じじぃの「カオス・地球_91_第3の大国インドの思考・パキスタン・グワーダル港」

【衝撃】「一帯一路は債務の罠だ!」親中だったパキスタンが中国を見限り米国に急接近!?詐欺プロジェクトのせいで中国の孤立が深刻に・・・【グレートJAPANちゃんねる】

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中国の支援で進むグワーダル港開発


一帯一路の旗艦“中パ経済回廊” まだら模様の両者の思惑

2021年7月7日 Wedge ONLINE PREMIUM
CPECは2015年4月の習近平国家主席によるパキスタン訪問時に公式発表され、当初は460億㌦と見積もられていた総工費は現在620億㌦以上に膨れ上がっている。
このCPECの玄関口として開発が進められているのが、グワダル港である。
同港はアラビア海に面し、中東と南西アジアの結節点に位置する戦略的要衝である。中国がこの港の租借権を持ち開発していることから、今後の中国の影響力拡大を推し量る上で注目されている。
https://note.com/wedge_op/n/n8264b3a6a4e5

第3の大国 インドの思考――激突する「一帯一路」と「インド太平洋」

【目次】
まえがき
序章 ウクライナ侵攻でインドが与えた衝撃
第1章 複雑な隣人 インドと中国
第2章 増殖する「一帯一路」――中国のユーラシア戦略
第3章 「自由で開かれたインド太平洋」をめぐる日米印の合従連衡

第4章 南アジアでしのぎを削るインドと中国

第5章 海洋、ワクチン開発、そして半導体――日米豪印の対抗策
第6章 ロシアをめぐる駆け引き――接近するインド、反発する米欧、静かに動く中国

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『第3の大国 インドの思考――激突する「一帯一路」と「インド太平洋」』

笠井亮平/著 文春新書 2023年発行

第4章 南アジアでしのぎを削るインドと中国 より

中国の支援で進むグワーダル港開発

近年、このグワーダル(パキスタンアラビア海沿岸にある港湾都市)が戦略地政学的な観点から大きな関心を集めている。それは、この港湾都市が「中国・パキスタン経済回廊」(CPEC)の重要拠点だからだ。そして、CPECは「一帯一路」の中でも旗艦プロジェクトと位置づけられている。

グワーダルが注目されるようになったのは、今世紀に入ってからのことだ。かつては小さな漁村で、18世紀末からアラビア海オマーン(当時はマスカット・オマーン)が飛び地として領有していた。
1947年にパキスタンが独立した時点でもまだオマーン領のままだったが、58年に当時の首相フェローズ・カーン・スーンが交渉を行い、買い戻す契約をまとめた。費用は55億パキスタンルビー。現在の価値で20億ドルに相当する。とてつもない額だった。そのかなりの部分は、イスラムイスマーイール派の精神的指導者で、慈善活動家としても名高いアーガー・カーン4世が負担したという。

パキスタンの有力英字紙『ドーン』が後年掲載した解説記事では、グワーダル購入決断の意義は「アメリカによるロシアからのアラスカ購入に匹敵する」と評している程だ。

「一帯一路」の要としての中国・パキスタン経済回廊

CPECは、中国・新疆ウイグル自治区カシュガルからグワーダルまでのおよそ3000キロメートルを経済回廊として、道路、鉄道、航空といった交通インフラの整備を軸としつつ、沿線の産業や民生面の開発を進めることで、中パ両国の結びつきと発展を実現しようとする壮大な構想だ。
2015年4月の習近平主席によるパキスタン国会での演説では、CPECについて「回廊建設を中心とし、グワーダル港、エネルギー、インフラ整備、産業協力を重点とする『1+4』協力体制を形成していく」と説明されている。

グワーダル港開発は先行して進んでいたが、それも含めて中パが包括的な経済開発構想に取り組み始めたのは、2006年だ。このとき署名された「貿易および経済協力に関する5ヵ年開発計画」の中で、パキスタンが「パキスタン・中国 貿易・輸送・エネルギー・産業回廊」を提案し、中国も賛成したとの言及がある。「中パ経済回廊」という名称は、13年5月に李克強首相が訪パした際の共同声明で初めて登場した。「中パ経済回廊の展望と計画について共同研究を進めていくこと」で両国が一致したとの文書が見られる。
この年の後半に「一帯一路」が提起され、構想が具体化していくなかで、CPECは「6大経済回廊」の中でもとくに重視されている。第2章でも触れたように、中国経済のウェブサイト「中国一帯一路網」のトップページで「専題」(特集)として取り上げられているのは、「習近平と一帯一路」、「中欧斑列」、そして「中パ経済回廊」であることからも重要度の高さがうかがえるだろう。

その理由は、パキスタのン戦略的位置に見出すことができる。グワーダルは「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」の結節点に当たる。中国はCPECを通じて、海ではアラビア海ペルシャ湾、さらにはインド洋に出ることが可能になる。

中国は石油やガスを輸入に依存しているが、中東からの場合、自国の沿岸部まで運ぶにはマラッカ海峡を通らなくてはならない。この「マラッカ・ジレンマ」を解消すべく、中国はミャンマー雲南省を結ぶ天然ガスと石油のパイプラインをそれぞれ2013年と17年に開通させた。2つのパイプラインは「中国ミャンマー経済回廊」(CMEC)の旗艦プロジェクトに位置づけられている。これに加えてパキスタン経由でもパイプラインが開通すれば、リスクを分散できるだけでなく、中国西部への効率的に石油・ガスを供給することが可能になる。

陸では、パキスタンとの接続を強化するだけでなく、アフガニスタンやイランへのアクセスを改善できるというメリットがある。
2017年12月に発表された「CPEC長期計画」では、2030年までに「CPECの建設をすべて達成し、持続的な経済成長のためのメカニズムが機能し、中央アジアと南アジアの経済成長の加速が全面的に進み、南アジアがグローバルな影響力を持つ国際的な経済圏へと成長する」ことが目標として掲げられている。