じじぃの「カオス・地球_66_習近平独裁新時代・テスラのCEOイーロン・マスク」

【テスラ値下げ】モデル3ハイランド発売秒読みへ 中国で今年2度目の値下げ&中国値下げ競争再燃の可能性

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=j063-US6rBA

中国EV市場シェア (2020年)


【中国EV市場の今】テスラ「1人勝ち」に陰り、格安EVや新興EV「3強」が追い上げる

2021/6/23 SBI証券
中国EV市場では、これまでテスラ「1人勝ち」のイメージが強いですが、今年に入ってから変調がみられています。

1位の上海GM五菱汽車は主に低価格帯の小型EVを製造してします。
代表車種の「宏光MINI」の販売価格(約50万円弱)はテスラの「モデル3」標準グレードのわずか1割強程度で、手軽さと安さで地方都市や農村地域で販売を伸ばしています。そのほかのメーカーの場合、BYDや広州汽車、長城自動車など中国企業は主に中低価格帯EV、 ニオはテスラと同じく中高価格帯EVを製造しています。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?OutSide=on&_ControlID=WPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=search_market&cat1=market&cat2=report&dir=report&file=market_report_fo_topic_210623_01.html

習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン

【目次】
序に代えて――歴史の分岐点となった第20回党大会
第1章 江沢民の死と白紙革命
第2章 習近平「平和外交」の正体
第3章 コロナ政策転換でも光が見えない「新時代」経済政策

第4章 全人代から始まる新たな粛清

最終章 習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウンのボタン

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習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』

福島香織/著 かや書房 2023年発行

第4章 全人代から始まる新たな粛清 より

中国に賭けるグローバル企業

テスラのCEOイーロン・マスクが2023年5月末、3年ぶりに中国を訪問し、北京当局から破格の待遇を受けた。
シンガポールで開かれるアジア安全保障会議(2~4日)に合わせて米側が要請していたオースティン米国防長官と中国の李尚福国務委員兼国防相の会談を、中国が拒否し、米中関係の改善の行方んは絶望的な関係が逃れている一方で、マスクは中国の主要官僚と次々に面会してみせた。これは中国がマスクを篭絡して利用しようとしているのか、それとも政治関係、安全保障方面での対立は先鋭していても米中ビジネス関係はまた別だ、ということなのか。

少なくとも一部のグローバル企業のトップたちは、中国習近平新時代の経済政策のひどい現状を目(ま)の当たりにしながらも、今後の中国に賭けようとしている。

米中関係が低迷し続けているなかでのマスク訪中はわずか3日間という短期間であるが、マスクが面会した中国官僚の数は、米国の政治家や官僚の訪中のときよりも多かった。

マスクは5月30日、北京に到着し、秦剛外相と会談、31日には王文濤商務相、金壮竜工業情報化省と会見した。さらには31日午後、丁薛祥副首相と会談、この時会談内容は完全に非公開だった。丁薛祥は政治局常務委員(最高指導部メンバー)であり、党内序列6位の大物。丁薛祥としては初の外国企業CEOとの一対一の会談であり、これは中国がいかにテスラとの関係を重視しているかの表れとも言えた。

2020年1月、マスクはテスラ上海工場のテスラ・Model3タイプ納車セレモニーに出席。その直後に中国ではコロナアウトブレークによる上海ロックダウンが発生。これは中国におけるテスラとEV産業の発展に直接的な多くの影響を与えた事件だった。

マスクは事前に李強首相との会談も望んでいたという。だが、李強と会えたかどうかは、確認がとれていない。李強は2019年にテスラ工場の上海招致に重要な影響を与えた当時の上海市書記で、ひょっとすると秘密裏に会談しているかもしれない。

それまで、その他外国の自動車メーカーが中国に工場をつくる場合は、中外合資が条件だったが、テスラに対して中国パートナー企業との合資の必要がなく、独資でよいと決断したのは、李強だった。
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機関投資家のウェドブッシュセキュリティのシニアアナリスト、株式研究部門のCEOのダニエル・アイブスは、テスタの上海工場は、そのグローバル生産の「心肺」である、と指摘する。

「テスラ上海ギガファクトリーは目下、月産8万台以上。中国でのテスラの生産規模と範囲は以前として同社の1番の強みだ」

中国はテスラにとって米国に次ぐ第2の市場で、上海工場はテスラのグローバルな最大の製造センター。2022年、テスラ上海工場は71.1万台の自動車を納車し、テスラの世界シェアの半分以上を占めている。

同時に、中国のEV市場の値下げ合戦が熱く、テスラはBYDやNIO、XPengとの価格競争に翼面している。中国自動車センターのデータによれば、2022年の中国における新エネ車の販売量は688.7万台、世界販売台数の60%を超えている。

2022年、中国で販売されたEVのうち、80%が国内ブランド。市場研究機構のカウンターポイントのデータでは、BYDが29.7%のシェアで断トツトップ。テスラはシェア8.8%で、第3位だった。

アイブスは「今回のマスクの訪中は、国内EV値下げ戦争の鍵となるタイミングだ。国内のライブらとのシェア戦争は、目下、テスラにとって最も突出した問題だ。中国のマクロ経済は楽観的ではないが、テスラはこの主要市場でEVブランドの足場を固め、中国で成長し続けていかねばならないのだ」と言う。

マスクはこの機会に上海工場での新型Model3の量産を推進し、上海ギガファクトリーの生産拡大、まもなく着工されるテスラ上海大型蓄電システム「メガパック」工場を後押しし、自動運転技術を完全にし、バッテリー製品の中国市場のルートを開拓したいところだろう、という。

中国工業情報化部の微博オフィシャルアカウントによれば、マスクと金壮竜の会談では、新エネ車とスマートネットワーク車の発展などについて意見交換をしたという。マスクはさらに中国寧徳時代の曾毓群会長と会談しており、おそらくはテスラの上海メガパック工場での、バッテリーセルや動力電池の供給に関する商談ではないか、と見られている。

マスクは6月1日に帰国する前に、上海市の現書記の陳吉寧と会談。上海政府のプレスリリースによれば、陳吉寧は「テスラが上海への投資と業務配置を拡大し、新エネ自動車、メガパックなどの領域で協力が深まることを歓迎する」と述べた。

中国を訪問するグローバル企業家はマスクだけではない。モルガンスタンレー投資銀行のジェミー・ディモン、スターバックスCEOのラクスマン・ナラシムハン、インテルCEOの黄仁勲、フランスの高級ブランドLVMH CEOのベルナール・アルノーが相次ぎ前後して訪中した。またビル・ゲイツは6月16日に訪中し、外国民営企業トップとして初めて、習近平と単独会談した。
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マスクは訪中の間、この旅に関することはツイッターでほとんど発信せず、ただ訪中が終わった時に、テスラ上海工場の従業員との記念撮影を発表した。だが、マスクは中国のファイアウォール内にあっても、外のツイ友とやりとりしており、米国国内のテーマについてはツイッターで論評していた。中国のファイアウォールツイッターを遮断しているがVPNなどのツールを使えばツイッターは使用できる。

人権組織の「ヒューマンライツ・ウォッチ」中国部シニア研究員の王亜秋はツイッターで、「自称言論の自由主義者(マスクのこと)は世界でもっともセンサーシップの厳格な国家の指導者に、言論の自由の手厳しい意見を提示し、自分の意見を言っただけで投獄されている中国人の釈放を呼びかけてほしい」と、皮肉っていた。

共和党予備選挙に立候補している起業家、ヴィベック・ラマスワミはツイッターで「中国共産党は米国起業家を道具として操っている。マスクが訪中しデカップリング反対を訴え、米中はシャム双生児だなどという一連の言動は懸念される」と訴えた。

さらに「中国共産党が私たちの最も著名なビジネスリーダーや著名人を傀儡にして、自分たちの課題を推進しようとするとき、これは米国にとって本当にリスクとなる。これは世界の認識を中国に有利なように傾斜させる。残念なことに、その効果がまさに現われている」と警告した。

著名起業家たちが、このまま米国の人権や言論の自由の価値観を裏切り、習近平「独裁新時代」に賭けて、協力的でい続けることになるのか。

習近平独裁の寿命は、国内経済の行方、そしてそれは西側を中心としたグローバル経済の関わりの影響が大きいだろうが、その影響力を左右する存在が、米国を中心としたグローバル企業のキーマンたちであるとするならば、これは大きな不確定要素として注視する必要があるだろう。