じじぃの「半導体・自動車産業・EV化で日本は勝てるのか?報道1930」

中国躍進加速するEVシフト 日本勢は「かつてのビッグスリーに」【5月23日(火) 報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hu9HchUIQ0A

もうすぐ発売! BYD 「ATTO3」


BYD ATTO 3新型EV試乗記-世界が驚愕する衝撃のコストパフォーマンス

2023-02-09 CAR-TOPICS
●BYDはEV販売台数世界一となった中国発メーカー
BYDは、中国の自動車メーカーだ。BEVやPHEVなどの販売では、中国で9年連続1位を遂げており、70を超える国で販売している。2023年には満を持して日本にも進出した。
BYDのルーツは、BEVの基幹部品でもあるバッテリーにある。
BYDは1995年にバッテリーメーカーとして創業し、2003年に自動車産業に参入した。現在のEV販売台数は、テスラを抜き世界トップとなっているほどで、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの自動車メーカーだ。
そんなBYDが、2023年1月31日に新型BEV(バッテリー電気自動車)であるATTO3の発売を開始した。

高く評価したいのは、インテリアの質感だ。
BYD ATTO3の価格は4,400,000円と、かなりリーズナブル。中国製で安価と聞くと、なぜか「安かろう悪かろう」というイメージが頭をよぎる。
これは、ATTO3には当てはまらない。インテリアの質感は、同じ400万円台の国産BEVと比べると、圧倒的にATTO3が優れている。装備も機能も同様だ。

ATTO3に乗り、アクセルをゆっくりと踏み込むと、スルスルと何の違和感もなく走り出す。204ps&310Nmの出力で、車重は1,750kgなので、それほど速くはないが十分な加速力と言える。BEVらしく、アクセルレスポンスは抜群で運転していて気持ちがよい。ただ、加速時にキーンというインバーターの音がやや耳障りだった。
https://221616.com/car-topics/byd-atto3-sijyouki/

報道1930

2023年5月23日 BS-TBS
【キャスター】出水麻衣、松原耕二 【コメンテーター】堤伸輔 【ゲスト】志賀俊之(INCJ代表取締役兼CEO、元日産自動車COO)、中西孝樹(ナカニ自動車産業リサーチ代表アナリスト)、加谷珪一(経済評論家)

EV化雪崩打つ世界で存在感失う日本の危機、自動車産業は沈むのか

世界最大の自動車市場である中国で電気自動車(EV)の販売競争が激化している。
今年、中国の新車販売の3台に1台はEVをはじめとするエコカーが占めると予想される中、中国国内メーカーとグローバルメーカーは先を争って新しいEVモデルを発売している。

昨年の中国EV市場で、出荷台数基準でシェア上位5社のうち4社が中国のメーカーだった。1位は比亜迪(BYD)で出荷台数が91万1千台だった。唯一の外国メーカーは2位に上がったテスラ(71万台)だった。

自動車販売におけるEVの比率がダントツに高い「EV普及先進国」のノルウェーで、EV販売シェアの上昇が加速している。

●中国・習主席 EVは「自動車強国への道」
中国は2009年にEVシフト推進を打ち出す。
2020年まで補助金が出ていた。
去年、国の補助金政策終了も一部自治体は継続。

習主席はEVで世界の覇権を目指すと発言。

●世界で加速 EVシフト「出遅れた日本車」
先週末、自動車雑誌が開催したイベントに10万人もの人が足を運んだ。
注目を集めたのはEV。
400万円台の乗用車から1800万円を超えるスポーツカーまで15台が展示。

BYDのEV「ATTO3」に試乗した男性ドライバー、「乗った途端に絶対に普及すると思った。次に乗る車と考えている」

●「かつてのビッグ3になる」日本への警鐘
“日本の自動車メーカーはEVシフトに抵抗してきた”と話すのは、米国のカーネギー国際倫理評議会で日本経済を研究するリチャードカッツ。
「燃費の良い日本車の台頭に米国の自動車メーカー“ビッグスリー”は“これは一瞬の出来事で長続きしない”と思い込んだ、成功しすぎた企業は変化に気付かない、日本メーカーもかつての“ビッグスリー”になる可能性がある」と語る。

中西孝樹、「アップルはスマートフォンでずっと世界シェアを独占している。スマートフォンのソフトも素晴らしいが、それを支えているのはハードウェアだ。EVでも同じことが言える」

●加速するEVシフト 雇用を守るには
ガソリンエンジン車は、平均部品数10万点。
EVは、平均部品数1万点 → 10分の1に。
自動車関連就業人口552万人。
ドイツの自動車部品大手「ボッシュ」は、世界各地にいる社員約49万人を再教育。

志賀俊之、「日本車をリードするトヨタが脱炭素へ全方位(ハイブリッド車プラグインハイブリッド車燃料電池車、バッテリーEV、水素)戦略を立てたが、海外のEVメーカーに遅れをとってしまう。まずはEVでも世界を制覇するつもりで集中したほうがよい。蒸気船の登場で帆船メーカーが一気に消滅した。私たちは車において同様のパターンの進行を目の当たりにしているのだ」

●新しいEVスタイル“バッテリー交換”
中国国内シェア9位のEVメーカー「NIO」が設置するバッテリー交換所は、今月15日時点約1400ヵ所 → さらに今年中に1000ヵ所増設予定。

加谷珪一、「バッテリー交換式はバッテリーシェアリングのようなもの」
https://bs.tbs.co.jp/houdou1930/

日本経済新聞』 2023年5月22日発行

世界の製造業「地産地消」へ 経済安保最優先の行く末 【執筆者】太田泰彦(編集委員) より

主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)に合わせて、米インテルや韓国サムスン電子など世界の半導体メーカーのトップが首相官邸にそろい踏みした。

招いた岸田文雄首相には日本に直接投資を増やしてもらう期待がある。経営者には日本政府が補助金を出してくれる期待がある。

同床異夢と呼ぶべきだろうか。これが5年前なら、そうだったかもしれない。だが米中の対立が後戻りできない地点を越え、経済の安全保障が何よりも優先されるようになった。

国家は製造業を囲い込み、企業は国家の保護を求める。いまでは両者の利害は完全に一致している。

日本政府は法律を改正してまで、税金を惜しみなく台湾積体電路製造(TSMC)や米マイクロン・テクノロジーなどの外国企業に注ぎ込んだ。日本の国境の内側で「ものづくり」をさせるためだ。どこの国の企業かは問題ではない。

米国では昨年8月にインフレ抑制法(IRA)が成立した。看板とは裏腹にこの法律には輸入品の価格をつり上げる仕掛けがある。

北米で生産される電気自動車(EV)にだけ補助金を出すため、差別された輸入車は太刀打ちできない。米国で売りたければ米国に来い、という国家戦略だ。

韓国の現代自動車は3月に米アラバマ州でEV生産を始めたが、電池が中国製との理由で補助の対象から外れた。電池も自前で現地生産するほかなく現代自は2億ドル(約270億円)以上をを追加投資し、同州に新工場を建設すると決めた。

完成車の組み立て生産を待ってから補助金の方針を示すのは、あと出しジャンケンというものだ。ドイツのフォルクスワーゲンメルセデス・ベンツも悩みは同様。米国で慌ただしく電池を作り始めている。

欧州連合EU)にも似たからくりがある。3年後に施行する国境炭素調整措置(CBAM)は、環境規制が緩い国からの輸入品に課徴金を義務づける。こちらも看板は脱炭素だが、外国企業にEUでの生産を強いる産業政策である。

こうして世界のあちこちで国境の壁が高くなり、自由貿易の理念が薄れていく。関税を下げる世界貿易機関WTO)の規制違反ギリギリだが、何しろインフレを退治し、地球を守るためだ。

誰も文句を言えない正義の名の下で、企業が次々と腹をくくり始めている。懐にさえ飛び込めば、大国に擁護されて生き残ることができるからだ。世界の半導体の重鎮が東京に異例の集結をしたのは、市場競争から政府依存へと価値観が転じた証左だろう。

世界の製造業は、これから「地産地消」に向かうのかもしれない。少なくとも半導体やEVの電池などの戦略物資では、輸出から現地生産への流れは変わりそうもない。20世紀からのグローバル化の波で世界に展開していたサプライチェーンは、いま猛烈な勢いで巻き戻されている。

これから日本は何を輸出する国になるのだろう。優れた自動車、機械、鉄鋼を国内で生産し、世界の市場で売って稼ぐ。その繁栄の経済モデルが崩れようとしている。日本の本質的な価値への問いである。