じじぃの「科学・地球_511_移民の世界ハンドブック・インド・バングラデシュ」

バングラデシュ 難民キャンプ拡張地


バングラデシュで、病気が難民の脅威に

2017-10-10 国連UNHCR協会
クトゥパロン・難民キャンプ拡張地(バングラデシュ)2017年9月26日 ― 母親であるカレダ・ベーグムが住んでいるボロボロの掘っ立て小屋から飲用、料理、洗濯用の水を汲む井戸までは10歩程度です。
そこから、トイレとして皆に使われている臭い入り江までは目と鼻の先です。バングラデシュ南東部にあるクトゥパロン・難民キャンプに隣接するこの場所には、何千もの難民家庭が押し寄せています。
「全ての水を井戸から汲むので、子ども2人は下痢になりました」と原因をはっきり分かっているカレダ(25歳)は言います。「私たちには清潔で安全な水と衛生設備が今すぐに必要です」と彼女は言いました。
https://www.japanforunhcr.org/news/2017/14258

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

激動する途上国――アラブ世界、アフリカ、アジア より

中国、インド、パキスタン、東アジアの大国

中国とインドは世界最大の人口をかかえている。2019年時点の移民の3分の1はアジア人であり、中国人が約1100万人、インド人が約1800万人である。ただし、移住先の国籍を取得した人をふくめたディアスポラの数は、それよりはるかに多い。移民の社会的地位は、実業家や高学歴のエリートから、強制労働の状態におかれている農民まで多種多様である。自発的移民は経済的理由や政治的理由で移住するが、とくに女性や子どもは、人身売買のなることも多い。

中国の国内移住者

中国の人口は13億8000万人で、2000年から1億1000万人増加している。その半数以上が農村地帯で暮らし、農村からの出稼ぎ労働者(農民工)を多数生み出している。その半数以上は農村地帯で暮らし(51.27パーセント)、農村からの出稼ぎ労働者(農民工)を多数生み出している。こうした国内移住者は、都市に出ても、都市住民と同等の教育や保健のサービスを受けることができない。出稼ぎ労働者の子どもたちは、たとえば無償教育を受けられないのである。戸籍制度(戸口)は、農民から都市への移住を制限している。人口2400万人の上海には、国内からの移住者が900万人いる。公式統計によれば、2億7100万人が、「流動的な」国内移住者となっている。つまり行政的な居住地から、6ヵ月以上離れて暮らしているということである。
しかしこうした低賃金の出稼ぎ労働者は減少している。1979年に導入された一人っ子政策(いまは緩和された)によって、2030年までに人口の高齢化が加速しているからだ。中国は2050年に、3億7000万人の高齢者をかかえることになるだろう。

インド、移民送り出し国

海外におよそ3000万人のディアスポラがいるインドは、世界第2位の移出大国である。現在の人口は13億1000万人で、そのうちの2パーセントをディアスポラが占めている。女性ひとりあたりの平均出産数は2.7人となっている。中国と同様に、男女の出産前性別選択もおこなわれている(中国の出生比率は女児100人に対して男児118人、インドで女児100人に対して男児120人)。国内では、農村からの出稼ぎ労働者が依然として多い(約3億人が都市に出ていっている)。
インドとバングラデシュの国境線は4060キロメートルにおよぶが、インドはバングラデシュからの移民を阻止しようとしている。不可触民(ダリット)出身の実業家があらわれるなど、インドの新たな姿も浮かび上がってきている。国外に移住したインド人の経営幹部をふたたび国内に迎え入れたり、低価格の私立病院に欧米の医療ツアー客を迎えたりもしている。
2030年にインドは人口約16億人となり(そして2050年には18億8000万人)、世界でもっとも人口が多い国になるだろう。またインドは、イスラーム教徒がきわめて多い国のひとつでもある。人口の規模からすれば、一部のエリートが海外に移住しても、頭脳流出がこの国の可能性におよぼす影響はわずかなものである。インドは、有能な暗部たちを海外に送りだすことを、世界の強国(アメリカ、イギリス)に影響力をもつための外交的手段にしようとしている。
アフリカ東部や南部、カリブ海諸国ではすでに19世紀から、非同盟[インドは東西いずれにもくみしない非同盟運動を推進国]の途上国というイメージを生かして、インドが存在感を示している。アフリカでは経済援助をおこない、国際的な影響力を高めている。1970年代にはエリートたちが産油国に移住し、1990年からはインド人の移住がグローバル化アメリカ、カナダ、イギリス)している。

ミャンマーバングラデシュのケース

バングラデシュは、ミャンマーとともに無国籍者を多くかかえる国であり、その数は1200万人と見積もられている。そのうち、ロヒンギャたちは、ミャンマーで迫害を受け、インドネシア(2015年には6万8300人がボートピープルとなっている)や、東南アジア(タイ、マレーシア)に逃げ出した。また65万5000人はバングラデシュに逃げ、350万人は、バングラデシュが独立したときにパキスタン側についた旧パキスタンたちは、バングラデシュ国籍を得ることができずにいる。バングラデシュは、気候変動の影響をもっとも受けている国でもあり、そのため環境難民も多い。2050年までに、国土の17パーセントが失われ、4000万人が難民となる可能性がある。