じじぃの「カオス・地球_123_なぜ世界はEVを選ぶのか?欧州のEV販売ランキング」

低価格路線の中国のEV=電気自動車“BYD” テスラを猛追 全国12店舗目の正規販売店開店へ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qYWd4bXGEJg

HVは少しずつシェアを落としているが、逆にEVは少しずつ伸びている

地域別のEV販売比率


マークラインズ 電気自動車販売月報

2022/10/24 MOTA
マークラインズ株式会社は、電気自動車の世界販売の約90%をカバーする主要14ヵ国を対象にグローバル市場における電気自動車の台数情報及び販売動向を分析した2022年9月の電気自動車(EV/PHV/FCV)販売月報(商用車を除く、推計値を含む)を掲載しました。

対象国;中国、米国、日本、インド、ドイツ、フランス、ブラジル、英国、韓国、カナダ、イタリア、ノルウェースウェーデンフィンランド
https://autoc-one.jp/news/5015357/

テスラを猛追 世界2位の中国電気自動車メーカー“BYD”が日本上陸

2023年2月10日 NHK
●乗用車の新車販売に占めるEVの割合
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230210/k10013976401000.html

なぜ世界はEVを選ぶのか――最強トヨタへの警鐘

【目次】
はじめに
第1章 攻めるテスラ、BYD どうするトヨタVW
第2章 フォルクスワーゲン “地獄”からのEVシフト
第3章 これはトヨタの未来か VWが直面する5つの課題
第4章 「欧州の陰謀」論から世界の潮流へ

第5章 EVユーザーの実像 もはや「ニッチ」ではない

第6章 高級車勢は「EV専業」 ボルボメルセデスの深謀遠慮
第7章 フェラーリとポルシェ 半端では生きられぬエンジン
第8章 テスラとBYDの野望 電池と充電が生む新ビジネス
第9章 EVリストラの震源地 部品メーカーの下克上
第10章 EV化で仕事がなくなる?労働者たちの苦悩
第11章 「出遅れ」トヨタの課題と底力

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『なぜ世界はEVを選ぶのか――最強トヨタへの警鐘』

大西孝弘/著 日経BP 2023年発行

第5章 EVユーザーの実像 もはや「ニッチ」ではない より

世界的に伸び続けている電気自動車(EV)の販売。転換点になったのは欧州で需要が沸騰した2020年だ。欧州自動車工業会(ACEA)によると20年の欧州31ヵ国のEV販売台数は、前年に比べて約2倍の74万台となった。その後も勢いは止まらず、22年は前年から29%増の157万台に達した。

欧州だけでなく、有極と米国という自動車の巨大市場でも20年以降にEV販売台数が伸びている。調査会社のマークラインズによると、自動車販売に占めるEV販売の比率は右肩がりで、22年12月期で見れば中国が22%、欧州が23%、米国が6%となっている。

先進国でEV販売が拡大する中で”特殊な市場”となっているのが日本だ。22年12月期のEV販売比率は2%にとどまる。

欧州ユーザーのリアルEVライフ

ドイツ・デュッセルドルフ近郊に住むマティアス・ビエニエクさんは、2021年11月に仏ルノー傘下の低価格ブランドであるダチアのEV「ダチア・スプリング」を購入し、12月納車で乗り始めた。「ルーマニアで開発された中国生産の新型車を購入するリスクは理解していた。だが、実際に乗ってみると想像以上に快適で大満足さ」と話す。

ダチア・スプリングは低価格車として知られる。提示価格は2万1000ユーロ(約315万円)だが、メーカーやドイツ政府からの補助金もあり、車両価格は1万2000ユーロ(約180万円)に値下がりした。ビエニエクさんの場合、保有していたフォルクスワーゲンVW)「ポロ」の下取り価格が6000ユーロだったので、買い替えに支払った金額は6000ユーロ(約90万円)で済んだ。

ドイツ政府は6000ユーロの補助金

ビエニエクさんのように、ドイツでEVを購入する場合は政府からの補助金が購入の大きな助けになっている。ドイツ在住のカリンさんは、21年7月にVWの「ID・3」を3万2000ユーロ(約480万円)で購入した。そのうちVWから3500ユーロ、ドイツ政府から6000ユーロの補助を受けた。

通勤のために毎日使うカリンだんが高く評価するのは乗り心地の良さだ。エンジン音がないEVは静かで、運転中のストレスが少ないという。また加速が良く、ガソリン車やディーゼル車を楽に追い越せるのもうれしいポイントだと話す。

政府の支援を受けて購入した自宅の機器で主に充電しており、充電器には4時間半かかる。航続距離が250キロメートルほどとガソリン車より短いのが課題だが、充電インフラには満足しており、次もEVを購入したいと考えている。

ノルウェーはEV販売比率が8割に

新しい物好きや環境意識の高い人だけがEVを選択しているのだろうか。もはや欧州はそうした状況にとどまらない。様々な優遇制度がある「EV先進国」のノルウェーでは、新車販売に占める比率が22年3月に8割を超えた。

21年通年では、新車販売台数に占めるEVの比率が64.5%、プラグインハイブリッド車(PHV)が21.7%だった。それが22年に入ってEV販売が急増し、PHVの販売が急減。3月の販売比率でPHVは5.8%まで下落した。

きっかけは税制の変更だ。22年からPHVを購入する際の税率が上がり、PHVからEVへの流れが起きた。ノルウェーEV協会のアドバイザーであるラーズ・ゴッドベルト氏は22年5月の時点で、通年のEV販売比率について「今の勢いを考えれば、80%台の中盤から後半になるかもしれない」と予測していた。その予測にこそ届かなかったが、22年のEV販売比率は79%という高い水準で着地した。ノルウェー政府は25年に新車販売の全てを排ガスゼロ車にする目標を掲げており、その目標に着々と近づいている。
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人口約540万人であるノルウェーの新車販売台数は、米国や中国の市場規模からすると極めて少ない。だが、そこに見逃せない徴候が表れることもある。

かつてのノルウェーのEV市場を席捲したのは日産自動車のEV「リーフ」だった。18年までは販売シェアがトップだったが、その後にさまざまなEVが登場し、21年に7位に後退した。

EVユーザーに話を聞くと、以前は日本車に乗っていた人が多いことに驚いた。タイム・ランディンさん(51歳、女性)は、20年にボルボ・カーのEV「XC40」を購入。以前はホンダの「CR-V」に乗っていたという。「子供が3人いるので中型SUVは最適だった。CR-Vに近いサイズだったのでボルボのEVを選んだ」と話す。日本車の存在感の低下は気になるところだ。

ノルウェーの消費者の中で今、有力な選択肢になっているのが韓国勢と中国勢だ。「何より安いからね」と韓国・起亜のEV「ニロ」について語るのは、アブディ・ムハンマドさん。21年におよそ37万クローネ(約500万円)で購入したという。日本では安い車といえないが、物価の高いノルウェーでは相対的に安い。自家用車をライドシェア向けに使うこともあり、維持費の安さに助けられているという。以前はトヨタのHV「プリウス」に乗っていた。
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欧州市場のほぼ全てがエンジン車だった時代には、欧州メーカーや日本メーカーの存在感が際立っていた。現在のEV市場では米テスラやVWが優勢だが、EV需要の高まりとともに、これまで目立たなかった韓国勢や中国勢などに消費者の選択肢が広がりつつある。