じじぃの「カオス・地球_117_プーチンは何をしたかったのか?ウクライナとロシアの今後は」

【ロシア大分裂の未来】『終わらないウクライナ戦争』

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7a-Sx0GoplM

ウクライナで今後想定される3つのシナリオ


ウクライナで今後想定される3つのシナリオ…ロシア侵攻4ヵ月

2022/06/24 読売新聞

<1>占領地域の「編入」も
ウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)の地上戦で露軍は態勢を強化し、10倍以上とされる火力を中心とした力押しで優位に立ちつつある。

米欧のウクライナ軍への支援が大幅に増強されなければ、露軍はドンバス地方全域の「解放」という侵攻目的を達成し、南部ヘルソン州ザポリージャ州の占領地域と合わせ、侵攻前に支配していた地域の3倍の領土を制圧する可能性もある。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220623-OYT1T50318/

プーチンは何をしたかったのか?

【目次】
はじめに
第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか
第2章 プーチンとは、いったい何者なのか?――スパイを夢見た少年時代、若き日の挫折、そして一大転機で権力者へ
第3章 どうやってロシア大統領になったのか?――最高権力者まで上り詰めた疾風怒涛の4年間
第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族
第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る

第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道

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プーチンは何をしたかったのか?』

寺谷弘壬/著 アスコム 2023年発行
妻に恐怖の「ヴァンパイア」と言われたプーチンの真実!ロシア研究60年の著者がQ&Aでズバリ回答!

第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道 より

今後、ウクライナとロシアはどのような形で対立していくのか?

――一段と「大規模な戦争」(ロシア下院防衛委員長カルタポロフの言)となって、「戦争は終りの始まり」(ゼレンスキー大統領の言)になっていくのでしょうか?

以下、強調印字は筆者による。
22年12月5日にロシア領土のリャザン州ジャーギレヴォ軍用飛行場(ウクライナ国境から約500キロ、モスクワから約200キロ)とサラトフ州エンゲルス空軍基地(モスクワから約700キロ)がドローンの攻撃を受け、さらに翌6日には2日連続でクルスク州クルスクーカリノ空軍基地(ウクライナ国境から約100キロ)の石油貯蔵庫が爆破されました。
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ロシア軍の劣勢を払拭しようと、プーチンは12月23日、エステリンブルグ近郊のニージニ・タギル市にある戦車製造工場「ウラルワゴンザヴォド」(36年創設)を訪問する予定でした。ほとんどのソ連・ロシア戦車がここで造られてきたのです。

ところが、空港に到着する9分前にニージニ・タギル行きを突然キャンセルし、逆方向のトゥーラに飛び、幾つかの軍機関係の工場を視察。シグノフ設計システム研究所で緊急会議を開き、高度のウォーゲームを展開するための話し合いをおこないました。同時にショイグ国防相カラシニコフ製造会社に派遣し、軍事技術の飛躍と早急な生産を指導させました。年末に急遽、兵器工場と兵器システム研究所をめぐり、一段と高度化した生産と戦略を命令して回ったのです。数日後、ニージニ・タギル戦車工場にはメドヴェージェフを派遣しています。

ところで一体、ニージニ・タギルで何があったのか。
誰かがプーチンの暗殺をねらったのかもしれません。3日前から道路の除雪をさせ、車両の練習場も中止にし、工場から派遣された5台の車列は空港で乗車人物の下車を禁止されて、そのままUターンして工場に引き返させています。その後ニージニ・タギルのあるスベルドロフスク州の上空は3日間も閉鎖されました。アメリカやイギリスがその上空から十分監視していたことはさまざまなデータからわかりますが、この戦車工場の特別顧問であり、元陸軍総司令官であったA・マスロフ(69歳)が突然23日に死亡したことが関係しているのかもしれません。この最高位の軍人はプーチンウクライナ侵攻に反対でした。同日、ペテルブルグ大手造船所の所長A・ブザコフ(66歳)も突然死しています。彼は潜水艦製造の責任者でした。

この1年でプーチンに反対した政治家や財界人が多く殺されてきましたが、軍人や軍関係者の中にも反プーチン的な見解を持つ人々が広まっているようです。
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あまり効果はないですが、プーチンは12月26~27日に非公式CIS(独立国家共同体)首脳会議を開催、メンバーである8ヵ国の首脳にCISのエンブレムと「ス・ノーヴィム・ゴーダム」(新年おめでとう)という言葉が刻み込まれた金の指輪を与えました。ばらばらになり始めたCISの再団結を図り、「さらなる刺激を与えた」(レベジェフジム局長の言)ということです。

こうしたなか、プーチンは年末ぎりぎりに再びエカテリンブルグ空港へ飛んでいます。そこからニージニ・タギルへ再び行き、ウラル山脈の坑道にある別荘へ向かったのです。ロシアのヨーロッパ地域とシベリア地域を分断するウラル山脈は、日本列島と同じくらいの幅と長さ。そのどこかの山中の掩体壕(えんたいごう、山中をくりぬいた防空壕の豪華な部屋)で、さらに軍事技術をエスカレートした「大規模の戦争」(カルタポロフ下院防衛委員長の言)で、巻き返しをねらう戦略を立てているのか。そこで新年は愛人の元新体操オリンピック金メダルリストのアリーナ・カバエワと静かにすごし、疲れた身心と病身をいやしたのか。多分その両方であるに違いないと思われます。

はたしてこうした思惑と動きのなかで、プーチンが生き続けてどこまで残酷きわまりない戦争を続けていけるのか。

ウクライナ侵攻さえなければ、プーチンは人並はずれて幸せな一生を送ることができたはずです。それなのに、なぜ、古ぼけた古典を引っ張りだして理論武装し、「戦争ではない。特別軍事作戦だ」と奇妙な言い訳までして、ウクライナを攻めたのか。

いったい全体どうして、かつて1つの民族とも兄弟とも口にした隣国のインフラを、厳しい冬の到来を狙って破壊し、悲惨きわまりない熱戦を展開し続けるのでしょうか。

プーチンは、せっかく25年もかけて丹念につくり上げたロシアを、1~2年やそこらで自らつぶしてしまうのか。

そうなるとすれば――なりそうですが、それはロシアの人びとや国や文化などを含めたロシア全体にとって、このうえなく惜しいことです。そして、きわめて悲しいことです。

プーチンが生き続けて、残酷きわまりない戦争をどこまで続けていくのか。そのなりゆきは、いましばらく視座するしかありません。