African Migrant Flows Reshaping Security Challenges in Africa
December 18, 2019 Africa Center
The dynamism of clandestine African migration flows continues to present criminal and violent extremist groups opportunities for exploitation.
https://africacenter.org/spotlight/african-migrant-flows-reshaping-security-challenges-in-africa/
『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』
カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行
激動する途上国――アラブ世界、アフリカ、アジア より
サハラ以南のアフリカ、域内移住と国際移住
国連によれば、2100年にアフリカは、地球上の人口の3分の1をかかえることになるという。大陸内移住あ国際移住より7倍も多いアフリカ大陸は、移民をひきつける地域(マグレブ、南アフリカ)と、移民を送り出す地域(アフリカ西部、アフリカ中央部、アフリカ東部)をもつ、大陸内の移住システムを築いている。アフリカに2650万人の国際移民がいる。おびただしい数のアフリカ人が、ヨーロッパ国境で命を落としている。しかし、移民の出身地であり経由地であるアフリカは、中国人投資家を受け入れる地域にもなっている。中国人投資家は鉱物資源や漁場を開拓する。いっぽうで、インド人たちは、ITや保険・薬剤の分野で契約を結んでいる。
アフリカの移動の要因
アフリカでの活発な移動は、いくつかの要因によって説明できる。人口増加、貧困、紛争、国境通過の経済、都市化、環境問題などである。つい最近までへんぴな場所だったアフリカ大陸は、21世紀なかばには、ほとんど都会になるだろう。そこに住む人々は若く(50パーセントが19歳以下)、人口も増加の一途をたどっているので、今世紀後半には20億人に達するだろう。
アフリカには、世界の最貧国にランクされている国があり、海外で暮らす移民からの送金に頼っているくにも多い。
しかしアフリカではヨーロッパの3倍のスピードで発展しているので、人間開発も移住の要因となっている。さらに、大陸をゆるがせている数々の紛争(スーダン、エリトリア、ソマリア、マリ、コンゴ民主共和国など)、サヘル地域のような乾燥地帯の砂漠化、森林伐採、収益性の低い農場、いくつかの地域(西アフリカ)の移動の伝統などが、よその土地へ行こうとする強い欲求の要因となっている。
暴力からのがれるための、女性たちの移住も多くなっているが、移動中にはさまざまな危険が待ち受けている(レイプ、性的搾取)。高齢女性たちは商人になり、移民の移動についていく。同伴者のいない未成年者の移住も急増している。世界の貧困層の55パーセント以上がアフリカで暮らす人々である。
西アフリカ域内の自由な移動
アフリカ西部地域の自由移動圏である、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、1975年に設立された。現在は15ヵ国が加盟している。地域の経済統合を目的とし、地域内は自由に移動できる。人々の自由な移動と、在留、定住の権利を定めた1979年の協定は、域内の国境開放に向けての大きな前進である。とはいえ、労働移住を容易にする措置はまだ講じられていない。域内の自由な移動をさまたげているのは、この地域全体の政情不安定である。
マグレブ地域で職務質問された何千人ものサハラ以南地域の移民が、「アフリカのゴミ」とよばれるマリに追い返される。そして、人間開発指数が177国中171位のマリには、スラブ街が生まれ、反アラブの感情が生まれるのである。西サハラは、かつてスペインの植民地だった地域で、モロッコに占領されてから40年たったいまでも、アルジェリアの支援を受けたポリサリオ戦線と、モロッコのあいだで領有権争いが続いている。アルジェリア・モロッコ国境は閉鎖されたままである。