Human Clones in Near Future? | First Monkey Clones Created in Chinese Laboratory Raise Concerns
Chinese scientists clone monkeys
Chinese scientists clone monkeys, break barrier to human cloning
Jan. 25, 2018
Monkey clones "Zhong Zhong", left, and "Hua Hua" at a research institution in Suzhou in China's Jiangsu province.
Scientists in China have created the first monkeys cloned by the same process that produced Dolly the sheep more than 20 years ago, a breakthrough that could boost medical research into human diseases.
https://www.nbcnews.com/news/world/chinese-scientists-clone-monkeys-break-barrier-human-cloning-n840736
シーズン2・山中伸弥スペシャル・iPS細胞と私たち!ヒューマニエンスQ
2023年1月16日 NHK
【司会】織田裕二、井上あさひ 【出演】いとうせいこう 【解説】山中伸弥(京大教授)
山中伸弥スペシャル第2弾。iPS細胞は、ヒト独自の遺伝子の働きを解明しつつある。突きつけられるのは、私たち人間とは何なのか。新技術がもたらす生命倫理の課題とは?
iPS細胞は、人間を探究する唯一無二のツールであることがわかってきた。ヒトにはヒト遺伝子の特殊性がある。マウスなどの動物実験とは違う独自のふるまいがiPS細胞でわかってきたのだ。
さらにこの驚異的技術は、新たな生命の誕生すら可能にする方法も示している。一体どこまで許されるのか、生命倫理という課題も浮かび上がる。iPS細胞が突きつけるのは「私たち人間とは何なのか」という問い。山中伸弥さんと共に考える。
マウスで作れても人間では作れないことがある。
人間とは何か、と問いかける必要がある。
皮膚の細胞に4つの細胞を入れる → iPS細胞に。
万能細胞から iPS細胞になるのは受精から数日後である。
実はiPS細胞から受精卵に戻る技術はまだ確立していない。
京都大学の斎藤通紀教授は、マウスES細胞やiPS細胞から、精子・卵子に貢献する始原生殖細胞様細胞の試験管内誘導に成功した。
始原生殖細胞・・・生殖細胞のもとになる細胞。メスでは卵子に分化し、オスでは精子に分化する
マウス→iPS細胞→始原生殖細胞→受精→マウスの誕生。
健康そのものだ。
人間に置き換えてみたらどうだ
iPS細胞から人間ができてしまうのだ。
山中伸弥、「現在、ヒトiPS細胞から生殖細胞を作成する研究が行われている。人間に対しては倫理的課題が生じる。どこかの国がこっそりと人間を作ってしまう可能性がある」
https://www.nhk.jp/p/ts/26ZY61Z6J6/episode/te/LNPZ7YYG2G/
いま世界の哲学者が考えていること
岡本裕一朗(著)
【目次】
序章 現代の哲学は何を問題にしているのか
第1章 世界の哲学者は今、何を考えているのか
第2章 IT革命は人類に何をもたらすのか
第3章 バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか
第4章 資本主義は21世紀でも通用するのか
第5章 人類が宗教を捨てることはありえないのか
第6章 人類は地球を守らなくてはいけないのか
第7章 リベラル・デモクラシーは終わるのか
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『いま世界の哲学者が考えていること』
岡本裕一朗/著 朝日新聞出版 2023年発行
一卵性双生児とクローンは何が違うのか
クローン羊「ドリー」誕生のニュースの後、クローン人間禁止が世界中で叫ばれました。そうしたなかで、アラバマ大学の生命倫理学学者G・E・ペンスは、『誰が人間のクローニングを恐れるか』(1998年)を発表し、クローン人間擁護論を展開しました。彼がクローン人間を擁護する論拠はどこにあるのでしょうか。それを確認するために、ペンスによる『すばらしき新生命倫理学』(2002年)を取り上げることにしましょう。
その書に収められた論稿「どうかクローン人間を処罰しないでください!」において、ペンスは、過去のものとなった偏見と闘うのは簡単なのに対して、「現在の偏見と闘うのは容易なことではない」と強調しています。じっさい、過去の偏見として、人種差別や女性差別を考えてみれば、それらを現時点で批判するのはそれほど難しいことではありません。
それでは、「クローン人間を禁止する」という現代の態度はどうでしょうか。ペンスによれば、まさにこの態度こそ偏見に他ならないのです。それにもかかわらず、多くの人はこれを偏見だと気づいていません。
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この状況を理解するには、1970年代の試験管ベビー誕生の頃を想起するのが役立つかもしれません。30年前では、たいていの人が試験管ベビーを恐れていたのですが、現在では、試験管ベビーはごく普通の出産方法となっています。
じっさい日本でも、試験管ベビーで生まれる割合は増えていて、現在は30人に1人の割合で試験管ベビーだと言われています。そのため、今では「試験管ベビー」という表現さえなくなっているのです。これと同様に、クローン技術によって多くの子どもが生まれるようになれば、そのうちクローン人間というような表現になくなるに違いありません。
クローン人間の哲学
そこで、クローン人間に対して、積極的に禁止する論拠を探ってみたいと思います。
ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバマスは、「体細胞クローン羊」のニュースが伝わるとすぐさま、『ツァイト』誌にクローン人間にかんする論稿を発表しました。
その後、2001年には『人間の将来とバイオエシックス』を公刊し、人間に対する遺伝子操作や優生学的プログラミングに対して、規制すべきことを強く主張しています。
ここでは、2つの議論を参考にしつつ、クローン人間の是非について考えてみましょう。
ハーバマスによれば、「クローン人間を作製してもよいか?」という問題は、生物学的に決定できるわけではありません。それはむしろ、「規範的な観点」にもとづいて議論しなくてはならない、とハーバマスは言います。そのとき、彼が想定しているのは、「すべての市民の同等な自律に対する相互的な尊敬と結びついた、平等主義的法秩序の原則」です。
しかし、この原則から考えたとき、クローン人間のいったい何が問題なのでしょうか。ハーバマスは、クローン人間の特徴を、次のように規定しています。
遺伝内容を意図的に決定することが意味するのは、クローンにとって、その誕生以前に他の人がそれに対して定めた判断を、生涯にわたって恒常化させつづけることである。
しかし、通常の親子関係と比べたとき、クローンの場合はそれほど違うのでしょうか。受け継いだ遺伝情報が、生涯にわたって影響しつづけることは、通常の親子でもクローン人間と変わらないように見えます。また、クローン人間として生まれたとしても、成長するにつれて親から自立し、独自の人生を歩むはずです。クローン人間は、決して奴隷ではありません。とすれば、クローン人間のどこが問題なのでしょうか。
クローン人間にとって、「誕生の所与性(与えられていること)は、いかなる偶然的状況でもなく、むしろ意図的な行為の結果である。他の人にとっては偶然な出来事であるものを、クローンは他人に責を帰するのである。利用不可能な領域への、意図的な介入の帰責可能性が、道徳的・法的に重要な区別を作り出すのである。