じじぃの「科学・地球_505_移民の世界ハンドブック・フランスへの移民・難民」

フランス最大の移民グループ(出生国別)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zZUmvFPeP6k

Burqa Ban France


French Burqa Ban Widely Supported in Europe

March 1, 2010 Atlantic Council
●Burqa Ban France
As France goes ahead with its ban on the wearing of the burqa, a new FT-Harris poll shows majority support for doing the same in the UK, Italy, Spain, and Germany - and strong opposition in the United States.
https://www.atlanticcouncil.org/blogs/new-atlanticist/french-burqa-ban-widely-supported-in-europe/

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

ヨーロッパ、世界のおもな移住先のひとつ より

フランス、共生の国か、共和制の国か

移民と外国人は区別されている。移民は、ある国で生まれ、移動をして別の国で暮らしている人である。外国人は、その国の国籍を持っていない人である。しかしフランスでの社会統合についての議論は、とくにフランス国籍をもつ移民2世、3世の同化にかかわるものである。たいていの場合、イスラーム文化をもつ、「ヴィジブル(外見が目につく)」とよばれる人々をターゲットにしてこの国での彼らの立場を問いなおしている。フランスの共和制モデルとは相いれない共同体に属する人々によって、この国がおびやかされているように見えるからだ。

社会統合

フランスの外国人数は安定している。外国人(フランス国籍ではない人)は500万人、移民(外国で生まれ、フランスで生活している、フランス国籍または外国籍の人)は800万人、二重国籍は350万人である。
フランスにいる外国人の国籍のなかでは、アルジェリア、チェニジア、モロッコをふくむマグレブ地域出身者がもっとも多いが、単独の国籍ではポルトガルがトップにくる。外国人の全国的な分布には偏りがあり、外国人の50パーセントが、イル=ド=フランス地方で暮らしている。10パーセントは、ローヌ=アルプ地方、プロヴァンス=アルブ=コート・ダジュール地方も10パーセントである。社会統合は現実となり、移民出身の中流層が頭角をあらわしてきている。移民の子どもたちのほとんどは、親の世代よりも高学歴である。2016年にフランス国立人口研究所(INED)が発表した。移民とその子孫の軌跡と起源(TeO)調査の結果によると、移民の子どもたちは、同じ階層の移民ではないフランス人よりも、社会的地位が高かった。しかし失業したり差別を受けたりすることも多い。

差別、すみわけ、イスラーム嫌悪

人種的偏見が根強い風潮のなかで、外国人や移民はさまざまな差別を受けている。移民たちは、セーヌ=サン=ドニ県やマルセイユ市北部などの貧民街に固まって住んでいるため、排除されているという感情が生まれ、ときには原理主義の温床になることもある。いっぽうで、移民との混在は、2019年と2020年の人種差別抗議デモに示されるように、社会の不安定化につながる。
居住地のすみわけはまだ多くおこなわているが、INEDによれば、とくにサハラ以南のアフリカ、マグレブ、トルコ出身の正規移民にかんしては、1968年からあまり見られなくなっている。移民の半数以上は、「問題の生じやすい都市区域(ZUS)外に住んでいる。1990年に打ち出された都市政策は、貧民街の再開発と社会的排除の撲滅を中心とするもので、移民の社会統合と都市暴力防止のための政策のひとつであった。しかしこの「社会的混合」政策は失敗したとみなされている。それでも、郊外に住む若者たちは、勉強によってここから脱け出そうとしている。郊外から離れるべきなのか、それとも孤立状態を避けるために固まって住むべきなのか。郊外には「都市免税区域(ZFU)[ZUSの若者の雇用促進を目的として、雇用主の社会保険料負担金が免除される区域]がある。住民が、外部から仕事でそこに来る人たちとめったに出くわすことがない、いわば別世界である。
2004年の法律で、女子生徒が公立学校でスカーフを着用することが禁じられた。2011年の法律はさらに、イスラーム教徒の女性が、公共の場で、全身をおおい隠すブルカを着用することを禁じている。国民の大多数は、イスラーム教をフランスの第2の宗教として認めることに反対している。共和制の価値観が信頼を失ったために、イスラーム教に頼ろうとする人も出てきた。信仰を深く実践することは、社会に同化していないということを意味するものではない。
さまざまな政治的差別だけでなく、就職する際にも、「ヴィジブル」の若者を差別する雇用者たちがいる。
民族統計をとることは必要かということについて議論になっている。国民が平等で格差のないことを保証しなければならないので民族統計は必要がないという意見と、逆に、民族統計で差別を明らかにして人種差別と闘うために必要だという意見があるが、いずれも共和制の価値観という名のもとで主張されている。しかし2020年以降、「分離主義」という言葉がめだつようになるなかで、議論は定まっていない。