じじぃの「カオス・地球_113_プーチンは何をしたかったのか?彼は共産主義者か」

ロシア正教トップが元KGB? 侵攻と信仰の”ただならぬ”仲【4月22日(金)#報道1930】|TBS NEWS DIG

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=YdCikK71lpM

プーチンとキリル総主教(ロシア正教


ロシア正教のトップは元KGB?“信仰”と“侵攻” プーチン大統領と宗教の蜜月【報道1930】

2022年4月24日 TBS
カトリックの頂点に立つ者が平和を祈るのは至極納得のいくところだが、同じキリスト教でも今回のウクライナ侵攻を支持する宗教もある。キリル総主教率いるロシア正教だ。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/29637

プーチンは何をしたかったのか?

【目次】
はじめに
第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか
第2章 プーチンとは、いったい何者なのか?――スパイを夢見た少年時代、若き日の挫折、そして一大転機で権力者へ
第3章 どうやってロシア大統領になったのか?――最高権力者まで上り詰めた疾風怒涛の4年間
第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族
第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る

第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道

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プーチンは何をしたかったのか?』

寺谷弘壬/著 アスコム 2023年発行
妻に恐怖の「ヴァンパイア」と言われたプーチンの真実!ロシア研究60年の著者がQ&Aでズバリ回答!

第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道 より

プーチンは「共産主義者」なのか?

――冷戦の継続だとすれば、冷戦につきもののイデオロギー対立をどう考えればよいのか。西側の旗印が資本主義・民主主義ならば、プーチンイデオロギーとは?

以下、強調印字は筆者による。
ロシアといえば社会主義共産主義の強烈なイデオロギー。しかし、プーチンは、共産主義を「歴史的な無駄」(12年の下院議会演説)と切り捨てます。共産主義ソビエトの力は、ロシアを豊かな国にしなかったではないか」とも、のちに語っています。

エリツィンは91年、初代ロシア大統領就任演説で「20世紀ロシア史には君主制全体主義ペレストロイカとさまざまな時期があり、ついに民主主義の発展的道のりがついた。つねにイデオロギーがあったが、いまはない」と述べました。そうかもしれません。

でも、プーチンが、イデオロギーを意識的に構築しようとしたのはたしかです。

すでに「クイザー・イデオロギー」(クイザーは「皇帝」のこと)が形成されてきた、と私は見ます。「プーチニズム」と言い換えてもかまいません。ただ、「政治・経済・社会・外交などの根底にある特定の思想」という意味のイデオロギーに、まとまっているわけではありません。ですから”イデオロギーもどき”というべきでしょうか。

具体的には、プーチン支配の四半世紀で政治や社会に現れてきた次のようなことです。

ロシア主義……ロシアの言語・文化・宗教・歴史・伝統などを至上とする愛国主義
保守主義……LGBT差別、とくにホモセクシャルに対する嫌悪感。
ポピュリズム……(人格主義の人気取り)…上半身裸で乗馬や釣り、革ジャンでバイクなどマッチョの顕示、水中で貴重な歴史的骨董品を発見。
物件主義……豪壮なクレムリン宮殿、巨大な別荘、スーパーヨット、高価な時計。
権力主義……金ピカの宮殿改装や救世主ハリストス大聖堂の建立。
独裁主義(専制君主主義)……手段を選ばぬ敵対者排除、ロシア安保会議に君臨。

現象としてはスターリン主義に似ています。プーチニズムを言い出したのは、プーチン政権で20年以上要職にあって、”灰色の枢機卿”(影の支配者)といわれた側近中の側近スルコフです。プーチンイデオロギー構築に貢献したアイデアマンで、キャッチフレーズ「君主制民主主義」も発案。なぜか20年2月に解任されて自宅軟禁中です。

プーチンイデオロギーの根底にあり、もっとも特徴的なものは、長い歴史を耐え抜き培われてきたロシア正教愛国心でしょう。

ロシア正教は絶えずロシアに統一をもたらし、家族のきずなを深め、愛国精神で若い世代を教育する」としばしば語るプーチンは07年、「ルースキー・ミール・ウァンデーション」(ロシア世界財団。ミールは「世界または平和」の意味)の創設を宣言。

10年には親しかったヴェルビツカヤ・ペテルブルク大学総長(19年82歳で死亡)、オーゼロ組の鉄道王ヤクーニン、フルシェンコ教育科学省、アルフェエフ・ロシア正教会主教らを集めて財団の方針を決めました。

ロシア語独特の言葉(たとえばドゥシャ=心、ヴォリャ=意志)、ロシア文化(リュブリョフやカンディンスキーの絵画、チャイコフスキーショスタコーヴィチの音楽、プーシキンソルジェニーツィンなどの文学)、そしてロシア正教を基底に、ロシアのあらゆる優れた面を世界に普及させるというのです。もっとも財団創設は、クリミア併合で20年に延期され、職員数や基金額が決まったのは21年になってからでした。