じじぃの「科学・地球_514_移民の世界ハンドブック・米国へ向かう移民・カリブ海地域」

Top 10 Largest Caribbean Diaspora Around The World and How They Are Doing

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4MVZSxPbDSA


ドミニカ共和国:国際情勢から見える内情

2021年5月6日 GNV
ドミニカ共和国とハイチのあるイスパニョーラ島の面積は76,192平方キロメートルで、最長部分で約650キロメートル、幅241キロメートルほどである。ドミニカ共和国の領土はこの島の約3分の2を占めており、人口は1,060万人である。
https://globalnewsview.org/archives/14687

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

新世界――移住の地 より

中央アメリカ、メキシコ、カリブ海地域、アメリカ合衆国へ向かう移民

域内の統合のために結ばれた数々の条約(NAFTAアンデス共同体、中米共同市場、メルコスール)があるにもかかわらず、アメリカとメキシコの国境は、もっとも管理されていると同時に、もっとも多くの人々が通過する国境となっている。ラテンアメリカ住民の43パーセントは、貧困線以下で生活し、9500万人は極貧状態にある。現在、メキシコからアメリカ合衆国への移住者は1200万人を数える(アメリカにいる移民の28パーセント)。しかしメキシコもアメリカの圧力により、非正規移民に対してより抑圧的な移民政策を進めている。

カリブ海地域

15の独立国からなるカリブ海地域は、移出者の割合がきわめて高い。カリブ海地域内(ドミニカ共和国フランス領アンティル、イギリス領西インド諸島ベネズエラ)、あるいはカリブ海地域外(北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ)に移住している。大きな政治危機にみまわれたこの地域は、プランテーションによる経済を急激に転換しなければならなかった。キューバソ連と外交関係を結んだ1960年代以降、100万人以上のキューバ人がアメリカ合衆国に亡命した。キューバ政府が出国を認めてからは、アメリカに渡るために中央アメリカに移住してくる人々が急増した。ハイチ人は世界中に200万人いるとみられている。慢性的な政治危機と経済危機、さらには2010年のハイチ地震のような大震災によって、ハイチの人々は域内だけでなく、ドミニカ共和国、カナダ、アメリカ、ヨーロッパ(フランス語話者であることからとくにフランス)に移住している。

中央アメリ

中央アメリカでは、2011年夏の大洪水がおよそ10ヵ国に影響をおよぼし、20年に1度の深刻な環境機器と社会危機をひき起こした。経済移民や環境難民となった中央アメリカの人々(ホンジュラス人、グアテマラ人、エルサルバドル人)は、不法にメキシコを通過してアメリカに向かうが、組織犯罪集団による身代金めあての誘拐という危機にさらされている。麻薬密売人たちがそうした行為をおこなっていることもある。堕落した警察官に金品をまきあげられたことさえある。
中央アメリカの移民は、非正規の安価な労働力となっていて、麻薬密売によって渡航料を調達することもある。
移民たちがメキシコ銃弾に利用する「ラ・ベスティア(野獣)」と呼ばれる貨物列車は、あらゆる危険をはらんでいる。列車から転落したり、日射病にかかったり、金銭を強要されたり、密輸取引にまきこまれたりすることもあるからだ。結局、本国に送還されてしまう者も大勢いる。自国政府の腐敗を訴えてアメリカやカナダに庇護申請をしようとする者もいるが、認定を得られないことが多い。メキシコに庇護申請する者もいる。

メキシコ

こうしてメキシコは移民受け入れ国になり、中央アメリカやアフリカからの移民が集まる世界的な中心地であり、アメリカへ移民を送り出している国のトップであり、海外送金(レメサス)も世界第1位で、石油に次ぐ第2の資源となっている。2019年には世界に1200万人のメキシコ人移民がいた。アメリカへの移民は減少しているが、アメリカに住むメキシコ移民から本国への送金は、2017年時点で300億ドルだった。メキシコとアメリカとの3000キロメートルの国境線の3分の1に相当する区間(1120キロメートル)に、120億ドルかけて建てられた、いわゆる「屈辱の壁」も、約40万人のメキシコ人を思いとどまらせることはなかった。さらに毎年10万人もの中央アメリカ出身者たちが、国境を越えようと試みる。今日では移民にふくまれているインディオたちも、まずメキシコの農村から出稼ぎ労働者として出ていき、それから国境を越えた熱心な活動(団体、企業)が、アメリカに住む移民を、レメサスに頼っている出身国に結びつけている。
そのいっぽうで、一部のラテンアメリカ諸国は、海外で暮らす移出民に、国政選挙への参政権をあたえている(メキシコ、ベネズエラなど)。メキシコ人は、選挙のために本国にもどらなければならない。それがアメリカにいる非正規滞在者を選挙から締め出すことにもなっている。海外移住者の参政権ボリビアでも認められている。ドナルド・トランプ大統領による国境の壁建設費用の要求は連邦議会で承認されなかったが、メキシコは、アメリカ合衆国ラテンアメリカ諸国とのあいだで不法移民の送還をしなければならなくなるおそれがあることから、不法移民をアメリカに送り出さないという立場をとるようになった。メキシコで永住権をもつ移民のおよそ4分の3は、アメリカ大陸出身者である。