がん治療への挑戦:CAR-T細胞療法
CAR-T療法(T細胞療法)とは?
疲弊したCAR-T細胞を若返らせ、強い抗腫瘍効果をもつCAR-T細胞の作製に成功 安藤眞、吉村昭彦(微生物学免疫学教室)
KOMPAS
●CAR-T療法とは?
免疫細胞、特にT細胞はウイルスや細菌だけでなく、がん細胞を体内から排除するのに極めて重要な細胞です。
近年、がん患者さんからT細胞を分離しがん細胞を攻撃できるように遺伝子を導入したT細胞(CAR-T)を、再び患者さんの体内に戻すCAR-T療法が次世代のがん免疫療法として注目されています。しかしながら、T細胞は体内や試験管内で何度も刺激を受けることによって疲弊状態へと陥ってしまい、増殖しにくくなり、腫瘍細胞を殺傷する機能も低下します。
実際にCAR-T療法やチェックポイント阻害療法(注1)などのがん免疫療法の効果が高い患者さんでは疲弊T細胞(注2)が少なく、若いメモリー(記憶)T細胞であるステムセルメモリー(注3)が多いことが知られています。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/202201.html
第4章 医療・介護技術は、ここまで進歩する――医療技術はどこまで進歩するか より
2050年までに、ガンが克服される
将来、技術がどのように進歩するかは、社会全体にも、われわれの生活にも、大きな影響を与える。中でも医療に関する技術は、われわれの命に直接関係するので、誰もが強い関心をもっているだろう。
では、将来の医療技術はどこまで進歩するだろうか? 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のウェブサイトで、2050年の医療技術について、つぎのような予測がなされている。「こんなことが、いますぐできれば……」と思うようなものばかりだ。
・ガンが克服される。
・バイオニックアイによって、視覚障害者はいなくなる。
・遺伝子編集工学によって、新しい人類を造ることも可能になる(ただし、人間を変えるような利用がなされるのではなく、疾病の治療に用いられるのが望ましい)。
・精神医療剤が、抗生物質と同じくらい効くようになる。
・人間とAIの融合が可能となる。
・人工内臓が開発されるので、人間が臓器提供する必要がなくなる。
・失った歯が再生可能になる。
・「ナノマシン」を用いて、治療する。
・エイズが根絶される。
・スマートウオッチ(CPUが内臓された腕時計に似た電子機器)で、診断が可能になる。
・完全なサイバネティック四肢(自動制御の技術を応用して、あたかも自分の手足のように使える義肢)ができる。
・肥満を治療する飲み薬が開発される。
「ゲノム編集」でアルツハイマー病に対処
未来の医療技術の第1の柱は「ナノマシン」、第2の柱は「多能性幹細胞」、第3の柱は「ゲノム編集」(Gene editing)だ。
2012年に重要な発見がなされた。それまでの「遺伝子組み換え」ではなく、遺伝子を「編集する」という新しい技術が開発されたのだ。
これによって、ゲノム編集が可能となった。これは、生物が持つゲノムDNA上の特定の塩基配列を狙って変化させる技術だ(「ゲノム:genome」とは、生物の持つ遺伝子geneの全体。これはDNAという物質で構成されている)。ゲノム編集技術の基礎研究を行なった科学者2人は、2020年にノーベル化学賞を受賞した。
「遺伝子組み換え」とは、別の生物から取り出した遺伝子を導入することにより、細胞に新たな形質をつけ加える技術だった。
それに対して「ゲノム編集」では、遺伝子を切ったりつなげたりする。狙った性質の遺伝子だけを編集することができるため、優れた特徴を持つ品種に新たな性質をピンポイントで追加できるようになった。
「遺伝子組み換え」では、外来の遺伝子を細胞に導入して新しい形質をつけ加えるのだが、「ゲノム編集」では、細胞が元々持っている性質を細胞内部で変化させる。今後数十年の間に、この技術を用いたさまざまな医療の開発が期待されている。
遺伝性疾患を、根本的に遺伝子から治すための遺伝子治療法への応用がある。血液ガンを対象とした「CAR-T療法(T細胞療法)」という治療法が、日本でも保険適用となった。白血病をはじめとする各種ガンの新規治療法にも期待が高まっている。
ゲノム編集を用いた治験は、アメリカや中国で多数行なわれている。いくつかの遺伝性疾患にたいしても始まっている。そのほとんどが、ガンや感染症に対するものだ。
今後は、視力や聴力を失った人、アルツハイマー病、パーキンソン病の治療も可能になるのではないかと期待されている。
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どうでもいい、じじぃの日記。
T細胞(T cell, T lymphocyte)とは、リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞が胸腺での選択を経て分化成熟したもの。細胞表面に特徴的なT細胞受容体(T cell receptor;TCR)を有している。末梢血中のリンパ球の70~80%を占める。名前の「T」は胸腺を意味するThymusに由来する。
ウィキペディア(Wikipedia) より
CAR-T細胞療法は、2019年に承認された血液がんの最新治療です。血液がんには、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあります。抗がん剤、放射線などの標準的な治療が行われますが、こうした治療に効果がなかった場合や再発した場合に、CAR-T細胞療法が行われることがあります。
NHK 健康 「血液がんの最新治療 CAR-T細胞療法とは? 2023年1月12日」 より
CAR-T細胞療法は、通常の免疫機能だけでは完全に死滅させることが難しい難治性のがんに対する治療法として開発された。
患者さん自身のT細胞を取り出し、遺伝子医療の技術を用いてCAR(キメラ抗原受容体)と呼ばれる特殊なたんぱく質を作り出すことができるよう、T細胞を改変します。
CAR-T療法(T細胞療法)は「血液がん」のための最新治療です。
CAR-T療法は「がん免疫遺伝子治療」とも呼ばれ、2019年に白血病や悪性リンパ腫に保険適用が承認された。