じじぃの「科学・地球_504_移民の世界ハンドブック・ドイツへの移民・難民」

German-Turkish Culture: Guest Workers, Doner Kebabs And Cultural Identity | Meet The Germans

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ZKB66f3vc0g


Foreign nationalities (Germany)

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https://www.researchgate.net/figure/Foreign-nationalities-Germany_fig2_315836871

『地図とデータで見る移民の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、太田佐絵子/訳 原書房 2022年発行

ヨーロッパ、世界のおもな移住先のひとつ より

ドイツ、ヨーロッパ随一の移民・難民受け入れ国

ドイツは、1945年の敗戦と1989年のベルリンの壁崩壊以後、外国人と庇護申請者をもっとも多く受け入れている、ヨーロッパ第1位の移民大国である。ドイツの移民数は約1300万人で全人口の約20パーセントを占めている。外国人数は約1000万人で全人口の約10パーセントである。近隣諸国とは異なり、2015年から難民を大量に受け入れている。

エスニック移住と経済的移住

アウスジードラー(ドイツ系移民)は、3世紀以上も前からオーデル・ナイセ線(現在のドイツとポーランドの国境線)の東側に住んでいて、ベルリンの壁崩壊後にドイツに移住した人々(1990年から2006年までに275万人)であるが、ドイツはさらに東欧から多くの移民を受け入れてきた。第2次世界大戦後、旧ドイツ東部領土からドイツ人を国外追放する計画がポツダム会議で承認され、東プロイセン(現在はロシア、ポーランドリトアニア)、シレジア(現在はポーランドチェコ)、ポメラニア(現在はポーランド、ドイツ)、ボヘミア(現在のチェコ中西部)などから、ドイツ人たちがもどってきた。それがファアトリーベネ(追放者)で、その数は1200万人にのぼる。ユーバージードラーは、1989年以前に東ドイツから移住した人々のことである。旧ソ連からのユダヤ人は、ドイツ系ユダヤ人をふくめ、優先的に移住が認められていた(1993年から2007年のあいだに20万人)が、現在は新たな移民選択制度の対象となっている。
ドイツ人の大多数は、50万人から100万人いるとされる非正規入国者の合法化には反対している。移民でももっとも多いトルコ人(約200万人)は、2009年から純移動がマイナスになっていた(移入者より移出者が多い)。ドイツとトルコの二重国籍をもつ学生の3分の1は、トルコに働きにいこうと考えている。
近隣諸国と同じように、ドイツには専門技能をもつ労働者が不足するのではないかという危惧がある。EU非加盟国の人々への入国資格がきわめて厳格だからである。2005年の移民法(Zuwanderungsgesetz)によって、移民選択制度がとられるようになった。これは、2000年に導入され、2004年に廃止された、グリーンカード制度、つまり高度技能者を受け入れ対象とする制度を引き継いだものである。ドイツは、東欧諸国との二国間協定も結んでいる。

多文化主義の見なおし

新たにドイツにやってきた多くの移民は、2000年に改正された移民法によって、国籍が得やすくなった。かつてドイツは血統主義の象徴的存在だったが、出生地主義が導入されたからである。とはいえ、ドイツ語の知識と公民教育については、厳しい条件が課せられるようになった。
ドイツの有権者は、ヨーロッパのほかの国々よりも、ポピュリズムに対して大きな抵抗を示す。しかし、つい先頃まで、違いを受け入れる民主的な社会の構成要素だった多文化主義は、いまでは、見なおしをせまられている。基準となる文化(Leitkultur ライトクルトゥーア)としてドイツ文化になじむべきではないかという意見もあり、またイスラーム教徒を社会に融合させることについての問題提起もなされている。ドイツにはおよそ400万人のイスラーム教徒がいる。2010年に、「ドイツは破滅へとつき進んでいる」とする、ティロ・ザラツィンの著書、『ドイツが消える』が成功をおさめたのは、こうした不安を象徴している。アンゲラ・メルケル首相は、「多文化主義は失敗だった」と発信している。