じじぃの「科学夜話・クリスパー・マンモスは甦らせられるか?絶滅動物」

Frankenstein Official Trailer #1 - Boris Karloff Movie (1931) HD

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AkSbwiKP3mo

寒さに耐えるシベリアのトロゴンテリーゾウ


積み重なる技術的な課題:マンモス復活計画が始動 気候変動対策の切り札?

2021/10/9 日経ナショナル ジオグラフィック社
コロッサルの最終目的は、十分な数のカギとなる遺伝子を操作して、マンモスのように北極圏の寒さに適応する「代用」種のゾウをアジアゾウから作ることだ。

また、マンモスの遺伝子をアジアゾウのDNAに挿入するときには、多くの遺伝子を一度に改変する必要がある。この点に関してチャーチ氏の研究室では、別の動物を使って研究を重ねてきた。これまでに、ブタの臓器を人間への移植に利用するため、「クリスパー・キャス9(CRISPER-Cas9)」と呼ばれる遺伝子編集技術を使って、ブタのゲノムを数十ヵ所1度に改変することに成功している。

古代のマンモスに関する研究では、マンモスにもゾウとよく似た社会的特徴があったことが示されている。では、初めて誕生するマンモスとゾウのハイブリッドは、どのように扱い、交流させればよいのだろうか。将来形成されるであろうハイブリッドの群れは、北極圏でどのようにして生きることを学び、マンモスのような自分たちの文化を一から作れるというのだろうか。
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOUC2167U0R20C21A9000000?page=3

『絶滅動物は甦らせるべきか?』

ブリット・レイ/著、高取芳彦/訳 双葉社 2020年発行

第1章 ディ・エクスティンクションの方法 より

いにしえの琥珀の奥深くに

ジュラシック・パーク』はとても魅力的な物語だが、小説にしろ映画にしろ、科学に影響を及ぼすことはなかった。現実はどうかといえば、見方によってずっと恐ろしくもなれば、ずっとつまらなくもなる。恐ろしく感じる理由は、ディ・エクスティンクション(絶滅した動物の復活)が可能になりそうなことだ。そうなれば、再生させる動物の福祉や、再生種の導入先となる貴重な自然環境に対する責任を全面的に人類が背負うことになる。つまらなく感じる理由は、結局のところすべて計画どおりに進み、意外性に欠けるかもしれないからだ。

クリスパーの危険な利用を防ぐ

クリスパーによって、安く簡便なゲノム設計と、精密医療と、遺伝子救済が可能な新時代が訪れる一方、この技術が好ましくない使われ方をするのではないかと懸念する声も大きい。ダビデ像のような筋肉と最高の知性を兼ね備え、トップアスリートに育つような「デザイナーベビー」が生み出されるという不安は大きく、それを理由にクリスパーの規制を主張する人も多い。我が子の背丈を選べるとしたら、高身長と低身長、どちらがお好みだろうか。
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きょう、私がこの文章を書いているあいだ、遺伝学者ジョージ・チャーチ博士の研究所の科学者たちはクリスパーを使って古代のケナガマンモスのDNAを編集し、現在種のゾウの細胞に注入している。ヒト細胞におけるクリスパーの用途は多岐にわたるが、それらを禁止すべくかどうか議論しているうちに、分子はさみはチャーチのような研究者たちに研ぎ澄まされ、さらに幅広い用途に使えるようになっているのだ。科学者たちは、クリスパーを使って人間の細胞内で遺伝子を移動させたり、絶滅種から現存種の細胞に遺伝子を移し替えたりする技術を高めている。今後、道徳的に受け入れにくいと考える人がいるような実験への応用にも、さらに習熟していくかもしれない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
1月16日、NHK 山中伸弥スペシャル 「iPS細胞と私たち!ヒューマニエンスQ」を観た。
こんなことを言っていた。
  万能細胞から iPS細胞になるのは受精から数日後である。
  実はiPS細胞から受精卵に戻る技術はまだ確立していない。

  京都大学の斎藤通紀教授は、マウスES細胞やiPS細胞から、精子卵子に貢献する始原生殖細胞様細胞の試験管内誘導に成功した。
  始原生殖細胞・・・生殖細胞のもとになる細胞。メスでは卵子に分化し、オスでは精子に分化する
  マウス→iPS細胞→始原生殖細胞→受精→マウスの誕生。
  健康そのものだ。
  人間に置き換えてみたらどうだ。
  iPS細胞から人間ができてしまうのだ。
  山中伸弥、「現在、ヒトiPS細胞から生殖細胞を作成する研究が行われている。人間に対しては倫理的課題が生じる。どこかの国がこっそりと人間を作ってしまう可能性がある」
   
人間の皮膚などから、精子卵子を作り受精させ子どもを作るのは、もはや時間の問題なのだそうだ。

ノーベル文学賞を受賞者の日系英国人作家・カズオ・イシグロの作品『わたしを離さないで』を思い出してしまった。
こんな内容だ。
  クローン人間が主人公である。クローンとして生まれたキャシーとトミーの運命は、若く健康なまま臓器提供することであり、それは彼らの死を意味する。しかし彼らはなぜか、その運命を受け入れているように見える。逃げもせず、集団で造反もしない。彼らは、自分の運命(人工的に生まれたという負い目)を受け入れてしまっているのだ。

絶滅動物は甦らせるべきか?

きちんと研究のプロセスと結果を報告することが大前提だが、こっそりと人間を作ってしまう国があるらしい。