じじぃの「カオス・地球_109_プーチンは何をしたかったのか?ソチ冬季オリンピック」

Sochi 2014 Winter Olympics, Russia - Venue Preview - Unravel Travel TV

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1S5R8hNUKtk

ロシアにのしかかる宴の後の憂鬱 政治に利用され続けるオリンピック

2014/03/06 東洋経済オンライン
ロシアのソチ冬季オリンピックは無事に閉幕したが、この大会は非常に高額で汚職にまみれていたと聞いて驚く者は少ないだろう。とはいっても、やはりこの行き過ぎ具合は常軌を逸している。

スキースロープやアイススケートリンク、道路、スタジアムを建設するためにかかったコストは、優に500億ドルを超えている。批判的な見方をする人々は、この費用の半分は盗まれたものであるか、あるいはプーチン大統領の取り巻きたちへのキックバックとして払われたとしている。奇遇にもこの取り巻きたちは先に挙げた建設の中でも、特に大型の事業を受注している。
https://toyokeizai.net/articles/-/32257?display=b

プーチンは何をしたかったのか?

【目次】
はじめに
第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか
第2章 プーチンとは、いったい何者なのか?――スパイを夢見た少年時代、若き日の挫折、そして一大転機で権力者へ
第3章 どうやってロシア大統領になったのか?――最高権力者まで上り詰めた疾風怒涛の4年間
第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族

第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る

第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道

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プーチンは何をしたかったのか?』

寺谷弘壬/著 アスコム 2023年発行
妻に恐怖の「ヴァンパイア」と言われたプーチンの真実!ロシア研究60年の著者がQ&Aでズバリ回答!

第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る より

どんどん企業のトップにしたお友だちとは?

――プーチンの竹馬(ちくば)の友――幼なじみや幼な友だちも、クレプトクラット(国民や国家の金で私腹を肥やす官僚)になっているのでしょうか?

以下、強調印字は筆者による。
そうそう、兄アルカディがプーチンの1つ上、弟ボリスが5つ下のローテンベルグ兄弟が典型です。プーチンは兄のほうと柔道仲間で一緒に汗を流しました。

兄弟は、プーチンの親友ティムチェンコから資金を借り、フィンランドで柔道クラブを経営しながら、石油製品の輸送・販売業で暮らしていた時期があります。ティムチェンコのカネはロシア銀行、つまりプーチンの私的銀行のカネでした。

その後、兄弟はモスクワ中心に展開するSMP銀行を設立。パイプライン・電力供給網・鉄橋の建設を手がける総合ゼネコンSMG社の共同経営者にもなりました。

00年に大統領となったプーチンは、ウォッカ市場で3割のシェアがあった国営の酒造会社ロススプリトプロムに兄弟を任せています。

プーチン政権下、SMG社はガスプロムとの”パイプ”を文字どおり太らせ、長距離パイプラインの受注が急伸。14年ソチ冬季オリンピックでは総額70億ドルの建設仕事を請け負いました。兄弟が「プーチンを神から授けられたと思った」と述懐したほどオリンピック資金は潤沢で、SMGだけで10年バンクーバー冬季オリンピックの総予算25億ドルの3倍近くを売り上げたのです。プーチンのいとこシェルミフのプラチナム温泉地再建もその1つです。

ソチ冬季オリンピックの総費用は、ある調査によれば219億ドル(2.4兆円)とされ、夏冬含めた歴代オリンピックで最大です。貧弱だった交通インフラや競技・宿泊施設などの整備が必要なうえに、クレプトクラットの取り分が乗っていたからですね。ローテンベルグ兄弟のSMGは、20億ドルの沿岸道路や水中パイプラインまで造っています。

クリミア併合後は、ロシア本土とクリミアを結ぶクリミア大橋の大仕事が転がり込みました。全長18.1キロはヨーロッパ最長の橋で、15年に着工し19年に開通しています。政府からの支払い金額は予定より多く、困った兄弟はバージン諸島でマネーロンダリングに精を出した、と伝えられています。

兄弟にカネを出したティムチェンコは、ペテルブルク支庁時代にプーチンと知り合いました。プーチンと同じ柔道クラブのメンバーで、プーチン乱取り相手もやったそう。ロシア・マフィアにきわめて近く、よく外国に行くので、マネーロンダリングはお手の物。”プーチンの財布”を預かるクレプトクラットには、うってつけの人物です。

幼少時、軍人の父について数年間ドイツで暮らしたことがあり、ドイツ語に堪能。KBGのエージェントだったという匿名証言がありますが、本人は否定しています。

ティムチェンコは、ペテルブルク市対外関係委員会議長のプーチンから許可を受け、フィンランドでロシア原油を西側に売る取引システムをつくりました。97年にロシア初の原油・石油製品輸出会社ガンヴォルを設立し、00年から本格稼働。これはスイス・バハマシンガポール・ドバイなどにオフィスをおき、各国の石油・ガス・石炭会社に出資してグローバルに販売する巨大なエネルギー取引会社です。

表の社長・所有者はティムチェンコですが、裏の社長がプーチンといわれています。

05年50億ドルだった会社資産は、07年に430億ドル(数兆円)。このころプーチンの個人資産が200億ドル以上とされていましたから、プーチンはティムチェンコからかなりのカネを引っ張ったはずです。
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ティムチェンコは、11年には米『フォーブス』誌がロシア全体で6位とした大金持ちのクレプトクラット。14年クリミア併合で制裁を受けて資産を手放したこともあり、22年に26位と順位を大きく下げました。資産160億ドルとやや控えめな金額(それでも2兆円以上)が報じられています。もちろんウクライナ侵攻で、またも制裁を受けるハメに陥っています。