The Dried up Aral Sea Eco-Disaster
Salton Sea drought
How to make your voice heard on the future of the threatened Salton Sea
Aug 29,2021 Desert Sun
Our best hope of restoring the Salton Sea is to find more water. This will have to mean importing ocean water from the Sea of Cortez and desalinating it, creating a large new supply of freshwater to supplement the drought-stricken Colorado River.
https://www.desertsun.com/story/opinion/contributors/valley-voice/2021/08/29/salton-sea-danger-but-there-hope-how-speak-out/5625321001/
これが世界の終わりの姿なのか…魚臭さが空気を覆い尽くすソルトン湖を行く
2016年8月26日 駱駝通信バックナンバー
ソルトン湖は米国のカリフォルニア州、ロサンゼルスから5時間ほど走った砂漠の真ん中にある塩湖です。
元々標高の低い地点にあり、湖ができたり消えたりを繰り返していたのですが、1905年の洪水で人工的に作った運河が破壊され、砂漠にインペリアル・バレーの灌漑用水が流入し、現在見るような大きな湖が誕生しました。
20年位前までは、ソルトン湖の塩分濃度は現在ほど高くなく、人々が移住してきて街ができましたが、ソルトン湖の塩分濃度が高くなり、魚が住めなくなり、湖が縮小するのに従って、ソルトン湖の周りの街は段々とゴーストタウンになっていき、現在の姿になったのだそう。
https://blog.tirakita.com/2016/08/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%A7%BF%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%81%E3%80%80%E5%87%84%E3%81%BE%E3%81%98%E3%81%84%E9%AD%9A%E8%87%AD.shtml
『人間がいなくなった後の自然』
カル・フリン/著、木高恵子/訳 草思社 2023年発行
第4部:エンドゲーム より
第12章 大洪水と砂漠:アメリカ合衆国、カリフォルニア州、ソルトン湖
ソルトン湖は本当の海ではなく、大洪水の名残りである。1905年、コロラド川が整備不良の灌漑用水路の堤防を決壊さえ、激しい勢いの流れが当時の、雨が降ったときだけ浅い湖ができるソルトン低地に流れ込んだ。そこは蒸気を上げる硫黄泉がいくつかあるだけで、他には何もない裸の土地だった。
コロラド川からあふれた水は、止めることのできない力となり、砂漠の土に深い渓谷を刻んだ。高さ25メートルの滝は、人が歩く速度で低地の底を侵食した。水は、ソルトンの静かな町、この谷の主要産業である塩田、鉄道の引き込み線、トーレスマルティネス砂漠カフイラインディアンの先祖代々の土地45平方キロメートルを、すべてのみ込んだ。水かさは増し、1日に15センチメートルも上昇した。谷はまるで風呂のように満たされた。そして長さ56キロメートル、幅24キロメートルの内海が作り出された。
住民たちは何百人も集まってきて、大水が、先ず田畑を、そして自分たちの家をのみ込んでいくのを見守った。「死者の谷」と呼ばれた地域に水が来たことは、突然でショックではあったが、まったく歓迎されないことではなかった。「このような予期せぬ事態は、当然ながら大きな不便をもたらすが、この洪水は実に有益である」と地元紙は評している。不毛の地が灌漑され、乾燥した空気から解放されるかもしれない。塩の海から灼熱の渓谷を吹き抜ける風は、気候を心地よい穏やかなものに変えてくれるだろう。そしてこの地方を最も魅力的な居住地の1つにしてくれるだろう。
そしてそれは実現した。1950年代には、この偶然にできた海は「ソルトン・リビエラ」(ソルトン海岸)と呼び名を変え、人気リゾートとして開花していた。
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しかし、奇跡は長続きしなかった。鉄砲水が流れ込まなくなると、ソルトン湖は煮詰まってなくなってしまった。海辺の小さなリゾート地ボンベイ・ビーチは、あまりにも頻繁にひどい洪水に見舞われたため、海岸に近い通りはついには放棄され、町の残りの部分には高さ3メートルの防波堤が築かれた。ソルトン湖は縮み始めた。粘土のような重い堆積物が姿を現した。
水の蒸発を遅らせるために農業排水が流されていたのだが、それにはセレンやヒ素やDDTが混じっていたため、乾燥すると、アルカリ性の細かい粉末になった。やがて、砂漠の風にあおられ、地域全体がダスト・ボウル(黄塵地帯)になり、有毒な微粒子が、カリフォルニア州南東部に喘息の危機をもたらそうとした。
これは。カザフスタンおウズベキスタンにまたがる内陸湖であるアラル海を彷彿とさせる深刻な状況である。この内陸湖は、史上最悪の人為的環境破壊として知られている。1960年代、ソ連の大規模な灌漑プロジェクトによって、アラル海に流れ込む川の水を綿花畑に利用するようになると、アラル海の水位はたちまち急降下し始めた。数十年の間に、漁船は岸から何マイルに離れた港で難破したままになった。マッシュルームスープのような色をした粘着性のある干潟はひび割れた平原になった。有害汚染物質を大量に含み砂塵嵐が舞い上がった。核実験、重工業、集約農業の残滓である。今では、海はかつての面積の10パーセントしかなく、濃縮されたシチューのような状態になっている。この荒廃した地域に残った人々の間では、結核やさまざまながんの発生率が異常に高い。最近になって、北部の旧湖岸にダムが建設され、一部回復の兆しが見えてきたが、それはウズベキスタン南部の犠牲の上に成り立っている。ウズベク語の古いことわざがある。「最初は水を飲む、最後は毒を飲む」
それはすでに始まっているのかもしれない
私はホステルもハンモックで横になったが眠られずにいた。暑くて眠れない。頭上の砂漠の空は紫色で、そこを光が貫いていた。汗と星明り、そして不快感で、もうろうとしている間に時間は過ぎていく。
私が考えずにいられないのは。以前読んだ記事の中の、ある何気ないコメントである。ある芸術家が、ソルトン湖を「死と再生のサイクル」と表現していた。私はその時、芸術家が自分の使命を声明として発信する無意味な宣伝文句だと思い、その言葉を受け流していた。しかし、その芸術家の言葉は、ある意味で真実であることがわかった。
ソルトン湖は、数千年の間にコロラド川が沈泥でふさがり、海へ向かうルートから一時的に分流することで、洪水や蒸発を繰り返してきた。その昔はメキシコ国境を越える現在のメヒカリ市を含むほど巨大だった。今回の人為的な大洪水は、したがって、何千年にもわたって繰り返されてきたサイクルの最新版にすぎない。悪臭を放ち、縮小していくソルトン湖は、古代のカウィリャ湖の最新の姿にすぎない。その湖の幻の湖岸線は、いまでも風呂場の湯垢のように丘に残っている。農業排水の栄養分によって悪化したとはいえ、海が蒸発し、沈殿物が白く固まるのは、自然のプロセスの一部である。海は、その前の世代がそうであったように、疲弊して地中に沈んでいく。
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私はソルトン低地の浸水と乾燥をディープタイム(地質学的年代)の経過の隠喩として見ている。気候が温暖化している私たちの地球は、大量絶滅を前にして、死の局面を迎えているのかもしれない。機敏な人、足の速い人、早く順応できる人だけが生き残るだろう。
やがて、この惑星もまた、生命を取り戻すかもしれない。地球上で起きたすべての大規模な絶滅現象は、進化的な創造性の爆発によって引き継がれてきた。これまで取るに足らなかった種が、隕石や気候変動や超巨大火山によって絶滅した種の役割を担うようになり、急速な多様化が進む。世界の種の半分が絶滅しても、その代わりに新しい生物が育つだろう。しかし、それには100万年以上かかるかもしれない。私たちは、個人としては、それを見ることはできない。おそらく種としても、見られないかもしれない。
気候変動による災害は、私たちにとって果てしなく続くと感じられる死の局面への長く不快な転落をもたらすかもしれない。そのリスクを冒すことは無謀であり、故意の自傷行為である。
それなのに、私たちは消極的な行動しか起こさない。この消極性は、私が思うに、拒否から来ているのではなうだろうか。科学を信じる人たちの間でさえも、そのような災害が起こる可能性はないと固く信じられているのである。
しかし、考えてみて欲しい。かつて、古代都市バビロンの市民は、自分たちの城壁は突破不可能であると信じていた。城壁は2つあり、一方がもう一方の城壁の後ろに重なっていた。それぞれの厚さは7メートルあり、全体が深い堀で囲まれていた。クセノポンによると、ペルシャ軍のリーダーであるキュロス2世が到着し、この都市を包囲した。バビロニア人は、20年分の物質を蓄えていたので、彼のことは木に留めなかった。ある夜、バビロンの人々が宴会を開いている間に、キュロス2世は軍隊にユーフラテス川の流れを変えるように命じた。都市を通っていた川は、塹壕に流れ込んだ。そしてペルシャ軍は、乾いた川床を行進して壁の下まで進軍した。バビロニア人が宴会を催している間、敵は自分たちの都市の中で蜂起していた。
この本を書いている間にも、「地球の肺」であるアマゾンの広大な地域を焼く火災が発生し、オーストラリアでは数百万ヘクタールの森林が焼失した。オーストラリアだけでも、火災によって4億トンの炭素が放出されたが、これは同国の年間排出量を上回っている。さらに、大量の煤と二酸化炭素を放出し、地球の反射率を低下させ、熱を封じ込めている。
アメリカでは、米国海洋大気庁によると、世界の永久凍土が融解することによって、毎年3億トンから6億トンの二酸化炭素が排出されると考えられている。このような要因こそ、私たちが最もおそれなければならないものである。これこそが気候の下降を封じる悪循環であるからだ。それはすでに始まっているのかもしれない。敵はすでに壁の中にいるかもしれない。私たちは戦うのに十分な信念を見つけなければならない。そうしなければ「ひとときの間に裁かれる」ことになるかもしれない。