じじぃの「科学・地球_503_移民の世界ハンドブック・ヨーロッパへの移民・難民」

How many Ukrainian refugees can Europe receive? | Inside Story

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xwk1dIMG2n0

ウクライナ難民受け入れ国


シェンゲン協定

ウィキペディアWikipedia) より
シェンゲン協定(Schengen Agreement)は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である。
シェンゲン圏諸国のうち、ノルウェーアイスランド、スイスは欧州自由貿易連合の参加国で、ほかの国はすべて欧州連合に加盟している。欧州連合加盟国のうち、アイルランドはシェンゲン体制の一部にのみ参加している。

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『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

ヨーロッパ、世界のおもな移住先のひとつ より

ヨーロッパの移民・難民危機

ヨーロッパのほとんどの国々は、およそ30年前から、移民にかんして消極的だった。多くの国で極右勢力が台頭し、各国はたいてい世論調査をおこなって、失業への不安にこたえる政策をとった。そのようなときに、ヨーロッパは未曽有の移民危機に直面することになった。2015年の庇護申請者数は120万人にのぼる(2019年には67万6300人、UNHCR調べ)。これは、1951年に難民条約が採択されて以来の数である。2015年にはさらに、地中海で3700人が亡くなるということも起こっている。

難民の流入をどのように管理するか

紛争国に囲まれたヨーロッパは、かつてない移民危機に直面した。2015年以降、毎週のように悲劇が起こり、フランス北部の港町カレーでは、2016年まで、庇護申請者やイギリスへの移住希望者が、「ジャングル」とよばれる移民キャンプで暮らし、ギリシャのレスボス島にある移民キャンプは移民であふれた。
イタリアは、イタリア領であるランペドゥーザ島がアフリカ沿岸に近いこともあり、長いあいだ、移民到着の中心地となっていた。移住者たち(エリトリア人、ソマリア人、スーダン人、ナイジェリア人)は、リビア経由でやってくる。2015年にシリアの危機がもっとも高まったときには、ギリシャがヨーロッパの「ホットスポット」になった。ギリシャは、最東端にある島々や、トルコと陸続きのトラキア地域の国境からやってくる、シリア人やアフガニスタン人の流入を管理することができなかった。トルコとの国境を流れるエヴロス川(マリツァ川)を越えてくるのを防ぐために、壁が建設された。ハンガリーも、セルビアクロアチアからやってくる移民をさえぎるために、南部国境に壁を建設した。
国境を閉鎖し、密入国業者を排除することで、「移民に戦いを挑む」という一部の人々の主張は、現実的ではない。シリアから家族でギリシャへ向かう途中の船が遭難し、トルコの町ボドルムの海岸に遺体となって打ち上げられた3歳の男の子アイランの写真は、世界中に配信され、こうしたセキュリティ対策にいっとき疑問が投げかけられた。2015年には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が難民受け入れを表明し、ローマ教皇フランシスコも難民受け入れをよびかけた。しかし、EUが提案した、加盟国間で移民受け入れ人数を配分するという政策は、ハンガリーポーランド、スロヴァキア、チェコルーマニアから拒否された。ヨーロッパ全体にかかわる庇護政策が、各加盟国にゆだねられていることが、連帯の欠如につながっている。
こうした危機をのりきるために、たとえば、一時的保護にかんする2001年のガイドラインを適用したり、労働移民が庇護申請と混同されないように労働移民の門戸を広げたりするという解決策をとることができた。しかしそうした対策はとられなかった。2015年末に起こったパリ同時多発テロや、ドイツの暴行事件は、シリア移民に対する寛大さにブレーキをかけた。EUは結局、2016年3月にトルコに対して、難民を受け入れてギリシャとの国境を防護するよう要請したのである。2020年の協定は移民と庇護にかんする政策を見なおそうとするものだが、妥協点をみいだすのはむずかしい。
本には「守りを固めるシェンゲン圏(ヨーロッパ諸国間で出入国審査なしに自由に国境を越えることを認める協定)」の国々と境界の画像が載っている。