じじぃの「カオス・地球_100_プーチンは何をしたかったのか?キエフ大公国」

【詳しく】プーチン大統領なぜ執着?キエフ・ルーシの歴史とは

2022年6月17日 NHK
ウクライナ侵攻に踏み切ったプーチン大統領ウクライナを“兄弟国家”と呼び「強い執着」があると指摘されています。そのよりどころとするのが、1000年前にあった「キエフ・ルーシ」と呼ばれる国の存在です。
プーチン大統領がこだわる「キエフ・ルーシ」とは?
キエフ大公」と呼ばれる君主が支配し、最盛期はヨーロッパ最大の版図を誇った大国だったと言われています。
その中心的な都市だったのが、今のウクライナの首都キーウ(キエフ)でした。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/06/17/22839.html

プーチンは何をしたかったのか?

【目次】
はじめに

第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか

第2章 プーチンとは、いったい何者なのか?――スパイを夢見た少年時代、若き日の挫折、そして一大転機で権力者へ
第3章 どうやってロシア大統領になったのか?――最高権力者まで上り詰めた疾風怒涛の4年間
第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族
第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る
第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道

                  • -

プーチンは何をしたかったのか?』

寺谷弘壬/著 アスコム 2023年発行
妻に恐怖の「バンパイア」と言われたプーチンの真実!ロシア研究60年の著者がQ&Aでズバリ回答!

第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか より

プーチンの「キエフ大公国ウクライナでなくてロシアのルーツ」という発想が侵攻の原因に?

――クリミアに満足せず、次はウクライナ本土。しかもロシアに隣接する東部や南部ならまだしも、首都陥落や政権崩壊を狙うとは、プーチンは飛躍しすぎなのでは?

以下、強調印字は筆者による。
いえ、クリミア・ウクライナに対するプーチンの”執着”には、ある意味で一貫性がある、といえるでしょう。

クリミア併合のところで、ウクライナのルーツは東スラブの国とお話ししました。これは、ウクライナ側からすれば中心の国です。

一方、プーチンやロシア側からすれば、キエフ大公の子でノヴゴロド公でもあったウラジーミル1世が、兄弟の跡目争いを制してキエフ大公となり、988年にギリシャ正教に改宗して、ロシア・ベラルーシウクライナ一帯に最大版図(最大の領域)を築いた大国。

プーチンからすれば、これがロシアのルーツです。『ロシア年代記』にあるように、500年前後に建設された最古の都市「キエフはロシア諸都市の母」にすぎないのです。

プーチンは21年7月発表の論文で「ロシア人とウクライナ人は”兄弟”であり、”1つの民族だ”と強調しています。このプーチンの呼びかけに、ウクライナのゼレンスキーは「ロシア人とウクライナ人が1つの民族、兄弟ならば、それは旧約聖書にあるカインとアベルと類似の物語だ」と反論したのでした。聖書では、アダムとイヴがエデンの園を追われた後に兄弟が生まれ、やがて兄カインが妬(ねた)みから弟アベルを殺してしまいます。

伝説時代の論争はさておき、プーチンはクリミア併合後の16年、モスクワ中心部にウラジーミル1世の巨像を建立・ギリシャ正教のキリル総主教とともに除幕式を挙行しました。
ウラジーミル大公像は、じつは大公が洗礼を受けたキーウの丘の上にも建っており、こちらは1853年以来ずっとドニエプル川を見下ろしています。

いずれにせよプーチンは、「ウラジーミル1世はモスクワを中心にロシア語をしゃべっていたはずだ。その崇敬すべき大公が築いたスラブ民族の基幹たるロシア・ベラルーシウクライナを1つにまとめなければならない」という思いに駆られたのでしょう。

つい30年ほど前まで続いたソ連邦時代は、その3国どころか、バルト三国中央アジア諸国、さらに東欧諸国までもモスクワが引き連れる壮大な夢があったわけですから。