じじぃの「カオス・地球_65_習近平独裁新時代・一帯一路・人民元国際化の野望」

【米ドル基軸通貨】米ドルは基軸通貨としての地位を失うのか!歴史から考察!仮想通貨、CBDC、デジタル人民元

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https://www.youtube.com/watch?v=cME6JyPEilk

ブラジルやアルゼンチンなどで人民元決済を拡大させている


ブラジルやアルゼンチンなどが人民元決済を開始する理由

2023/5/10 Yahoo!ニュース
中国が資源取引で人民元決済を拡大させている。中国とブラジルは3月、貿易や金融取引で両国の通貨を使って直接取引できる仕組みの創設で合意したとAFP通信などが報じていた。
さらに、アルゼンチン政府は4月26日、中国からの輸入品の決済をドルから人民元に切り替えると発表した。
石油やガスでも人民元決済を拡大させようとしている。原油が輸入の5割を占めるロシアとの石油取引では人民元決済が浸透しているとされる。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2097586b33f5fbe4462a1ad6ce8bb151175b6aa7

習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン

【目次】
序に代えて――歴史の分岐点となった第20回党大会
第1章 江沢民の死と白紙革命
第2章 習近平「平和外交」の正体
第3章 コロナ政策転換でも光が見えない「新時代」経済政策

第4章 全人代から始まる新たな粛清

最終章 習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウンのボタン

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習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』

福島香織/著 かや書房 2023年発行

第4章 全人代から始まる新たな粛清 より

人民元国際化」の野望の行方

中国がこのように厳しい金融界粛清を始め、その余波が実体経済にも影響を見せている中、それでも世界の新興国、途上国で、中国と貿易する際に中間貿易通貨としての米ドル使用を放棄し、人民元決済を導入する国がじわじわ増えている。3月以降、ブラジル、アルゼンチン、シリアなどが次々と人民元決済を導入すうと発表した。

これを「人民元の国際化」が進んだと受け取るかどうかは意見の分かれるところだが、米国で銀行の経営悪化、破綻が続く中で、短期的には人民元に対する評価が上がっているという見方もある。
果たして、人民元がドルにとって代わる日は来るのか。

2023年4月29日、シリアのアサド大統領は中国から派遣された中東問題特使と会見し、貿易決済の人民元使用を推進することで賛同を示した。

アサドは「世界は政治、経済において、中国が新たなグローバル情勢のバランサーとなることを求めており、同時に中ロ関係やBRICsの枠組みなどが新たな多極的な国際秩序を建設する強大な空間を作るだろうと考えている」と述べた。

アサドは米中の対抗がまず経済から始まり、これが貿易でドルを使わない必要性をますます大きくしている、と指摘。BRICs国家はドル脱却において主導的な影響力を発揮し、国際貿易において人民元採用を選択していることに言及。さらに中国の経済圏構想「一帯一路」の重要性や、サウジアラビアとイランの関係改善への中国の努力、そのことによる中東地域全体へのポジティブな影響力を評価した。

その数日前の4月26日には、南米のアルゼンチンのセルジオ・マッサ経済相が「今月から中国輸入品の支払い10.4億ドル相当は、米ドルを使用せず、人民元で決済する」と発表。3月にはブラジルのルラ大統領が中国を訪問し、ブラジルと中国間の貿易決済で米ドルを中間貿易通貨として使わないと宣言していた。

マッサによれば、人民元を決済に使用することでアルゼンチンは、今後数ヵ月のうちに中国からの輸入テンポが加速し、人民元決済による効率がさらに高まるだろう、という。人民元決済により、輸入審査も180日から90日に短縮できるとの見通しを示した。現地の照会によれば、人民元決済はアルゼンチンの中国からの輸入プロセスを簡素化できる。

またマッサによれば、人民元を決済通貨に使用することで、中国の企業との取引を選択する企業がますます増えることになるだろう、という。アルゼンチンの場合は、人民元決済により、外貨準備のドルの枯渇を回避できるという面もある。

こうした動きの中で、『ロイター』は、「中国人民元が、緩やかだが国際貿易決済通貨の地位を向上させている」と報道。米ドルは依存として世界の基軸通貨として、貿易決済通貨として圧倒的なシェアを占めているが、中国が関わる二国間貿易では人民元決済がじわじわと増えて、3月の段階では人民元決済量がドル決済量を始めて超えた。中東からの石油購入、ブラジル、ロシアとの貿易決済がすべて人民元で支払われたからだ。
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台湾中信金融管理学院の謝金河教授はフェイスブックで、こう指摘していた。

人民元がドルにとって代わって世界の主要外貨備蓄となるまでには、道のりははるか遠い。人民元と米ドルでは、世界の外貨備蓄量の比重差は非常に大きく、しかも人民元の外貨備蓄のシェアは2022年上半期の2.88%をピークに下がって、下半期には2.69%になっている」

人民元はまず自由化されることが先決で、そうしてからやっと基軸通貨ドルにとって代われるかどうかを語るべきだ」

一方、香港の経済評論家の利世民がRFI(フランス国際放送)で興味深い指摘をした。

「中国は、より多くの人に人民元をより多く利用してほしいと考えている。しかし、実情は米ドルの主導的地位を揺るがすのは難しい。なぜなら米ドルの資金プールは非常に大きく、売買と自由度が極めて高いからだ。一方、中国は、株式の反映のほか、(人民元流通拡大が)国内経済とその背後に実権に影響を与えないことを望んでいる。ゆえに、中国がやろうとしているには人民元の国際化ではなく、人民元金融商品の国際化または人民元建て債券の国際化であると考えている」

さらに、香港にその任務を負わせたいと考えているという。だから、香港が10年前に突然イスラム金融を発展させたように、最近になって人民元建て株式売買と債権発行を開始したのだ、と。彼の予測では、数億の価値がある香港の強制性公積金が今後、人民元建て債権を大量に購入することになろう、という。そうなれば香港ドルと米ドルのペッグレートは人民元の流通後も維持できるのか、という疑問を呈している。

1983年、香港ドルが英国ポンドから米ドルにペッグされるようになった例を振り返れば、香港ドル人民元とペッグされる決定と発表は、ある日突然行われるかもしれない。
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人民元決済を導入した国の多くが、アンチ米国の新興国、途上国で、エネルギー、食糧、資源鉱物の産地であるコモディティー貿易国であることも要注意だ。

米ドルが基軸通貨となった最大の理由は、第二次大戦後以来、世界の石油資源でドルが決済通貨となったからだ。「石油・ドル」システムが米国の国際会議におけるボスの地位を担保し、その結果、世界の外貨準備通貨となった。

米国とかつての帝国主義国との最大の違いは、広く深い金融市場によってグローバルな資源コントロールシステムを構築したことである、と吉林大学経済学院の李暁教授がBBCのインタビューでコメントしていた。米国の国内外政策の核心は、この米ドル基軸体制をうまく運転することであり、これこそが米国の核心的利益だ、と。

中国はこのことをよく理解し、100年ぶりの世界の変局の時代と迎えて、米ドル基軸体制の打破こそが、米国一極体制から米中二極体制あるいは中国一極体制への再構築の筋道につながると考えてきた。

米国がまさに中国を西側の経済・金融からデカップリングしようとしているときに、エネルギー資源や食糧資源が集中する中東、中央アジア、ユーラシア、東南アジアを「一帯一路」という経済圏、中国朋友圏としてまとめて人民元決済を拡大していこう、というのが今進行している中国のシナリオだろう。

目的とロジックと手段が明確で確実に進んでいるということを考えれば、「人民元基軸時代が来るなど、ばかばかしい夢物語だ」と鼻先で笑って油断しているわけにはいかないと思うわけだ。
しかし、西側金融を参考にする金融エリート官僚エリート官僚たちを粛清し、銀行を追い詰め、民営フィンテック企業に対する締め付けを強化しながら国際金融の主導的立場を米国から奪おうという、一見矛盾する発想をこの勢いで進めてゆくことで生じるひずみは、ひょっとすると大陸が移動するプレート・テクトニクスによるひずみのように、ある日突然、大地震を起こしうるのではないか、という懸念もある。