じじぃの「深海魚・アブラソコムツ・食べられない魚なの?化学トリック」

回転寿司で話題の深海魚『アブラボウズ』 アブラソコムツとの混同は厳禁

2021年3月26日  TSURINEWS
有名回転寿司店のキャンペーン商品で話題となっている深海魚「アブラボウズ」。名前が似ているけど「絶対に混同してはいけない」別の深海魚がいます。
●「アブラソコムツ」との混同に注意
さて、このアブラソコムツ同様に1000m前後の深海に生息し、大きく成長する深海魚で「アブラソコムツ」という魚がいます。こちらもアブラボウズ同様に体脂肪率が非常に高く、海外では「オイルフィッシュ」「ホワイトツナ」と呼ばれています。
釣り人でこの魚を好んで食べる人もおり、彼らはこの魚もまた「全身大トロ」と表現しがちですが、しかしながら彼らを同様に扱うことは、実は決してやってはいけません。
アブラボウズの脂肪の大半は「トリグリセリド」であるのに対し、アブラソコムツの脂肪の大部分は「ワックスエステル」というもので、脂質として全く異なるものです。トリグリセリドはいわゆる「中性脂肪」の一種で、我々ヒトが消化可能であるのに対し、ワックスエステルは多くの人が消化することができません。
https://tsurinews.jp/154147/

『化学トリック=だまされまいぞ! 化学推理クイズ』

山崎昶/著 ブルーバックス 2008年発行

トリック27 捨てられる魚 より

ワイ君が休暇をもらって、友人に誘われて宮城県の漁港に出かけた。遠洋漁業の基地とあって、シーズンになればサンマなどの漁で大にぎわいとなるのだが、たまたまシーズンオフだったこともあって、港は比較的静かであった。ここを根拠にしている船は北海道沖に出かけているので、港にいるのはほんとうの近海ものだけで獲っている船だという。

いくら冷凍技術が進歩したといったも輸送すると鮮度がすぐに落ちてしまうため、ここでしか食べられないというマンボウのような珍しい魚の刺身だの、網では穫れず、釣り上げてすぐに煮ないと味ががた落ちになるという小魚の煮物などをごちそうになって大いに満足した帰り道。船から水揚げしたばかりの大きな魚が何尾も廃棄用のコンテナに捨てられているのに出くわした。

「あれ、みんな捨ててしまうのかい?」
「うん。そうだよ」
「あんな立派な魚なら、食べられるところがいっぱいあるだろう?」
「いやあ、ぜんぜん食べられないのさ」
「どうしてさ。毒でもあるの? でも毒のある魚って、日本近海じゃフグぐらいぐらいしかいないだろ。あれはどう見てもフグじゃないよね」
「うん、毒があるというわけではないんだけどね」

どうして有毒でもないのに立派な魚が廃棄されなくてはならないだろう?

【解決編】毒がないのに食べられないアブラソコムツ

「毒がないのに食べられない魚」というのは不思議ですが、じつは何種類か日本近海に生息しています。そのなかでももっとも有名なのは「アブラソコムツ」というかなり大きな魚で、体重は20キロほどもありなす。英語では「エスコラー(Escolar)」というらしいのですが、この魚は体内に脂質ではなくて蝋(ろう)質を大量に含んでいるのです。
水に溶けやすいグリセリンエステルの「ロウ」なのですから、ヒトの消化器官にはこれを加水分解して栄養にできる酵素がないのです。

第二次大戦後のモノのなかった折に、捨てるぐらいならというわけでこのアブラソコムツを食べてみた人野経験談を、ずいぶん前に新聞では意見したことがありますが、「尻の穴まで油でギトギトになって、長いこと腹具合が元に戻らなかった」と書いてありました。たくさん獲れるならマッコウクジラの代用として油脂資源となり、シー・シェパードグリーンピース連の主張するように「クジラを護る」結果になるかもしれませんが、いまのところそれほどの漁獲量もないようです。ただ、海釣りのエキスパートになると、強い引きがあるために挑戦しがいがあるということで、食べられないのに釣りの対象としてはずいぶん珍重はされているようです。

「脂身が不足ぎみの質の悪いマグロの肉に添加している」というデマが流れたことがありますが。わざわざそんな手間をかけたらかえって高値につくはずで、しかも食品衛生法のために彼らに手が回るようなことをする面々がいるとは、どこかの変な国ならともかく、ちょっと考えにくいところです。

ただ、せっかく漁獲したのに廃棄されているというのは、いかにももったいないことです。ひょっとしたらこれもエヌ氏が新しい利用法のアイデアを考えるタネになるかもしれませんね。

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どうでもいい、じじぃの日記。

『化学トリック=だまされまいぞ! 化学推理クイズ』という本に、「毒がないのに食べられないアブラソコムツ」が書かれていた。

「ムツ」といえば、脂のりの良さで人気の高い高級魚だ。
ところが、同じスズキ目の魚で「アブラソコムツ」は嫌われものだとか。

「この魚は体内に脂質ではなくて蝋(ろう)質を大量に含んでいるのです。水に溶けやすいグリセリンエステルの「ロウ」なのですから、ヒトの消化器官にはこれを加水分解して栄養にできる酵素がないのです」

蝋質とはローソク味ということなのだろうか。
これじゃ、食べる気になりませんね。

まあこの魚、同じムツといっても、人間に食べられるように進化したわけじゃないみたいだ。

ついでに、
ネットで、「深海魚 回転寿司」をキーに検索してみた。
沼津港 深海魚水族館の目の前にある回転寿司「活けいけ丸」。
朝獲れの地魚や深海魚が楽しめるお店です。
金目鯛のお刺身 680円。
https://fi-lo.jp/?p=8811

金目鯛って、深海魚なんだ。