたしたちは息を吸うたびに情報を受け取り、その情報をもとに、行くべき場所と行ってはいけない場所、食べていいものと食べてはいけないもの、そしてある意味、友だちになっていい人となってはいけない人を決めている。そしてどうやら検知しやすいものほど、良くない状況と関連したものであるらしいことがわかっている。
たとえばだれかが嘔吐したあとの匂い(近くに腐った食べ物があるか、病気の人が居るにちがいない)や、煙の匂いと何かが焼ける匂い(間違いなく炎に焼かれる危険がある)、あるいは腐った食べ物や飲み物の匂いがそうだ。

これらの、多少なりとも人が本能的に知っている匂いの情報以外にも、人はある特殊な匂いとそのときに起きた何か悪いことを、またたく間に結びつけて学習してしまう。何かを食べたあとにひどく体調が悪くなったときが、そのよくある礼だ。そしてしばしば、メロンであれ、ミートボールであれ、マスカルポーネ・チーズであれ、その食べ物に匂いに一生嫌悪感を感じつづけるようになる。この連想的な記憶は、不安さえ呼び覚ますことがある。

ストックホルムカロリンスカ研究所のヨーアン・ルンドストレームは、人の脳がこうした負の関連づけをどのようにして作り上げるかを解明するための、みごとな実験を行った。被験者にとってそれまで中立的な意味しかもたなかったある匂いを電気刺激とともに提示することによって、ルンドストレームはその匂いに対する負の印象を被験者にの中に作り上げることに成功した。研究チームは、識別が難しい2種類の匂いの分子を用いて実験を行い、その片方の分子が、不快な経験を模した電気ショックとともに提示された場合、被験者はその2種を識別できるかどうか調べた。はじめのうちは、被験者たちは2種類の匂いを区別できなかったが、やがて電気ショックとともにあたえられた匂い分子をうまく識別できるよう求められた。8週間後、被験者らは再び集められ、2つの匂いを識別するよう求められた。ところが興味深いことに、被験者らはあの「電気ショックとともにあたえられた」匂いへの敏感性をもはや保持していなかった。理由はかならずしもよくわかっていない。

取るに足らない知覚ではない
人の嗅覚の全体像について概要を述べる、という本章の性質上、限られた話しかできなかった。しかしわたしたちの鼻のすぐ奥に隠された秘密や謎のいくつかを、匂わせることはできただろう。
間違いなく言えるのは、わたしたちの嗅覚はけっして取るに足らないものではないということだ。嗅覚は激しい感情を呼び覚まし、記憶を喚起し、病気の診断を助けさえする。匂いを嗅げるからこそ、人は人生や愛の生活を存分楽しめる。

第14章を読んでいただければ、化学的感覚についての研究者たちが、自分たちの知識を活かすためにどのような努力をしているかがわかるだろう。知識を戦略的二用いて匂いを適切に利用することによって、高齢者が恐れるあの認知能力の低下を遅らせることさえできるかもしれない。

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じじぃの日記。

ビル・S・ハンソン著『匂いが命を決める ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』という本に「心で──接近と忌避」というのがあった。

嗅覚は人以外の動物では大きな割合を占めているが、人の場合はそれほどではない。

しかし、世の中に匂いに関する表現が意外と多い。

鼻が胡座をかく
鼻が利く
鼻が高い
鼻であしらう
鼻で笑う
鼻に掛ける
鼻につく
目から鼻へ抜ける

「友だちになっていい人となってはいけない人を決めている」

「間違いなく言えるのは、わたしたちの嗅覚はけっして取るに足らないものではないということだ。嗅覚は激しい感情を呼び覚まし、記憶を喚起し、病気の診断を助けさえする。匂いを嗅げるからこそ、人は人生や愛の生活を存分楽しめる」

私は鼻が利きません。
トホホのホ。