じじぃの「科学・地球_512_移民の世界ハンドブック・フィリピン・インドネシア」

OVERSEAS FILIPINO WORKER HIGH SALARY: Top 10 Countries Worldwide

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2kpJ2Z1xLdM

work abroad Filipino

海外で働くフィリピン人労働者


2019年の在外フィリピン人の送金額、過去最高の301億ドル

ジェトロ
フィリピン中央銀行(BSP)は2月17日、2019年のフィリピン人海外労働者(OFW)を含む在外フィリピン人から国内への送金額(銀行送金ベース)が前年比4.1%増の301億3,330万ドルとなり、過去最高を記録したと発表した(図参照)。うち、陸上職からの送金が3.5%増の235億9,405万ドル、海上職が6.5%増の65億3,925万ドルだった。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/03/077518cefc6527a9.html

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

激動する途上国――アラブ世界、アフリカ、アジア より

東南アジア、島々と半島

アジア内の移住は、貧しくて人口の多い国々(インドネシア、フィリピン、スリランカ)と、人口は多くても減少傾向にある。あるいは急激な経済成長を遂げている豊かな国々(日本、タイ、韓国、台湾、マレーシア、シンガポールブルネイ)とで対照的な様相を示している。東南アジアの移民は、域内での流動も大きいが中東やヨーロッパやアメリカにも出ていっている。

移民送り出しの国

人口9000万人のフィリピンでは、10人にひとりが国際移民である。そのうち3分の1は中東とアジア、3分の1はアメリカ、3分の1はヨーロッパ(キプロス、イタリア)在住だった。国民の労働力人口の20パーセントがそがれていることになるが、その分海外からかなりの送金がもたらされている(GDPの約10パーセントを占める)。
フィリピンは、日本人高齢者向けの施設にみられるように、移住者を受け入れている国でもある。いっぽう2億4000万人の人口を擁するインドネシアでは、かつての宗主国であるオランダへの移住が、長いあいだおこなわれてきた。人口の80パーセントがイスラーム教徒であることから、湾岸諸国への移住が多いが、マレーシアに移住する人々(120万人の移住者)も少なくない。インドネシアには世界各地からの観光客も訪れるが、ときどき地震や大規模な森林火災にみまわれる。また、多宗教を公認している国であるにもかかわらず、イスラーム主義過激派によるテロも発生する。
スリランカでは、仏教徒である多数派のシンハラ人と、北部に住む、ヒンドゥー教徒あるいはキリスト教徒である少数派のタミル人(人口の約20パーセント)との長期間にわたる紛争で、難民の流出が続いた。
タイでは、海産物輸出の目玉であるエビ漁で、ミャンマーカンボジアの難民労働者が、奴隷のように働かされている。タイは、2011年に大規模な洪水にたびたびみまわれて、バンコクの住民1200万人が被害を受け、100万人が国内避難民となった(死者およそ500人)。カンボジアでも、2011年にメコン川の氾濫が起こり、約250人が死亡し、25万人が国内避難民となった。
2016年には、フィリピン、インド、中国、インドネシアでの気候避難民(洪水や台風による)が1050万人にのぼった。

移民受け入れの国

日本では、人口の減少と高齢化がめだっている。2050年には、人口の4分の1にあたる約3700万人が失われるだろう。2030年には、75歳以上の高齢者が2倍になるとみられる。労働者人口も減少するが、移民(260万人、つまり総人口の1.6パーセント)では人口不足を補えない。
日本は、単一民族国家であるという神話によって、長いあいだ移民の受け入れに門戸を閉ざしていたが、いまでは移民を受け入れている。その内訳は、韓国人(45万3000人、19パーセント)、中国人(69万6000人、30パーセント)、フィリピン人(24万4000人、10パーセント)、タイ人、ベトナム人、そしてブラジルやペルーに移住した日本人の子孫である日系人となっている。韓国人を上まわる最大数の中国人移民は、日本への移民のさきがけである。東京を中心に、1945年以前から日本に住んでいるオールドカマーズと、1970年代後半からやってきたニューカマーズとが共存している。日本での国籍取得は、きわめて困難で、厳格な分類がなされている。日本では、高齢者の自立を維持するために、ロボットのテクノロジーの利用がめざされている。しかし、2010年には、留学生や研修生をふくめた、高度な技能をもつ移民を受け入れる政策がとられるようになった。
いっぽうで、海外に留学したり、海外で就職する日本人は少ない。日本のエリートの大部分は日本で教育を受け、アジアの近隣諸国ほど国際化していないのである。2011年の東日本大震災のあとには、およそ80万人の移民が日本を離れる決心した(韓国人、中国人)。
韓国でも人口減少がみられ、147万人を受け入れる移民受け入れ国になった。そのうちのおよそ50万人は、中国人である。シンガポールと台湾も移民労働者に依存しており(労働力人口の10パーセント)、ブルネイも同様である(40パーセント)。マレーシアには約300万人の移民がいるが、その3分の1は非正規移民である。