じじぃの「カオス・地球_106_プーチンは何をしたかったのか?ガスプロム(ガス会社)」

Explained: What is Gazprom and what makes it so powerful?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=2KfvaeO_X0o

ガスプロム

ウィキペディアWikipedia) より
ガスプロムラテン文字表記の例:Gazprom)は、ロシアの企業。天然ガスの生産・供給において世界最大の企業である。
創設は1993年2月17日。半国営の天然ガス独占企業である。ロシア政府が50.23%の株式を保有している。
天然ガスの生産高(採掘量)は5237.9億立方メートルで、これはロシアの88%(残りはITERA社および石油企業の生産)、全世界の23%に相当する。埋蔵量は、17,800立方キロメートルで、これは世界の38%を占めると言われる。

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プーチンは何をしたかったのか?

【目次】
はじめに
第1章 プーチンは、何をしたかったのか?――なぜクリミア併合、ウクライナ侵攻へ至ったか
第2章 プーチンとは、いったい何者なのか?――スパイを夢見た少年時代、若き日の挫折、そして一大転機で権力者へ
第3章 どうやってロシア大統領になったのか?――最高権力者まで上り詰めた疾風怒涛の4年間

第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族

第5章 プーチンが築きあげた“盗人支配”と“監視”のシステムとは?――クレプトクラットが盗み、シロヴィキが見張る
第6章 プーチンの支配はいつまで続き、どう倒れるのか?――プーチンの哀れな末路と、ロシア再生への道

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プーチンは何をしたかったのか?』

寺谷弘壬/著 アスコム 2023年発行
妻に恐怖の「ヴァンパイア」と言われたプーチンの真実!ロシア研究60年の著者がQ&Aでズバリ回答!

第4章 権力者となったプーチンをとりまく人々――政治を動かすオリガルヒ、愛すべき家族や親族 より

プーチンに忠実なオリガルヒ(新興財閥)もいるのか?

――プーチンに忠実なオリガルヒも少なからずいます。デリパスカのように、プーチンに育てられたオリガルヒです。どんな人物が、どんな事業をしていますか?

以下、強調印字は筆者による。
66年ダゲスタン(カスピ海東岸、アゼルバイジャンジョージアの隣国)生まれのケリモフは、若いころ柔道とウェイトリフティングで鳴らし数学オリンピックで優勝した秀才です。ダゲスタン大学経済学部卒。

卒業後は、国営工場の財務部門に就職し、93年には工場から連邦産業銀行フェドプロムバンクに派遣されてモスクワへ。この銀行はいわば出遅れた会社で、ケリモフたちは大規模な公共事業会社の債権者となり、巨額の利益を得てフェドプロム銀行を手に入れます。

99年には石油取引会社ナフタ・モスクワを買収。この会社を使って、融資を受けてガスプロムやズベルバンクの株を買い、高値で売って莫大な利益を手にしました。06年末まで32億ドルを借り、150億ドル相当の試算に変えた、とされています。

99~07年に下院議員、08年からは上院議員を務め、プーチンととくに親しくなりました。

リーマンショックで経営が大変なとき、ケリモフはポターニンからロシア最大の金採掘会社ポリウス・ゴールドの株式を買い取っています。09年にはモスクワの中心街にある「ホテル・モスクワ」の再建計画に関与し、オープン直後の15年にベラルーシ出身の実業家コーチンに売却しています。
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こういうのがケリモフのビジネスです。17年には仏コート・ダジュールの高級住宅をペーパーカンパニー経由で購入し、脱税したとしてニースの空港で逮捕され、保釈金4000万ユーロで保釈されたり(18年に起訴取り下げ)、フランス人不動産屋をアブラモヴィチやデリパスカと一緒に恐喝した、と訴えられたりしています。プーチンはこのようなワルをかかえているようです。

53年ウズベキスタン生まれのウスマノフは、「プーチンにもっとも好かれているオリガルヒ」といわれています。モスクワの国際関係研究所(外務省下部機関の大学)で学び、教授だったプリマコフ(のち首相)と親しくなりました。26歳だった80年、ウズベキスタン共和国幹部の息子たち有人とともに詐欺や窃盗罪でも逮捕され、8年間も投獄されています。

90年代後半には、国策ガス会社ガスプロムのCEOヴャヒレフと出会って提携し、ガスプロムの子会社ガスメタルを所有します。同社はさらに買収を重ね、08年にはメタロインヴェスト持株会社(ロシア最大の鉱業・冶金保有会社)となりました。
ウスマノフはこの持株会社の株式の60%(12年末)を握ったオーナーです。この会社は、埋蔵量で世界トップ3に入るウドカン銅山や、世界最大級の埋蔵量とされる鉄鉱山の1つを持っているのです。

さらに彼は、ロシア第2の携帯会社メガフォン、ビデオゲーム会社、『コメルサント』紙、音楽チャンネルやスポーツチャンネル、ディズニー・ロシアなども所有(テレビからは17年前末に撤退)。07年から英名門アーセナルFCの株を買って所有を試みたようですが、18年に30%を超えたところで諦めたのか、売却して徹底しました。

米『フォーブス』誌によると個人資産は22年に115億ドル。ウクライナ侵攻でEUなどから制裁されたことには、「この決定は不当だと不当だと考えている。制裁の根拠は捏造で、私の名誉・尊厳・ビジネス上の評判を傷つける根拠のない告発だ」と、憤然と抗議し、再訴(さいそ)。「有罪判決は不当。証拠は捏造」との最高裁判判決を勝ち取りました。後押ししてくれたのは、ウズベキスタン大物マフォアのラヒモフとガスプロムのヴャヒレフという奇妙な組み合わせの2人。逮捕・投獄された若者は父たちの権力闘争に巻き込まれた――父を失脚させるため息子の不祥事がでっち上げれれた、ということだったようです。

プーチンは大統領になる前からガスプロムに注目。ウスマノフから情報を仕入れて同社の”プーチン化”を狙いました。ウスマノフはプーチンの求めに見事に応えたのです。

01年にヴャヒレフCEOが辞職を申し出ると、プーチンは喜び、後任に忠実な部下のミレルを任命しました。ミレルのガスプロムをずっと支えつづけたのがウスマノフです。その見返りとして、ウスマノフのメタロインヴェスト持株会社ガスプロムの子会社などが売却され、便宜が図られていったわけです。