じじぃの「科学・地球_510_移民の世界ハンドブック・トルコ・移民の十字路」

EU border crisis: Turkey blocks refugees from re-entering the country | DW News

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=elSL63UaOD8

Key figures on immigration and emigration - Turkey


Turkey

Migration Outlook 2020 OECD iLibrary
Iraq, Afghanistan and Syria were the top three nationalities of newcomers in 2018. Among the top 15 countries of origin, Turkmenistan registered the strongest increase (15 000) and Uzbekistan the largest decrease (-2 600) in flows to Turkey compared to the previous year.
https://www.oecd-ilibrary.org/sites/1cc2aeef-en/index.html?itemId=/content/component/1cc2aeef-en

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

激動する途上国――アラブ世界、アフリカ、アジア より

トルコ、移民の十字路

トルコはヨーロッパに移民を多く送り出している。ヨーロッパでは、モロッコ人をしのぐ最大の移民集団を形成している。ときにはトルコ政府の支援も受けて、国境を越えたつながりを維持している。対ヨーロッパでは純移動はマイナスになっているものの、トルコから出てくるトルコ人の数より、もどる数のほうが多い。西ヨーロッパいる移民出身のトルコ人(430万人)には、受け入れ国とトルコの二重国籍をもつ者が多い。トルコは、シリア危機以降、受け入れ国、経由国にもなっている。トルコには350万人以上のシリア人が庇護を求めてきた。

多くの移民をひきつける国

中近東の移民にとって、現在のトルコは経由国であり、また中央アジアや南カフカスに広がるテュルク圏にとっては、移住国のひとつとなっている。トルコで多いのは、シリア、イラクアゼルバイジャン、ロシア、ブルガリア、ドイツの国籍をもつ人々であり、その一部は二重国籍をもつ帰還者である。
鉄のカーテンが消滅すると、ロシアにとどまる者も多かったとはいえ、言語や宗教のつながりが深い中央アジアや南カフカスが、移住の地となった。それ以来、トルコの東部国境は開かれているが、そのかわり西部国境は閉鎖されているので、トルコを経由する移民たちは、バルカン半島南東部のトラキア地方からギリシャに不法入国しようとする。ギリシャとトルコの境界を流れるマリツァ川(エヴロス川)は、2016年にEUとトルコのあいだで結ばれた協定によって管理されている。

イスタンブールのめざましい発展

この30年間でイスタンブールの人口歯、400万人から1500万人へと増えて、3倍になっている。夜のうちに違法に建てられた家「ゲジェコンドゥ」(gecekondu)が、都市の周辺地域にあらわれ、離村した国内移住者がそこに住んでいたが、その後、隣接諸国からの国際移民が住むようになった。それ以来、バラックのような家は大規模団地に変わった。都市の中心部に住んでいた少数民族のロマやクルド人は、都市周辺地域に追いやられた。トルコ最大の都市イスタンブールには、人口の30パーセントと、経済活動の40パーセントが集中している。イスタンブールを中心となるこの国は、内陸地域ではしだいに人口が減り、地中海沿岸に集まっているため、地方の農村的な部分と、エリートたちの国際的な部分とに分かれている。トルコが一時的な保護制度を実施している、シリア人の存在もそこにつけくわっている。2015年には、シリア難民の14パーセントが、国内に分散する難民キャンプで暮らしていた。トルコはシリア難民に対して、60億ユーロ相当の支援をした。EUからの資金援助はあぅたが、トルコ政府による支出はそれ以上だった。

少数民族」問題

30年間にわたりクルド人は、トルコからヨーロッパに来る難民の大部分を占めていた。トルコの総人口の4分の1近くがクルド人であり、イラン、イラク、シリアのなかでももっとも多い。いっぽうかつてのオスマン帝国でジェノサイドを経験したアルメニア人は、自分のルーツを口に閉ざしていた「沈黙の世代」から抜け出しはじめている。

トルコ、再構築される新たな移住の中心

トルコの十字路としての位置づけは、ソ連の崩壊や、中近東・アフリカ・アジアの危機や、ヨーロッパ経済の危機にかかわるものだ。トルコと近隣諸国とのビザの廃止は、貿易や観光を促進した。トルコ系ドイツ人の定住先にもなり、またシリア難民の受け入れ国にもなった。2016年にEUとトルコのあいだで結んだアンカラ協定(EU・トルコ難民協定)で、ヨーロッパへ行くトルコ人のビザ発給条件が緩和されることになったが、いまのところ実現していない。トルコは2015年から、難民受け入れにもどついたEUとの外交関係を築いている。