じじぃの「カオス・地球_82_デンジャー・ゾーン・2030年代の中国」

ピークは5年後?中国経済…習主席の「2030問題」【12月20日(月)#報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GWXM3IWRpP4


【外交安保取材】なぜ日本の「インド太平洋構想」は支持され、中国の「一帯一路」は警戒されるの

2020.10.30 産経ニュース

日本が掲げる外交構想「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)が国際社会の支持を集める一方、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対しては警戒感が高まっている。
何が明暗を分けているのか。
「日本が提唱した外交コンセプトがこれほどまでに国際社会に浸透したことはない」
https://special.sankei.com/a/politics/article/20201030/0001.html

デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突

【目次】
序章
第1章 中国の夢
第2章 ピークを迎えた中国
第3章 閉じつつある包囲網
第4章 衰退する国の危険性
第5章 迫る嵐
第6章 前の冷戦が教えること
第7章 デンジャー・ゾーンへ

第8章 その後の状況

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『デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突』

ハル・ブランズ、マイケル・ベックリー/著、奥山真司 /訳 飛鳥新社 2023年発行

第8章 その後の状況 より

2030年代の中国

新たな冷戦が展開する中で、中国はどうなっていくのだろうか?
中国の将来については不明な点が実に多いが、わかっていることの中には極めて重要な3つのことがある。これらをまとめて見ると、中国は2030年代までに経済的に低迷し、国際的にも嫌われ、政治的にも不安定になることが示されている。

第1の事実は、中国の人口危機の本格化だ。中国の長期的な人口問題についてはすでに第2章で述べたが、中期的にもその逼迫(ひっぱく)は深刻化するだろう。2020年から2035年にかけて、中国は約7000万人の労働年齢人口を失い、1億3000万人の高齢者を獲得することになるからだ。

これはたった15年の間にフランスと同じ規模の若年労働者、消費者および納税者の人口が減り、日本と同じ規模の高齢年金受給者が増えることを意味する。さらにその後、事態は本当に悪くなる。2035年から2050年にかけて、中国はさらに1億500万人の労働者を失い、6400万人の高齢者を抱える。したがって、早ければ2030年の時点で、中国は人口のピークを越えて崖から落ちることになる。

中国の人口崩壊の速度と規模は、その経済を崩壊させる可能性が非常に高い。平均して、国は労働力増加率が1パーセンテージ・ポイント低下することに、GDP成長率の1パーセンテージ・ポイントを失う。ところが中国の労働力人口は成長が止まるだけでなく、2020年から2035年にかけて7%近く縮小し、2035年から2050年にかけてさらに11%も減少するだろう。

その一方で、何千万人もの高齢者が貧困に陥らないようにするため、年金と医療への支出は2020年から2035人にかけてGDP比で2倍(2050年には3倍)に増やす必要がある。国家規模で高齢者介護を提供する財政的・物理的負担は、中国の減少する健康な成人人口の貯金、専門能力の開発、消費を阻害すると予想される。

このような悲惨な状況――急速に高齢化が進み、さらに人口が減少していく――では「投資主導の成長」(現在の中国のモデル)も「消費主導の成長」(中国が採用しようとしている現在のアメリカのようなモデル)も、実質的に不可能だ。そうなると残る選択肢は「輸出主導の成長」であり、これはグローバル化が進んでいた1990年代の中国にはうまくいった戦略だが、厳しい貿易障壁と軍事化されたシーレーンが存在する「バルカン化した世界」には不向きだ。

習近平新興国市場に資金を大量投入することでこの問題を回避し、将来の中国の輸出需要を喚起するのを期待している。しかしその期待は「第2の不都合な事実」によって打ち砕かれる。すなわち、中国の海外融資の多くは2030年頃に満期を迎え、その多くが返済不能に陥ることだ。
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2030年代初頭に中国が引き起こすであろう反発は、スリランカの大惨事よりはるかに深刻なものになる。なぜならさらに多くの国々と資金が巻き込まれることになるからだ。研究者たちは中国の最近の融資計画を、1980年代のいわゆる「第3世界債務危機」を引き起こした好景気の「双子の片割れ」だと表現している。

この危機では何十ヵ国もの貧しい国々が何千億ドルもの融資不履行に陥り、経済成長ゼロの「失われた10年」に苦しんだ。この場合の「貸し手」(十数ヵ国の裕福な国の大手銀行たち)は、結局、彼らが持つ債務の3分の1を放棄しなければならなかった。債務不履行に陥った国々のほとんどはIMF世界銀行の「構造調整」(あるいは緊縮財政)計画を強いられ、発展途上国全体で暴動が起きた。

現在、中国はそれと同じ国々に、経済規模に占める割合で同じレベルの負債を負わせている。前回と唯一違うのは、銀行団ではなく中国政府が圧倒的に最大の貸し手であり、これから起こる混乱の後始末と外交問題を単独で対処しなければならない点だ。
債権回収は厄介なビジネスだ。無謀な融資をしくまった結果、中国は友人とソフトパワーを失うかもしれない。

われわれが知る中国の第3の事実は、迫りくる後継者問題の危機に直面していることだ。
習近平は肥満の喫煙者(スモーカー)で、ストレスの多い仕事をしており、2033年には80歳になる。今後数年間は統治するかもしれないが、数理計算上はそうでないことが示唆される。
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中国の歴史は「シームレスな権力移譲」を期待する人々にとり、ほとんど慰めにならない。同国の歴史で完全に形式化され秩序立った指導者継承は、2012年に習近平自身が就任したときの一度だけある。

中国共産党以前の時代は全く安心できるものではなかった。49の王朝にまたがる中国の282人の皇帝は、その半数が殺害され、打倒され、強制的に退位させられ、あるいは自殺を余儀なくされている。後継者を選んだのはその半数以下で、その大半は在位の最終年に決められ、後継者は政敵に殺害されるのを常とする。

端的に言うと、中国の後継者問題は暴力的な混乱につながるのが一般的で、何が起きても不思議ではない。