じじぃの「カオス・地球_62_習近平独裁新時代・半導体国産化」

対中規制 日本も発動! 中国規制外半導体に戦略シフトか!?【日経プラス9】(2023年7月24日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=kTzUBtY_AW4&t=360s

半導体製造装置の対中輸出規制は、日本にどんな影響を及ぼすのか


半導体製造装置の対中輸出規制は日本にとって良い?悪い?日本企業がやるべきことは

2023.2.7 ダイヤモンド・オンライン
半導体サプライチェーン地殻変動が激化
ここへ来て、米国は中国の半導体製造能力向上を食い止めるため、輸出規制を一段と強化している。
その一つとして、1月下旬、わが国とオランダは半導体製造装置の輸出規制に関して米国と合意したと報じられた。半導体などの先端分野において、米国は対中制裁をさらに強化する可能性が高い。
今後、台湾から米国、わが国、その他の国と地域へ、半導体サプライチェーン地殻変動が一段と激化するだろう。米国だけでなく主要先進国半導体などにおける対中規制を追加的に引き締める公算も大きい。それは短期的というよりも、中長期的な世界経済の構造変化と考えたほうがよさそうだ。
https://diamond.jp/articles/-/317265

習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン

【目次】
序に代えて――歴史の分岐点となった第20回党大会
第1章 江沢民の死と白紙革命
第2章 習近平「平和外交」の正体

第3章 コロナ政策転換でも光が見えない「新時代」経済政策

第4章 全人代から始まる新たな粛清
最終章 習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウンのボタン

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習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』

福島香織/著 かや書房 2023年発行

第3章 コロナ政策転換でも光が見えない「新時代」経済政策 より

半導体産業国産化への遠い道のり

米中半導体戦争が新たなステージに入った。

米国はオランダ、日本と共に半導体三国同盟をつくり、中国の半導体産業包囲網を形成。これに対して、中国は1兆元を超える半導体産業支援計画を打ち出している。これは中国の半導体自給自足(国産化)に向けた重要な一歩と位置付けられている。

これは最近の財政出動の中では最大規模で、5年にわたり、国内の半導体生産と研究活動に対し補助金や税金免除などの支援を行う。

この発表を受けて、香港市場の中国半導体関連株が爆上がりした。

この計画では、大部分の財政支援は中国企業が国内の半導体設備を購入するための補助金に充てられる。主に半導体製造工場、ファブの建設費用で、これら企業は建設コストの20%の補助金を得られるという。中国の半導体企業の建設と拡張、および製造、組み立て、パッケージング、研究開発施設のサポートを奨励するのが目的という。また、中国の半導体産業は税収の優遇政策を享受できる。

2022年10月、米国商務省は新たな包括的な法律を可決し、特定の研究実験室や商業データベースセンターが先進的な人工知能半導体を取得することを禁止するとともに、同時にその他制限措置も盛り込んだ。米国はさらに、日本やオランダを含むパートナーに半導体製造のための設備を中国に輸出しないようロビー活動を行った。同年8月には、バイデンはマイルストーンテキ意義のあるチップ法案に署名し、米国の半導体生産と研究に527億ドルを支出し、240億ドル相当の半導体工場の税収を控除した。こうした米国の対中半導体産業圧力に対抗するのは、中国としては半導体産業の国産化の道しかないのだ。

中国のこの新たな計画の受益者は、半導体産業の国有企業と民営企業、特に大型半導体設備企業、ファウンドリだろう。たとえば北方華創科技術集団(NAURA)やKingsemiなどだ。実際、こうした中国半導体製造業の株価は急上昇した。

だが、中国の半導体国産化の道程は、けっして簡単ではないようだ。中国の半導体国産化の道を阻むのは米国以上に、日本が2023年7月から実施する半導体製造設備領域の23品目についての対中禁輸といわれている。

この措置を日本政府は発表した1週間後の5月31日、中国のウェハファブ業界関係者が中国メディアに語ったところでは、多くの業界人が、この日本の禁輸措置に呆然としており、日本製設備に巨大なリスクが潜んでいることを改めて意識したという。

米国の半導体禁輸に対し、業界はすでに新たな工場を建設するときにそのリスク評価に焦点を当ててきたが、日本製品に関して比較的リスク評価をしておらず、むしろ米国製から日本製、韓国製設備に切り替えたり、海外の中古市場で日本製半導体設備を購入する動きに出ていた。中国は、日本がそこまでやるとは想定していなかったのだ。

中国は世界最大の半導体市場であり、日本の半導体産業にとっては最大の輸出市場だ。日本の半導体産業は生産設備と原材料において優勢であり、この分野の毎年の対中輸出額は100億ドルを超えている。

端子やチップの設計と比較して、チップ製造(ファブリケーション)は中国半導体産業の苦手な分野。日本企業中国研究院長の陳言は「今回の規制は日本における半導体領域の最も原核で全面的なものだ。米国の対中エンティティリストなどに基づく輸出規制措置と比べると、日本の措置は業界発展の根本にさらにショックを与えるものだ。なぜなら米国企業はチップ設計と完成品の輸出が主だが、日本企業はチップ製造設備・装置と原材料が得意だからだ」と言う。
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実のところ、日本は半導体分野で輸出管理政策をずっと実施している。日本もワッセナー・アレンジメント(通常兵器の輸出管理に関する協定)のメンバーであり、半導体設備も関連の輸出管理に対応する必要があった。ただ、北京市グローバル弁護士事務所上海パートナーの趙徳銘によれば、上述の設備、装置の大部分はワッセナー・アレンジメントのデュアルユース(軍民両用)アイテムリストにまだ含まれていない。たとえば、多くの薄膜蒸着装置はリストに含まれていない。今回の日本の半導体設備輸出管理政策は、ワッセナー・アレンジメントの枠組みを完全に超えており、中国は明らかな戦略的経済制裁と受け止めた。

日本の制裁が非情なところは、過去に購入した設備装置のメンテナンスなどにも関わる点だった。今回の規制発表前に中国に提供された製造装置設備のアフターサービス、メンテナンスも許可されないということだ。さらには、第三国から調達した中古品も修理に必要な部品が調達できないということになる。

具体的な修理は、日本のメーカーが許可証を申請し、その申請が日本政府の許可を得れば可能だが、それは日本の国際政治上の立場や環境で随時変化すると見られる。

規制の隙間としては、日本はEUと同様、日本国外で生産された製品に対する、厳格な意味での再輸出管理はない。同時に外国企業と個人に対しては、エンドユーザーのブラックリストに従えばいいだけだ。中国企業にしてみれば、日本原産の半導体製品については、客観的にはサプライチェーンから完全に外れているわけではなく、入手ルートが狭まっただけ、という見方がある。重要なのは、輸入後の製造装置のメンテナンスの問題であり、これは当事者の政治的、および経済的な智恵が試されることになる。
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今のところ、この分野で成果を出している中国企業は依然として少数だ。芯源微は国産フォトレジスト塗布装置に注力しており、フロントエンドのフォトレジスト塗布装置はすでに28nm以上のプロセスノードに対応できるものが完成しており、さらに高いプロセスにまで更代(技術更新)していけるという。
中微(AMEC)のエッチング装置は5nmノードにすでに達している。北方華創の事業は、エッチング装置、薄膜堆積装置、熱処理装置、洗浄装置などに及ぶ。2022年の電子プロセス機器の売り上げは121億元、粗利益は37.7%で、前年比4.7ポイント増加した。

一方で、中国の半導体消耗材生産に従事する関係者によれば、日本の輸出管理規制は、国産化の代替プロセスをある程度加速することになるだろうという期待もある。しかし、チップ本体と比較して、設備装置や消耗材の国産化はより困難であり、勝者総取りの業界ルールに従えば、顧客とサプライヤーのビジネス関係はいったんできてしまうと、離れがたい粘着性があり、多くの地元ファブは長年にわたる海外サプライヤーとすでに強固な拘束力のある関係を築いている。

国産サプライヤーへの交代のとき、顧客企業側は利益を上回るリスクを引き受けねばならず、製品は絶えず技術更新していかねばならず、大量の時間と資金を使って試行錯誤を重ね、時にはサプライヤーに研究開発費を提供せねばならないこともある。なので、後発者が追いつくのは困難。一部の国内企業は技術的に顧客の求める基準に達し、日本のサプライチェーンの代替になれるレベルだが、これまでは、予備製品を製造しているか、せいぜい少量の製品を供給するだけで、テスト運転の機会を得ることすら困難だった。

国際半導体産業協会の推計では、2024年に世界のファブ設備機器の支出は920億ドル、前年比21%増という。

上述の関係者によれば、業界の法則では、2024年はファブの拡張サイクルに入り、半導体設備需要が増加するという。外部の輸出管理規制は国産品開発を強制し、これまで国内顧客企業と外国サプライヤーの粘着性、拘束性によってはじき出されていた国産設備メーカーが大工場に製品を納入する機会が、否が応でも拡大する。

この設備装置メーカーの交換プロセス期は、中国のファブとエンドユーザーにとっては1つの陣痛時期であろう。

結果が死産となるか、中国半導体国産化への道が開けるかは、この陣痛時期が何年続くか、そして中国に耐えきれる体力があるかにかかっている。